表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/35

始まりは記憶から・四

 


 薙は学校に行っている間は髪と瞳の色を封じている。黒髪と茶色の瞳に。自分の教室に向かうため歩いていた薙は視線を感じ、そちらの方を見ると男子生徒がひとり、薙を見ていた。──瞳に憎悪を宿して。



「……どうした?」

「なにかあった?」



 声をかけたのは薙を守るために、生徒として侵入している十二神将の二人。



「あれ……誰かわかるか?」



 自分を見ていた生徒を指差し、問う。その生徒は薙から視線を外し、どこかへと歩いて行く。



「ああ……あいつか。殺気でも向けられたか?」

「そんなところ」



 二人のうち、女性の方が「仕方ないわ」と言う。



「なんで?」

「あいつは〝そう〟教育されちゃってるの。アンタが悪いわけじゃないのにねえ」



 彼女の言葉に薙は〝あちら〟の関係者かと納得する。



「ビミョーに記憶がねえからなあ」



 教室のドアを開けながら薙は呟き、自分の席に向かう。その後ろ姿を見つめながら、二人は呟いた。



「……その時がきた……」──と。

















 神々の住まう、次元の異なる地──天界。

 いくつもある建物にはそれぞれ神々が住んでいて、そのひとつに住む神の名は──中天紫微北極太皇大帝ちゅうてんしびほっきょくたいこうだいてい……太陽、月、四季を統括する神。



「……太皇大帝たいこうだいてい



 太皇大帝の前で、黄金の髪を持つ女性が膝をおる。



「すまないね。本来はこちらから行くべきなのに」

「構いません。太皇大帝は大切な御身ですので」



 女性の言葉に「大切なのは「内」にあるモノだけれどね」と苦笑混じりに彼は言うが、女性はそれに対して答えることはしない。



「……本題に入ろう。君を呼んだ理由はひとつ。──黄帝こうていに変化はないね?」

「はい。黄帝は今でも眠りについたままですが、もうすぐ目醒めます」

「……〝封印〟が解けるのだね。お前も下界へ降りるのだろう……錫花すずか



 女性の名を呼ぶと女性は静かに言葉を紡ぐ。



「……〝弟のために死ぬ〟のが、私の宿命です。〝弟のためだけに生み出された生命〟……違えることの出来ない、〝絶対の使命〟です」



 語るように言う錫花の言葉は自分自身に言い聞かせているようにも思える。だからなのか、太皇大帝は錫花の言葉を黙って聞いていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ