表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/35

始まりは記憶から・参



「────……」

「どした、嶺?」



 自分のことを凝視している嶺に気付き、問う。



「……薙」

「なに?」

「今日は寄り道しないで、直帰」



 嶺の答えに「なんで?」と聞き返す薙。



「不吉」

「?」



 ぽつりと呟き、煙草を箱からバラまき、言葉を続ける。



「見ろ、どぉ見ても、不吉だ」

「ンな、テメーにしかわかんねえ占いされても、わかるかあっ!」



 吠えるように叫んで薙は部屋を出て行く。やれやれという風に息を吐く嶺。



「本当に不吉なんだけどなあ……なんで、信じられんかな」

《──信用できないから》



 笑い声と共に発せられた言葉に、ぴくりと結い紐を持った手が反応する。



「わぁるかったな、信用なくて──天空」



 視線を移した先には空間が歪み、ひとりの人物が現れる。



「事実なのに、どうして怒るかなあ〜」



 嶺に近付きながら、天空は言う。事実っていうなっ、と嶺は心中で呟く。



「怒る理由アレだ、〝オカマ〟に言われたからだ」



 肩より少し長い髪の毛を結いながら嶺は言う。その言葉に天空の額に青筋が浮かび、次いで、嶺の頬をこれでもかとツネる。

 いででッと悲鳴をあげ、バシバシと天空の腕を叩く。頬から手が離されたが、ツネられた頬は赤くなっている。



「嶺くん~、〝アタシはオカマ〟って言われるのが嫌いって知ってるでしょ〜」



 頬をさすり、涙目になっている嶺に天空は満面の笑みを浮かべて言う。スイマセンねぇ、とトゲトゲしく、彼は謝る。



「──それで? どういう風に不吉なのかしら? あの子のことを〝今さら〟、不吉と言われてもねえ……」



 天空の言葉に嶺は表情を厳しいものにかえ、言葉を紡いだ。



「──薙を狙う者の出現だ」



 ────と。










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ