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131 ギール・カーデリオン

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ゼノン達が女神フレイの神殿に居る頃、カーデリオン王国の王都<カーデン>では大規模な反乱が起きていた。

女神アテナの策略により、王都カーデンに正規の騎士として潜り込んでいた中位から上位の神聖騎士が、腐敗した騎士や貴族を味方につけて一度に反旗を翻したのである。


しかし<騎士の国カーデリオン>と言われるだけあって守りは固く、屈強な兵が集うこの地を攻めあぐねているようだった。

…ただ一人の例外ヴァルキュリアを除いて。


「この気配…いずれ王城にまで攻め込んでくるとは思っていたが、意外と早いな」

「ガハハハハッ!まあ相手さんもそれだけ本気だって事なんだろうよ。…ロイル、いっちょ冒険者時代の時みてぇにひと暴れしようぜ。…ちょうど次期王についての相談も兼ねて、お前の息子もいることだしよ?」


反乱が起きた丁度その時、以前の闘技大会で多くの称号を獲得し、現時点で公爵家の長男というギールの立場から次期王についての打診が行われていたのである。

帝国での話し合いから一ヶ月半ほどの月日が流れ、おおよそ王国の王になる方針で定まっていた時、この反乱が起きたようだ。


「…いや、ダメだな。まだ現役の王であるギルバートを前に出すワケにはいかない。ギールが向こうの勢力の鎮圧にかかっているから、お前と俺はとりあえずここから逃げるぞ…護衛は俺がしておいてやる」

「新・最強の騎士様のデビュー戦ってやつか?…ガハハハハッ!まあそう言う事なら任せてみるとするか。お前の息子に期待させてもらうぜ」


その後、ギルバート王と元・最強の騎士ロイルは王城から脱出した。

…そして場所は謁見の間へと移る。



「……来たか」

「あ、いたいたっ。ギール兄さーんっ!侵略しにきたから、さっさと私と勝負だぁ!」

「……チッ。気配から既に分かっていたが、なぜこんなことをしたんだミュラ。その態度からも推測できるが、お前が本気で侵略など望むはずがない」

「あははは…やっぱり分かっちゃう?」


謁見の間でギルバート王の代わりに反乱勢力を鎮圧していたギールだが、騎士の後ろから来る気配がミュラの物だと気づいていたのだ。

そもそも、同じ騎士学校に通っているギールからすれば最も接してきた兄妹であり、その性格から侵略を望むような野心を持っているとは考えていなかった。

故に今回起きた事件の理由が気になったのである。


「…でもゴメン、いま私ってばちょっと厄介な女神に操られちゃっててね?自分の意思じゃ抵抗できないんだ~…あっ、いったたた…」


─しゃべり過ぎですよ、いまから殺す相手に情報など無用です─


「あはははは…」

「…なるほど、そういう事か。お前が小さい頃から何かを抱えているとは思っていたが、ようやく謎が解けた」


妹の言葉と態度から、それが真実であると確信したギールが一歩前に踏み出した。


「…おそらくお前の態度から察するに、操っているのは勇者ハドウが言っていた他大陸の女神なのだろう、だいたいの事情は奴から聞いている。…だから操っているその女神に伝えておけ、反乱だか女神だかなんだか知らないが、俺の家族に手を出したことを後悔させてやるとな」

「ふっふ~ん、聞いたアテナ?やっぱりギール兄さんは最強の騎士なんだよ!早く降参したほうがいいよ~」


─愚かな…─


「そらちが来ないならこちらから行かせてもらうぞ。カーデリオン王国、次期国王ギール・カーデリオン…参る」


─少しあなたの体を借りますよ、アンリミテッドスキル<戦神アテナ>─


そして最強の騎士ギールと戦神アテナの戦いが始まった。




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…女神に飛ばされた直後、おそらく王都カーデンだと思われる場所に転移した。

転移したのはいいが、転移直後にいきなり襲われるとは思わなかったよ…


「反乱がおきているとは思っていたけど、一般市民にも構わず攻撃か。…恐らくそういう指示がアテナから出ているんだろうけど、さっきまでののんびり女神とは似ても似つかない性格だ。…本当に姉妹なのか怪しいレベルで」


あと、とりあえず襲ってきた王国&神聖騎士をまとめてぶっとばしたわけだけど、このまま放置してても拘束しておく術がないのでトドメを刺しておいた。

恨まないでくれよな。


「それよりもゼノンくん、王城の方から…」

「ああ、わかってるよ…」


フィッテも感付いているようだが、恐ろしいほどの魔力のぶつかり合いが王城で起きている。

片方はギル兄さんの魔力で、もう片方は謎だ。


ギル兄さんの相手が務まるくらいだし、おそらくヴァルなんちゃらさんが相手なんだろうけど、人の魔力と神聖な魔力が混ざり合っていてよくわからない。

おそらくアテナが降臨しかけているのだろう。


…とりあえず保険のためにもユリアに魔力コーティングを施しておくかな。

この魔法は覇者のダウンロードスキルの中でもかなり魔力が注ぎやすい性質のようだ。

練習もなしに3000程の魔力を注ぐことが出来て、おそらく全力のエレン3発分くらいの攻撃に耐えられる。


…そのかわり、最低魔力が1000くらい必要みたいだけどね。


「…よし。魔力コーティングも掛け終わったし、とりあえずユリアは透明になってついてきて」

「はぁ、あんた本気でなんでもありね?なんなのよこの魔法…」


気にしたら負けだよ。



とりあえずこれで準備は整ったので、フィッテとユリアを連れて王城へ飛行していく予定だ。

走ってもいいんだけど、早めに到着しないと万が一ってこともあるのでスピード重視で行こうと思う。

特に今回の場合、ギラはまだ向こうの大陸から戻ってないみたいだし、ギル兄さんがピンチになったら助ける相手がいない。

…契約魔法の切れた後とか特にね。



そして、飛行しようとした直後…

唐突にギル兄さんの魔力が膨れ上がった。

…おそらくギル兄さんが竜王契約で本気を出したのだろう、ヴァルキュリアの方も徐々に魔力が変質していってるし、全力のアテナ一歩手前といったところか。


こりゃ急がないとヤバいかな?




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