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128 …私を呼ぶ者は誰かな?…キリッ

行動方針が決まった直後、時間もないのですぐに王城を出発した。

やれる事は早めにやっておかないとアテナが何するか分からないしね。

女神の加護を持った勇者が死んだ事がアテナにバレていない訳がないし、こちらの行動を勘繰られる前にクロスハート領へ到着したいのが本音だ。

…向こうの大陸を侵略するのに必死で気づいていないっていう線もあるけど、そこらへんは考えてもしょうがない。


とりあえず、なるべく早く強化をするってとこかな。


…ちなみにだが、地図に載っていた神殿はこの王都付近にあるらしい。

まあ勇者召喚も王城で行われるみたいだし、神殿の近くに国を作ったってことなんだろう。


…そして王都を出てから歩いて2時間ほど、例の神殿みたいなところに辿り着いた。


「結構デカイな…」

「当たり前よ、この国最大の神殿なんだから。…私も大きいとは思うけど」


うん、めっちゃデカい。


っていうかこの神殿の造り、どこかで見た事ある気がする。

…どこかっていうか、空島のクリスタルダンジョン最下層で見たなこれ。


「あれ?これってあの女神様が居た所とおんなじ感じがするね?」

「…うぅ、同じ感じもなにも全く同じです。…前みたいに体調が悪くなってきましわ、以前より少しはマシですけど」


やっぱり同じか、ヴァニエに元気がなくなって来ているのも良い証拠だな。

以前より少しはマシってことは、女神にスキルを改造された時になにか変化でもあったのかな?


まあ前みたいにへたり込むほどではないみたいだし、とりあえず進んでみよう。


「ヴァニエはこれ以上具合が悪くなったら俺にいってくれ、背負うから」

「…ッ!?あ、私ちょっと…もうダメみたいですわ」


ヴァニエさんよ、それはいくらなんでも急すぎるぞ。


「あ、ボクもなんかちょっとお腹が…えへへ?」

「はぁ!?アンタたちバカじゃないのっ、そんなに急に具合が悪くなる訳ないでしょ!…あ、でも私も頭がクラっとしてきたわ…」


なんでや、あんたら2人は全く関係ないやろ!

もうなんでもありだな。


「…露骨すぎる。20点」

「急いでるときに何バカやってんだお前ら、…置いていくぞ」


セレナから厳しい指摘が飛んできた。

…20点はひどいよセレナさん、あとなぜ俺を含めたファイスよ。


「もう全員背負った方が速いんじゃないかい?」

「…そうするか」


エレンの提案により全員背負うことになった。

本当になぜこうなった…



背中にヴァニエ、片腕ごとにフィッテとユリアを担いで神殿へと侵入。

神殿の中は以前のようにステンドグラスがあり、黒竜ギラ白竜ルクァンの石像の代わりに2柱の女神像が存在しているようだ。

片方は空島ダンジョンで見た時と同じ女神像で、もう片方は盾と槍で武装した女神様であることから、恐らく武装している方がアテナなのだろう。


…そしてもう片方がこちらの大陸の女神ってことになる訳だけど、まさか本当に姉妹女神の1柱がこっちの女神だったとは思わなかったな、もともと仲が良かったのかな?


「メダルを入れる部分は向き合っている女神像の足元か、ど真ん中でわかりやすいな」


とりあえず背負った3人を降ろしてお賽銭箱へと向かった。

何が起こるか分からないが、神殿だしバトル展開とかにはならないと思う。

メダルの規則性を発見出来る物は特にないから、とりあえずわたあめ羊の金メダルを入れてみよう。

そりゃっ!


………チャリン

……

…キュィィイン


うぉっ!?メダルを入れたとたん目の前が輝きだしたぞ…ってこれ、前も同じことあったな。

もしかして奴が来るのか…


しばらく待っていると光る空間から杖とローブで武装した女神様が降り立った。

…やっぱあんたか。


「シュタッ!…私を呼ぶものは誰かな?」

「相変わらず謎のテンションだなこの女神様…」


降り立った直後に謎のキメポーズでアピールをしてきたが、どう反応していいか分からない…


「えっ…!えぇっ!?本当に女神さまなの…っ!?あわわわ…どうしよう、アンタが呼び出したんだからどうにかしてよっ」

「いや、この女神様は基本的にのんきだから気にしなくていいぞ。考えるだけムダだ…」


ユリアがめっちゃ慌てているが、アテナと違ってメンドクサイ事はしてこないから安心するといいと思う。

というか何を考えているのか分からない。


「フフフ、ついに私が女神だと気づいたようですね。さすがは希望の使徒たち!」

「いや、最初から気づいてんぞ…」

「…そんなっ!?」


ファイスの発言にガーンッ!?みたいな顔しても騙されないぞ、遊んでるだけだろあんた…


「それで今回は何が起きてるんですか?女神様が僕達の前に理由もなく現れるはずがないですし…」

「よくぞ聞いてくれました!…正直言えばいつでも降臨しておきたいのですが、エネルギーが足りなかったんですよね~。さきほど貴方あなたたちが入れてくれた羊の金メダルのエネルギーで、現在は顕現できているっていうワケです!…あ、ちょっと追加でメダル入れておいてください」


…なるほど。

つまりこの神殿は女神様を降臨させることができて、なおかつあのダンジョンで倒したモンスターメダルがそのエネルギーになっているわけか。

…理由は知らないけどね、もう一枚金のわたあめ入れとこ。


「…ふぅ、ありがとうございます。このメダルは下界の怨念の塊なんですよ、いわゆるマイナスエネルギーっていうやつですね。それを結晶化したものがあのダンジョンでのモンスターであり、ドロップアイテムだったわけです…」


…あー、わかった。

つまり魂や思念を収集するあのシステムを利用して、マイナスの感情を浄化していたわけか…

勇者があの地へたどり着くのも計算のうちで、だからこそブレイブシリーズの解放も空島のルクァンに行わせていたのかもしれない。


考えてないようで、考えてるなこの神様。


「ふっふっふ、その通りです。貴方たちがメダルをせっせと稼いでくれたおかげで大助かりですよっ!さすがは私が見込んだ者達です…これは追加の報酬をあげないといけませんよね?」


というか恐らくだけど、メダルの収集量に応じてなにか渡すつもりだったんじゃないか?…じゃなかったらわざわざ降臨してきたりしないと思う。


…そしておそらく、最も効率よく下界に顕現できるのがこの神殿なんだろう。


「まあ今は出来るだけ力が欲しいし、もらえる物は全部貰っておきたいのが本音だよ…」

「ボクも光の精霊さんと契約できたのはいいけど、魔力が足りなくて全力が出せないんだ。…メダルの報酬でなんとかならないかな?」


フィッテの魔力不足は切実な問題だな、2体の精霊を維持して戦えないんじゃあまり意味がない。


「…ふふふっ、大丈夫ですよ?1年以上ためたそのメダルがあれば、希望の使徒達を強化するくらい訳はないです。…ただその前に、この私の…<根源神フレイ>と<戦神アテナ>の過去話をちょっと聞いてからにして下さい。彼女を止めるのはその後からでも遅くはありませんよ」


なにやらこの女神様、女神フレイさんにも事情があるようだ。

まあ間に合うっていう神様のお墨付きがある訳だし、聞いておいても損はないかな。


なんでアテナがあそこまで暴走しているのかも気になるところだしね。


あ、追加のメダル入れておこうっと。


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