98 分身魔法を鍛えてみよう
とりあえず2週間の間にできる事を考えよう。
ちなみに現時点でやらなきゃいけないクロウ対策はまだ途中だ…魔大陸を出発する前にクロウから訓練を受けた事はあるし、どう対策するのが良いかは分かっているが相手はクロウだけじゃない。
クロウ・パパン・ギル兄さん・ハドウ・希望の流星群のパーティメンバー・まだ見ぬ対戦相手、それぞれがとび抜けた実力を持っている。
そんな中でステ振りのポイントをいちいち消費していてはいくらポイントがあっても足りるわけがない。
それに、蒼炎の魔神に頼り切った戦い方もNGだ。
確かに俺の魔神モードは今の所最強だ、しかしいつでも最強の手段が都合よく通用する相手とぶつかるわけじゃないし、いざって時に蒼炎の魔神と相性が悪い相手と出くわしましたじゃお話しにならない。
よって、あくまでも魔神モードは最終手段と結論付ける事にする。
これは勝てない相手に勝つための切り札だ。
ではまず俺の長所と短所をまとめてみようと思う。
俺の戦闘における長所。
①使えない魔法が今の所ない、またスキルレベルがカンストしかけていることから想像力次第で自由度が高い。主に:飛べる・融合できる・回復できる・コピーできる・分身できる・瞬間移動できる・未来予知。
②魔法・スキルにおいて魔力を気にしなくていい。理由:回復速度200倍。
③致命傷を避ければ死なない。理由:回復速度200倍。
④マイナスエネルギーは効かない。備考:使う相手がいるかは謎。
⑤希望の流星群・オーバードライブの超アドバンテージ。備考:好きな箇所の強化と高レベル強化、純粋に強い。
最後:魔法と不意打ちがほとんど効かない。理由:魔力眼・ワイルドセンスによる看破。覇者のマントと魔法反射・魔力眼による抵抗力。
…以上だ、スラキュー込みならもっとあるけど、スラキューが使える場合とそうじゃない場合があるからとりあえず置いておく。
魔神は切り札で、使ったら最後倒せなきゃ魔力切れで逆にピンチだ…これも置いておく。
次に短所をまとめてみる。
①装備が動きやすさ重視で物理攻撃が通りやすい。備考:即死がありえる。勇者の願いは弱攻撃しか弾けないので、致命傷を受けたらどっちにしろやばい。
②ポイントが戦闘中じゃ見てるヒマがない。備考:このスキルで臨機応変なのは戦う相手が分かっているときのみ。
③戦闘中に鑑定とかは使えない、または使いにくい。備考:時間がかかり過ぎる。
④魔神を使ったら最後。備考:魔力回復するまでの時間はピンチ。
⑤物理攻撃のリーチが極端に短い。備考:格闘が基本で、スラキューがいるなら克服。
最後:毒・麻痺・睡眠が簡単に通る。備考:察知は出来ても抵抗力があるわけじゃない。
……といった感じに自己分析をしてみた。
そして今回の大会でネックになるのは短所の①と⑤だと個人的に想定している、理由はクロウ・パパン・ギル兄さん・希望の流星群のメンバーなど、知っている限りの物理攻撃特化が多いからだ。
これだとスラキューが居ない時に相性がかなり悪くなる。
もちろん無理して物理だけで戦う必要なんてないけど、弱点としてみた場合、ってことかな。
ならやる事は決まりだ、物理攻撃に対してスラキューを使わない戦闘スタイルの開発を行ってみようと思う。
守りにも攻めにも使えるスラキューであるからこそ、守りか攻めに使えば、どちらかが使えないという欠点がある故の結論だ。
…そして翌朝から俺の訓練が始まった。
ちなみにフィッテとヴァニエは連れてきていない、ファイスとセレナの訓練に混ざるそうだ。
「まずは分身魔法の訓練だな、分身は消えてもリスクはないから壁になるし」
とりあえず今現在一度に出せる限界点を把握しておこうと思う。
「そりゃっ!」
…ボンッボンッボンッボンッボンッボンッボンッ……
…7体が限界か。
「おそらくスキルレベルが7だから7体までなんだな、消費魔力は…微々たるものか」
だが消費魔力が微々たるものと言う事は、基本動作で出せば耐久力も持久力もない分身が作られてしまうことになる。
それでは意味がない。
「よし、2週間における訓練はどれだけ分身に魔力をつぎ込めるかの訓練に充てよう。ポイントでスキルレベルをあげても分身の数が増えるだけだろうし、何の意味もないからな」
ここらへんは魔力操作と無詠唱さんの出番だ。
…現時点でも分身に2倍くらいの魔力は注げるけど、それじゃまだまだ全然だと思うしね。
その後魔力が切れるまで分身、回復したらまた分身と分身魔法を力の限り訓練し2週間が過ぎていった…
─大会予選当日の朝。
「よし、こんなもんでいいだろ…結局分身魔法に込めるられる魔力は1体につき500までつぎ込めるようになったな。これならユニークとオーバードライブを除いた様々な戦い方を分身が行える」
ちなみに分身魔法のレベルは1しか上がらなかった、まあ2週間じゃ無理がある。
成果も出たし、とりあえずみんなの所に戻ろうか。
…宿に戻ってきた。
「ただいま~」
「…あっ! ゼノン! あなたいままで何やってたんですのっ!? てっきり大会予選の日を忘れていたのかと思いましたわっ!」
「もうビックリさせないでよゼノンくん…」
悪い…めっちゃ修行しててなんも連絡してなかったわ…食べて寝て起きて修行だったからな…
「お前がいなきゃ大会に出る意味が半減するだろ、しっかりしやがれ…こういう機会でもないと全力で戦えないんだからよ」
「…ん、英雄様おかえり」
「あー、みんなすまん。修行に熱中しすぎて皆に何も伝えてなかったわ…」
「ま、そんなことだろうとは思ったぜ…」
ちなみにまだエレンは帰ってきていないようだ、4年ぶりの里帰りだしいろいろ王子の役目があるんだろう。
まあどうせ全員予選に出るから今日会うけどね。
「よしっ、じゃあちょっと早いけど闘技場へ向かおう。エレンも既に待っているだろうしな」
パパンたちは宿を出たみたいだし、予選の見学ってとこかな。
…それから2週間のことを雑談しながら闘技場までやってきた。
ちなみに予選はA・B・C・D・Eの5ブロックに分かれていて、上位2名が残るまで戦い続けるバトルロイヤル方式だ。
出場選手一覧を見る限り[ハドウ、セレナ、ファイス]はA・[ギル兄さん、アーゼイン]はB・[フィッテ、ヴァニエ]がC・[エレン、クロウ]がD・俺がEとなる
「俺だけ知ってるやつらが居ないな…」
「ハドウって誰だ? ……お前の知り合いってことは強いんだろうけどよ」
「まあ見た感じちょっと、いやかなり異質だったかな。どのくらい強いのかいろいろわからない」
…と、そこである人物の名前が目に入った…あの召喚された勇者4人のグループだ。
「まじかよ、あいつらも出てくんのか…」
「チィッ、あのニセ勇者たちの名前だね。でもいい機会かな、ボクのブロックに紛れ込んでるみたいだよ。ふふふ」
「ちょっとフィッテ、あなた顔が怖いですわよ…」
フィッテが病んでしまった。
いったい勇者たちと何があったって言うんだオアシスよ。
ちなみに、闇フィッテのCグループには林凛と美代刹那っていう女子勇者2名が、残った男子勇者2名はEに来ていた。
なんか別の意味で嫌な予感がするが…まあなるようになれだ。
そしてしばらくしてエレンと合流した。
予選が始まります。
分身魔法は燃費が良すぎるのがいい所ですが、短所でもあります。
圧力魔法は逆に燃費が悪い所が長所であり、短所です。
覇者シリーズはいろいろ使いにくいです。




