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105 契約魔法

俺の2戦目の試合だが、王国の宮廷魔術師長さんには悪いけどガチガチの物理攻めをさせてもらった。

3歳の時にも勇者騒動の件で一度会っているので、向こうは勇者の特権の一つである元素魔法勝負を望んでいたみたいなんだけどね。


…まあでも勝負である以上は盛り上がりよりも結果だ、勝てるように戦って勝たなきゃ油断してるのと同じだし、これはしょうがないと思う。


…それじゃ早速パパンとギル兄さんの試合を見学しに行こうかな、まだ序盤のはずだ。


──Bブロックの会場に辿り着いた。


「はぁっ…はぁっ…チィッ!!」

「どうしたギール……黒竜の王と修行し、装備の力まで手に入れてもう降参か?」

「はぁっ…はぁっ…くそっ!! …そんな訳ないだろ父さんっ、俺は今まであなたを目標にして生きてきたんだ。ただ逃げるだけの子供だった俺が、最初の一歩を踏み出した時も、自分の力で環境を変えようとした時も、どんな恐怖の中でもっ! あなたの背中だけを追いかけてきたんだよっ…」


…どうやら序盤どころか最終局面レベルに追い詰められているようだ。

現在のギル兄さんは騎士王のマントの力で壊れない盾[アイギス]と騎士王の大剣を装備して戦っている。


比べてパパンは剣聖シリーズと思われる二刀流装備で、盾や鎧を掻い潜りギル兄さんにダメージを蓄積させていってる感じだ。

ギル兄さんの装備の防御力が無駄に高く、一発一発のダメージが絶対防御を使うタイミングではない事から徐々にダメージが通る感じだな。

絶対防御を使えるようなタイミングで大技を放ってくれれば良いのだが、こんなに細かいダメージでは使いようがない、これが経験の差っていう奴か……


そしてこのままではジリ貧だと悟ったのか、ギル兄さんが何かを仕掛ける態勢に移った。


「力は既に追い付いてるはずなんだが、結局俺では一撃も入れることが出来なかった…やはりあなたは俺が目指した最強の騎士、剣聖ロイルだ。…だから、俺も次のスキルに全てを掛ける事にする。これが今の俺の全てだ…【契約魔法・竜王覚醒】」


ギル兄さんが魔法ともスキルともつかない謎の詠唱を終えた瞬間、途方もない闇の魔力が噴出した。

ってなんだあれ、あの闇の魔力ってまんまギラの魔力だぞっ!?


噴出した闇の魔力は徐々に膨らんでいき、発動拠点中心にDブロックの半分ほどを埋め尽くしていった。

たぶんあの闇に触れるだけで魔力がガリガリ削られていく気がする、パパンも危険を察知して闇から距離をとっているしな。


…そして膨らんだ闇が晴れた時、体の部分部分に細かいウロコで覆われたギル兄さんが立っていた。


「……っ。なんだそれは、…まさかあの黒竜の力と交わっているのか?」

「…そうだ。ギラと契約を交わし、黒竜の力を一時的に加算する竜王状態。まあ、今の俺じゃ引き出せる割合が低すぎる訳だが」


なんか竜王モードになったらしい、ありかそんなん。

確かにさっきよりも数段力が増しているが、契約である以上は対価が必要なはずだ。

その証拠に現在進行形でギル兄さんの魔力が闇の魔力に食われ続けている、おそらく維持できるだけの魔力が食われたら変身が解除されてしまうのだろう。


…そしてギル兄さんが動き出した。


「…【モードチェンジ・カリバーン】…いくぞ父さん【暗黒連剣・閃】」

「……ぬぅ!?」


うわ、めっちゃ速い……


スピード特化のパパンですら回避できない闇の光線が幾重にも襲い掛かっている、しかも暗黒連剣どころか二刀流になった剣から光線が止まることがない、そんなばかな…


…考えられる要因としては、契約者本人の魔力が尽きるまでの間は契約相手の魔力を逆に使い放題になるという線が強い。

ギラの魔力は俺にくらべたら微々たるものだが、人間に比べたら膨大な闇の魔力だ…今のギル兄さんからすれば無尽蔵と大差ないだろう。


そしてついにパパンへのクリーンヒットが決まった。


「……ぐ、ぉおお!?」

「…時間制限的にも勝ち目があるとしたらここしかない、これで最後だ【暗黒竜剣・爆】っ!!」

「……まだだ、…俺は最後までお前たちの壁になるぞっ!!【紅蓮聖剣・爆】っ!!」


パパンが意地を振り絞った光+火の剣戟で応戦した。

光属性は剣聖装備の効果だろうけど、どうみてもギル兄さんの攻撃力が上だ…さすがに無理がある。


そして最後の一撃がパパンの剣を押し返した。


「……うぉおおおぉおおおおっ!!」

「…ここまで、か。……強くなったな、ギール」


…ズドンッ…

……


剣の爆発がパパンを闘技場の壁に叩きつけた。

…起き上がらないってことは、決着かな。


「「「…………」」」


審判が固まっている…仕事してくれ。


「け、剣聖が負けた……? し、勝者!ギール・クロスハートォオオ!!! 今ここに、新たな剣聖が誕生したぁーーーっ!」

「「「ウォオオオオオオ!!」」」


終わったようだ……

これでギル兄さんは名実ともに最強の騎士となったわけだ…既に竜王モードは解除されパパン同様気絶してるけどね。


「「「ギール!ギール!ギール!」」」


剣聖が負けたあまりの衝撃に、会場が落ち着く様子がない。

これはもう次の試合までこんな感じだろうな、


それにギル兄さんも次の試合に出られる状態じゃないし、恐らく棄権を選ぶだろう。

となると、ラストまでいけばハドウが相手になる可能性が高いな。



そしてしばらくして皆の所に戻ったところ、ヴァニエはハドウに負け、エレンはクロウに負けてしまっていたようだ。

ハドウはユニークを使用した状態で既にS級に到達している事を考えると、さすがに分が悪かったかもしれない…

エレンはクロウといい勝負だったようで、シャイニングロードで最後まで張り合ったが一歩及ばなかったようだ。


てなわけで次はクロウとの試合になるが、結局対策する時間なかったなぁ…



ゼノンとカーデリオン王国の宮廷魔術師長の件ですが、【12 冒険者ギルドへGO】の冒頭部分で一度面識があります。


竜王状態発動には契約が必要ですが、覇者シリーズを装備できるわけではありません。

覇者シリーズは本人の無属性魔力量が最低でも2000は超えていないと、グローブすら装着ができないです。


エレンに関してはシャイニングロードを使用し続けた状態でクロウと互角ですが、燃費の点でエレンが若干不利です。

1000近い魔力のおかげで勝負そのものは拮抗します。

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