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21 最後にオアシスはやってくる

ライバル=友…

少女シスターが現れたことで、訓練スペースはどよめいていた。


「見ごたえのあるガキの決闘かと思ったら、ありゃあなんだ?」

「……さぁな。ただ、シスター的にはあのウルフが魔王だとかなんとかいってるみたいだが」

「おいおい、ありゃ確かに異常なくらいの才能だがよ、魔王は言い過ぎだろ。魔王は」

「確かになっ、俺にからいわせりゃどっちもただのガキだぜ!」

「お前はまだE級だろうが」

「「「ガハハハハッ」」」


賑やかなやつらである。

婦女子の方々も「魔王×勇者」とかなんか言い始めてるし、シスターの発言はイケメン王子に味方したかった子供の暴走とか思っているようだ。


「くっなぜ誰も信じていないのですっ! ハッ!? まさか、既に民は魔王の手にかかり洗脳にっ!? 光の聖騎士様っここは危険です! はやく教会へ避難をっ」

「き、君……、誰だかわからないけど、決闘の邪魔はやめてくれないか。それは僕の友に対する侮辱だ」

「……ッ(ひ、光の聖騎士様まで洗脳を!!?)」


友とな?

そういや俺ってこの世界に友達いなかったな……。

あっフィッテは友達だけど、なんていうか、ちょっと違うんだよな。


あいつも王子なんて立場だからか、対等な関係の同年代なんていなかったんだろう、実力も頭何個分か抜けてるし。

しかし、友と認めてくれるのは嬉しい。

ならば、俺もそれに応えねばなるまい。


「なぁ、そこの少女シスターちゃん。俺は別に、魔王でも勇者でも何でも構わないんだけどさ、<友達>の想いを無下にしないで欲しい」

「~~~!! よくもっいけしゃあしゃあとっ」

「……ゼノン」


少女シスターちゃんが何かを堪えているが、俺にはなんのことかさっぱりだ。

そしてエレン、目が潤んでるぞ。

<友達>だからな!?

BLは勘弁しろよ!


エレンが窮地に陥った時は心配そうにしていたミーシャだったが、彼女はエレンの気持ちがわかっていたようで、少女シスターの乱入に対して怒りを顕わにしていた。

なにより、しっぽがピーンてなってる。


「くっ、こうしては居られません!こうなったらお姉さまに連絡を……っ」


その後、少女シスターは居心地が悪くなったのかなんなのか知らないが、ギルドを飛び出していった。

……ちょっと言い過ぎたかな、ごめんよシスター。



「…結局、決着がつく前に流れちゃったみたいだけど、まだ続けるかしら?」

「いえ、僕はまたの機会にさせてもらいます。そして、その時にはまた頼むよ…ゼノン」

「あぁ、こちらこそだ」


「「「キャ~~!!」」」


そのタイミングで盛り上がるなよっ変な言葉に聞こえるだろ…



その後、俺たちは3人でギルド出た。

エレンは迷宮都市に別荘があるらしく、そこでお礼を兼ねた歓迎をしてくれるとのことで、そこまで案内してくれるようだ。

本人は自宅だと言っていたが、ツッコまない方が無難だろう。

鑑定スキルなんて普通の人はもってないしな。


「ようこそ、僕の家に。ミーシャの件はさっきメイドに頼んでおいたよ、奴隷紋の解除を行える教会の司祭か、奴隷商に連絡を入れてくれてるはずさ」

「……うっ、……エレン様っ! どうか、奴隷の解放後もお傍に置いていただけませんか?」


ミーシャが意を決したように言ったが、まあ気持ちを考えたらそうなるだろうなとは思ってたよ。

エレンは気づいてないと思うが、傍からみたらまる分かりだ、鈍感系勇者め。


「えっ、うーん、あっ! だったら冒険者育成機関に入らないかい? 僕も今年の入学にあわせて装備を整えたんだ。付き人として入るなら、屋敷の人も認めてくれるはずさ」


あー、だから王子がこんなとこに居たのか。

たしかに帝国では冒険者の地位が王国よりも高く、収入もいい。


迷宮都市があるからだが、仮にエレンが第3~第4王子かそれ以降だったとして、公爵とか爵位を継ぐ前の肩書き作り、それに伴う実力、人脈、民の暮らしを知るにはもってこいだ。

エレンなら高ランク冒険者になるのは時間の問題だろうしな。


「……っ、ぜひっお願いします!」


これでミーシャの件は解決だな。


「で、結局お礼ってなにするんだ? まぁ最初は断ったけど、ここまできたら貰えるものは貰っとこうとおもってる」

「あぁっ! そうだった。ミーシャの件と決闘ですっかり忘れてたよ。お礼になるかは分からないけど、僕の家には迷宮内部への侵入許可の権利があってね、僕の両親が認めた人なら冒険者育成機関の定めた条件に達さなくても入れるんだ」


ああ、だからエレンはあんなに高レベルだったのか。

モンスターを倒せるのはスキルあってのものだろうけど、レベルも11とギリギリEにとどかない一歩手前まで高い。


「ゼノンから聞いた話では、王国から迷宮に入るために帝国へ留学しにきたんだろう? 最初は父さんや母さんに紹介して、別のものを用意してもらおうと思ったけど、君はこっちのほうが喜びそうだ」


よくわかってるな。

爵位なんてもらってもしょうがないし、金は迷宮で稼げる。

両親に連絡するといっていたが、たぶん帝国の王城とつながる通信魔道具とかあるんだろうな。


「だから、今日家に呼んだのはお礼というより、君やミーシャと仲良くなりたかったからだよ。……改めて、ゼノン、ミーシャ、僕と友達になってくれないか?」

「……はいっ喜んで(ですが、いずれは)」

「あぁ、もちろんだ。別に改める必要なんてないと思うけどな」


なあ、こいつなりのケジメだろう。


俺は夕方まで居座ったが、そろそろフィッテ成分がたりなくなってきたので、宿へ引き返すことにした。

いざ、俺のオアシスへ。


「だたいまー」

「あっゼノンくん! おかえり! って、い、今は来ちゃダメーッ!!」

「……」


メイド式組手がおわったフィッテの着替え中だった。

今日の最後に、オアシスのオアシスが俺の眼に焼き付いたぜ。

俺の補正もたいがいなようだ。


あとメイドさん、その目はやめてください、しんでしまいます。



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