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閑話 ミュラの狙い

私はミュラ・クロスハート、14歳。

いえ…うーん、今はミュラ・ヴァルキュリアと言った方が正確かな?


…6歳の時、私だけに聞こえる声から指示を受けて8年が経ちました。

最初は声の意思から外れた行動を取ると激痛が走ったり、少しでも抵抗する心を持てばとてつもない恐怖に襲われましたが、最近はその回数が減って来たようです。

もしかしたら「別大陸」での計画が進んできたからかもしれません。


…そう、別大陸での計画です。


私が騎士学校へ入り訓練を積み、ある程度力をコントロールできるようになってきた辺りで、声の主から新しい力を授かったのです。


その力の名前は「空間魔法」…

なんでも使える存在がとても希少な超魔法らしく、これを使えるだけで一流の魔法使いを軽く超えるとのことです。


しかも行ける場所は私が魔力を補完している場所と別大陸全土…

とてもじゃないですがあり得ない力です、こんな魔法反則ですよ!

…貰う分にはありがたいですけどね?

まあ、力を授かれば授かるほど寄生率が上昇するっていうデメリットを除けばですけど。



それから後は、私の準備が整ったとばかりに向こうとこっちを行ったり来たり…声の主の計画とやらに付き合わされたわけです。



そしてその結果…なんと私、この大陸の救世主ヴァルキュリアになっちゃったみたいなんですよ。

人生何が起こるか分かりませんね。

全部声の主である女神アテナが仕組んだことだと思うと頭痛がしますが。


そんなわけで今日もいつもと変わらず、救世主ヴァルキュリアとなった私の前で神聖騎士が跪き頭を垂れてきている訳です。

こういうのは趣味じゃないんだけどな…


「ミュラ様、指示のあった武具一式と魔道具、全て揃えました。これも全て、ミュラ様が勇者に抵抗してくれたおかげです。やはり私達の主はミュラ様だけだ…」

「あー…うん、ありがとね?でも頭は下げなくていいから。…それに勇者の件については私が気に入らなかっただけだよ」


…この騎士さん達はとても優秀なのだけれど、いつもどこか抜けているようです。

なんというか、女神様に対して盲目なんですよね~。

この人達にとっては女神様が黒と言えば黒、白い物でも黒になるのです。


そもそも、この大陸の女神様が認めた救世主ヴァルキュリアが私だし、あの外道勇者だって女神様の力を使って召喚された存在なのです。

それなのに、私と勇者がまるで対立関係にあるかのような勘違いをしているみたいなんですよね…

もちろん私個人は、完全に対立しているわけですが。


…私だって本当は外道勇者を追い詰めたかったのだけれど、それを最後までやろうとすると激痛が走ったりで、なかなか上手くいかなかったから引き下がっているだけなんですっ。

この痛みさえなければあんな外道チョチョイっと牢獄行きにしてやりますよっ!

私は強いんです!


むぅ…話がそれました。


とにかく、今はこういった事情もあり女神アテナの傀儡となっているのが現状です。

計画がスムーズに進行し機嫌が良いうちは私の自由が許されますが、こういった肝心な所になると反発できずにいます。


向こうから言わせれば、これも全て力を得るためだといっていましたが…


それと計画に関してですが、直接伝えてくる女神アテナによれば、こちらの大陸の人間を使って私が住んでいる国や教会を攻め滅ぼすのが目的らしいです。

なんでもそうすることで自分の支配領域が広がり、結果的に力を得ることができると言っていました。


私達の大陸にも女神様は居るので、力関係的にもそう簡単にはいかないらしいんですけどね。

こちらの人間大陸の女神様はアテナより相当強いらしいです…

ですが今回は邪神も手を貸しているのでパワーバランスは逆転しますし、うかうかしていられないのも事実です。

それにいざとなったら責任を邪神に押し付けて逃げるつもりに違いありません!

きっとそういう神です、私にはわかりますっ。


力をつけるために攻め込むなんて、まるで子供ですよ。

本当に、ただただ迷惑な話で、聞いたときには眩暈がしました…



「…はぁ。こんな時にギール兄さんや天才の弟ゼノンが居てくれれば、パパッと解決して終わりなんだけどなぁ」


─…無駄ですよ。その時は私があなたの肉体に入り込み、その二人を倒すまでの話しです─


「ふぅーん、ほんとにできるのぉ?絶対にあなたなんかには倒せないよ~だ。ギール兄さんは最強の騎士なんだからっ!」


それにこの神には言ってないけど、私にはゼノンが何かを隠しているのが分かっているのです。

あんまり会う機会がなかったけど、伊達にお姉ちゃんしてないってことかな?

……むふふ。


たぶん天才の弟ゼノンが本気を出せば、私に乗り移った神ごとぶっとばしちゃうに違いないはずっ!

だってこの前の闘技大会で見た時に、ユニークスキルを使った私でも勝てる見込みが全然なかったんだもん。


─へらず口を…向こうの大陸にいる時のあなたの視界は正確に分かりませんが、強いといってもおそらく上位騎士数名レベルでしょう。あまりハッタリばかりだと後で痛い目に合いますよ─


「あっそー?じゃあそう思っておけば良いんじゃないかな~。ふふふ~ん」

それじゃあこの女神の言う通りにサクッと侵略して、サクッっと負けてきましょうっ!


そして解決したあとは、この授かった力で悠々自適に過ごすのだっ。

将来が楽しみだなぁ~…



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