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始まりは記憶から・伍

 



 下校時間になり、薙は自分の教室にいた。本来ならばもう、家に向かっているのだが、十二神将の二人が何処かに行ったため、薙は帰れないでいたのだ。十二神将の二人は薙の護衛だ。常に一緒に行動している。だから、薙は帰れない。そうは言っても、待つのにも限界がある。実際、薙のイライラは限界にきている。



「ようやく戻ってき……ッ!?」



 教室のドアが開く音で薙は二人が帰ってきたのだと思い、振り向いて息を飲む。そこにいたのは薙に憎悪を向けていた人物。



「……なんの、用……」



 ドアを閉めながら自分に近づいてくる相手に、そう言い、薙は窓枠を掴んでいた手に自然と力がこもる。



「理由なんて、知っているだろう」



 歩みを止めて、彼は薙に向かって手を伸ばす動作をする。そうして、次の瞬間、薙の背後の窓ガラスが割れる。



「────っ」

「〝お前を殺すため〟に下界ここへ降りてきた」



 止めていた歩みを再び再開し、彼は言う。薙はあまりの出来事に動けない。窓ガラスが割れたのに、騒がしくないのは、彼がなんかしらの術を施しているからだろう。



「殺……っ」



 近付いてきた彼に首を掴まれた彼は言葉を続けられず、顔を苦痛で歪めた。



「能力を封じられているお前を殺すのは簡単だ」



 首を絞められているため、薙は言葉を紡げない。彼は薙の首を絞める力をゆるめることなく、言葉を発する。



「……覚えておくんだな。お前は天界に存在してはならない。〝母上〟のためにも──死ね」



 そう言って、彼は薙に向かって力を放とうとした。──が、それより早く、彼の力は掻き消された。



「!」

「……お前ら……おせぇよ……」



 自分を助けた十二神将の二人に薙は言う。



「術を破ったか」



 舌打ちをしながら言い、彼は薙から離れる。二人は彼の術によって、薙から引き離されていたが、それを破り、危機一髪、薙を助けることができた。



「俺の術を破ったことは褒めてやる。だが、所詮は式神。主がいなければ、存在すらしない」



 思い出したように彼は「ああ」と言葉を続ける。



「〝勝手に〟生まれた生命いのちだったな……お前たちは」

「うるさいわねえ!」

「お前に薙は殺せない」



 いつでも薙を突き落とせる位置にいる彼は、クスリと笑う。



「確かに殺せはしない。立派なことだ……守る価値などないというのに」



 ちらりと視線を薙に向け、彼は「いや」と頭を振った。





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