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113 フィッテの逆鱗、再び

腰が抜けてしまったツインテちゃんを背負ってみんなの所に瞬間移動したところ、依頼などが貼りだされている室内に転移した。

取り合えず魔族であるヴァニエ以外のみんなはギルドへの登録が終わっていたようで、依頼の貼りだされているボードの前でたむろしていたようだな。

…やはりちょっと早すぎたかもしれない。


ちなみに容器を持っているフィッテの目の前に転移してしまったため、俺がツインテちゃんを攫ってきたかのような構図で到着してしまった。

恐らく、彼女の目には新しい女の子が増えたように映っている事だろう…

不可抗力なんだオアシス、信じてくれ…


「お、おっす!…色々事情があって、ツインテちゃんも一緒に連れてきちゃったみたいな?…てへ」

「えへへへ。ゼノンくん、最近は堂々と女の子をひっかけてくるようになったんだね? 欲求不満なのかな? んん?」


あっ…ダメっぽい…


「いや、これはツインテちゃんがいきなり襲われて仕方なくっ、…あだだだだだ」

「そういう話しじゃないよ?大事なのは女の子が増えた事だよね?…ワカルネ?」

「ひぃっ…」


必死の抵抗も虚しく、闇フィッテの抓り攻撃によって鎮圧されてしまった…

だが伯爵家の親元へ送り届けたら終わりだし、それを説明すればなんとかなるはずだ。

いくら闇フィッテでもそこらへんは理解してくれるはず…


「違うんだっ本当に騎士に襲われたから親元に送り届けるだけで…」

「はぁ?なによアンタ、私のモノなんだからもっと堂々としなさいよ。これじゃ持ち主の品性が疑われるわ」

「…あ゛ん?」


問答無用でツインテちゃんの核爆弾が投下された。

このツインテちゃん、感情を読み取れるはずなのになんも気にしてないぞ…


「おい…あのツインテール火に油を注ぎやがったぞ…」

「…ある意味凄い勇気だね」

「…このタイミング、あの女絶対ワザとですわね」

「…ん、地獄絵図。状況をみるに、戦況は恐らくツインテがやや有利…かも」


外野が冷静な戦力分析を始めたようだ…そんな暇があるなら助けてくれ。

あ、おい顔そらすなよファイス!



そしてその後、フィッテ・ツインテちゃんのキャットファイトが始まり、落としどころが見つかる頃には俺の顔に数多の手形が存在していた…



「…え~、というわけでツインテちゃんは両親の元へ送り届けます。騎士の一部が腐敗しているために信用するには至らず、俺が直接行動することになりました」

「えへへ、なんだそういうことだったんだねっ!それなら最初からそう言ってくれればいいのに、ゼノンくんはお茶目だね?」


最初から言ってましたよフィッテさん…


「まあ、ゼンンが説明不足なのはいつものことですわ」

「そうね、もっとはっきり言えばよかったんだわ」


言えるタイミングなんてなかったんだよ…


ちなみに、顔をそらした上に爆笑していたファイスにはいつか仕返しをする予定だ。

許すまじファイス…


そしてその後は俺もギルド試験をサクッと合格し、Eランクになって町を出た。

この大陸の冒険者もFから始まりSで終わるようなので、特にいままでとルールが変わっている所とかは無いようだった。

まあギルドの試験官は向こうより強かったけどね。



「…で、結局どっちに向かえばいいんだ?まあ恐らく前線基地っぽいところは論外なんだろうけど」

「騎士団の本部に行けばあの腐敗した騎士を罰することはできるけど、そんなのはお父様とお母様にまかせておけばいいわ。まずは私の実家に戻るのが先ね」


まあ伯爵家の令嬢に剣を向けたわけだし、こちらが動かなくても勝手になるようになるか。


ちなみにお忍びで抜け出してきているため、ツインテちゃんの捜索のために私兵がこちらに向かってきているはずとのこと。

万が一に備えて俺たちも一緒についていくけど、これはこれで誤解を受けそうだな。

まあ、誤解してもすぐ分かる問題だし別にいいんだけど。



そんなわけで屋根の無い馬車で適当に進むこと2時間弱、街道の反対側からそれらしい人たちが向かってきた。

恐らく捜索隊と思われる人達が10人ほどで向かって来ているようだ。

向かってきた捜索隊の人たちのメンバーは私兵がほとんどで、執事のような服を着た青年が一人だけいる。

一応馬車も引いてきているようだが、誰もいないところを見るに、ツインテちゃんのためだけに持ってきてるっぽいな…


すると執事服の青年が声をかけてきた。


「…見つけましたよお嬢様!これで何回目の逃亡ですかっ!?」

「うるさいわね、結局いつも無事なんだからいいじゃないの。そんなことより今回は私の欲しいモノが見つかったし機嫌がいいの、さっさと屋敷につれていってちょうだい」


あんたいつも逃亡してんのかよ、執事さんの顔がめっちゃやつれているぞ。

逃げられる理由としては、他の人の感情を読み取って気配察知の代わりにしたり、手助けしてくれる人や自分に気づいていない人なんかを選別して進んできたんだろう。

教会の近く限定だが、便利な能力だな…


執事さんが可哀そうだし、ツインテちゃんが今後も脱走しないようにクギを刺しておこう。


「…いやいや、さっきのはかなりギリギリだったじゃん。…というか俺が騎士たちを倒さなかったら今頃魔族のエサだったと思うんだが」

「なっ!?それ今言ったらダメじゃない!アンタどっちの味方なのよ!」


執事さんの味方です。


「…なにやらお嬢様の身に危険が迫っていたようですね、情報の提供とお嬢様の救出に感謝します。それと失礼ですが、あなた方にも屋敷でお話しをしなければなりませんね。なに、お嬢様がこうして助かっている以上はほとんど謝礼の話みたいなものですよ」


まあ話すだけなら別にいいんだけどね。

ただそれだけで終わるとは到底思えないし、やっぱりめんどくさい事になりそうな予感がする。




そしてその後、夜になった頃くらいに伯爵家の屋敷に辿り着いた。

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