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104 ゼノンvsアーゼイン

翌朝、ルーシーを加えて闘技場に赴いた。

やはりここからが本番というだけあって観客の数もかなり増えている、闘技場の一般席なんかはすでに満員で外から覗こうとしている人が大半だ。

屋根や木に登ったりいろいろだな。


「トーナメントは4ブロックに分かれるのか…これだと一人が試合してる間にいろいろ終わってそうだな」

「1日で終わらせるみたいだからね…このくらいのブロック数は仕方ないさ…」


最初から本選に入ってる人が多いみたいだしそうなるか…


ちなみに大会1試合目の主な組み合わせは以下の通り。


【Aブロック】

俺vsアーゼイン

Aランク冒険者vs王国宮廷魔術師長


【Bブロック】

エレンvsAランク冒険者

クロウvs教国の大賢者


【Cブロック】

ヴァニエvsフィッテ

ハドウvs帝国騎士団長


【Dブロック】

ギル兄さんvs王国近衛騎士長

ファイスvsパパン


となっている。


本当はもっと出場してもいい選手はいるんだろうけど、カーデリオン王国の王のおっさんみたいに立場上出れない人が多いのかもしれない。

ママンだって魔法に関してはA級だけど出場してないしね、しがらみの多いA級までいくと逆に出ずらくなるんだろう。


さて、俺の相手は危険度なら最高クラスであるアーゼインだが…奴の主な能力だけで対策を立てることはできない。

おそらくアーゼインは俺が対策してくることくらい計算にいれてるはずだ、であるならばそのまま直線的に考えても罠に嵌るのがオチってわけだな。


ならばどうするのかというと、心理戦で勝てないなら心理戦をしなければいい。

純粋に俺の力を発揮させて勝つ、俺にとってプラスにはならないがマイナスにもならない、純粋な実力勝負で行くつもりだ。


「よし、体調・装備に異常はなし、準備は整ったな」


俺はスラキューを頭にのせてAブロックへと足を運んだ。



「来たようだねぇ」

「よぅ、アーゼイン。楽しもうぜ」

「その自信、いいねぇ? ハドウは目的があってここまで来たみたいだけど、僕は付き添いみたいなものでね、個人的には楽しいから参加してるのさぁ。君も似たようなもんなんだろぅ?」


確かにな、俺も一応の名目はパパンを超える・学校からの依頼っていうのがあるが、根本としては自分の実力を試したいっていう欲求から参加を選んでいる。

そういう意味では、試合をどこまでも楽しもうとしているこいつと変わらないんだろう。


「ま、そういうことだな」

「ハハハッ! そうこなくっちゃねぇっ。さぁ、ゲームの時間だ!」


アーゼインがそう叫ぶと同時に、選手の紹介を終えた司会の人が開始を告げた。


「それでは、試合ィイ開始!!」

「「「ウォォオオ!やっちまえトリックスター!!」」」

『儂の弟子が負けるわけないじゃろうがっ! 時空魔法の真価をみせてやるのじゃあああ!』


どうやら予選試合の派手さからアーゼインのほうが人気が高いようだな。

しかしその直後、ルーシーがマイクのような魔道具でその他大勢の声と張り合ったようだ。

ちょっと恥ずかしいからそれやめてっ!


まあ…まずは強化からいくしよう。

【身体強化】【サンダーエンチャント】【ウィンドアクセル】を使用した直後に、持久問題が解決して常時使えるようになったあのスキルたちを使用した。


「まずは小手調べだ【オーバードライブ】【希望の流星群】!!」


ちなみに希望の流星群の結界効果は「毒・麻痺・催眠抵抗(極大)」だ、アーゼインの絡め手に対しての耐性強化を優先した。

おそらくこの状態の俺はレベル130~140程度といったところか。


希望の流星群を強化に全く振れなかったのがちょっと痛い。



「これはすごいねぇ、その小手調べだけでハドウのユニーク状態を超えている。まともに相手になんてしてられないようだ。【パペット】×10」


パペットの効果で壁となるアーゼインの人形が10体出てきた。

俺の分身魔法とは違って、ステータスはコピーできないしスキルも全く別物のようだが、人形である以上は壊されるまで動く。

魔力切れで消えないっていうのも向こうの直接的な利点だな、あとは創造である以上は召喚制限がないことくらいか。


「【分身魔法】×2」


対抗手段として召喚した分身によってパペット5体vs分身1体の構図になった。

…だが希望の流星群を<本体>が発動している以上は、抵抗力は継続する、ならば5体1くらいじゃ分身の相手にはならないぜアーゼイン。


「それじゃまず一撃目、スラキューランス・ロケットモード!!」

「なっ!?槍が伸びたッ!? ……ガハッ」


アーゼインの胸を串刺しにした。

だが、こいつが本体ではないことぐらい魔力眼とワイルドセンスで把握済みだ。


そして案の定、地面に偽装していたアーゼインが背後から奇襲をかけてきた。


「クハハハッ!まず最初の一撃目を入れるは僕のほうさっ」

「そんな訳ないだろ。回し蹴り」

「なっ!?」


アーゼインが吹っ飛んでいった……。

しかし、手ごたえ的にまだダメージに余裕があると見た俺は続けて奇襲をかけることにした。


「ガハッ! なんだいこのありえない威力はぁっ、君本当に人種なんだろうねぇ!?」

「まあ、体はな」


ちなみに現在、スラキューに火の魔力を充電中。

やるのはもちろん、あれだ。


「まさかこんな一方的に追い詰められるとは思ってなかったよぉ。だけど躱せない攻撃ではどうしようもないよねぇ……?【デッドエンドレイン】…」


アーゼインが上空に死に至るレベルの毒の雨を降らせた、無駄なんだけどな。

だがあまり追い詰めすぎるとあいつが所持しているだろう切り札を使う場面がやってきそうだ、なのでそうなる前にこの一撃で終わらせる。


「じゃあ頼んだぞスラキュー。スラキューダイナマイトVer2!!」

「キューーッ!」


スラキューを向こうの頭上に投げた瞬間、俺の残った分身6体をアーゼインを取り囲むように召喚し、魔法反射を行った。



……ズガァン!!

……。

……。


2000近く込めた火の魔力の大爆発が6体の魔法反射結界の中で行き場を失い、上空に光の柱を作った。


ようするに魔力反射で密室を作り、スラキューダイナマイトの威力が拡散しないように1つの地点に集中させたわけだ。

使用する合計魔力は2000+3000で5000。

ちょっとやばい威力の大魔法だ。


そして煙が晴れると、そこには満身創痍のアーゼインが立っていた……。

やはり切り札としてなんらかのスキルを隠し持っていたか。


まあそれを確信してないとこんなオーバーキルしないけどね。



「まさか2つ目のエクストラスキルを使うことになるなんてねぇ、このスキルで防御できるのはここまでのようだし、これ以上は無理さぁ。……負けたよ、参った」


衣服そのものにはそこまでダメージがないところをみると、おそらくパペットの派生スキルかなんかなのだろう。


パペットで創造した自分の装備限定でオリジナルのスキルを付与できると考えるのが妥当かな。

あれで火耐性のスキルを付与したのだと推測する。

正直言って、あんな汎用性のあるスキルをアーゼインが攻撃に使っていたら負けは十分あり得る、そうなる前に使わせることができてよかった。


「ここで決まったようだァ! 勝者、ゼノン・クロスハート! 4年前に現れた伝説の強さは本物だったァ!!」

「「「ウォオオオオオオッ!!」」」

『もっと時空魔法を使わんかいバカ弟子がァー!!』


ルーシーの声援がいつの間にか説教に代わっていた、なんでや!


ちなみにヴァニエvsフィッテはなんとヴァニエが勝ったらしい…フィッテの精霊魔法は燃費がすこぶる悪くヴァニエが持久戦に持ち込んだ結果、最後の最後で【限界突破】を使って押し切ったそうだ。

これは俺も意外だった…まあフィッテの今のスキル構成はベースの魔力が足りなさすぎる、どこかで補わないと話にならないのも事実だ。


そしてやはりというべきか、ファイスとパパンの試合はパパンが完封勝利を収めたようだ。

まあ力の差が縮まっても経験は縮まらないしな…それに魔法は1対1だと詠唱時間が限られてて前衛と相性が最悪なのもある。


さて、次の試合はちゃっちゃと終わらせてギル兄さんの試合を見学しますかね…

他の試合も気になるが、俺はギル兄さんの本気を見てみたい。

4ブロックに分かれても普通のトーナメントとやっていることは変わりません。

ただわかり易くしただけになります。

闘技大会編もそろそろ終盤です。

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