蚩尤・四
ぺたりと薙はその場に座り込む。
目の前には血の海に沈む、蚩尤。
「・・・れ、い・・・」
声を震わせ、薙は自分が殺した蚩尤に向かって手を伸ばす。その時、ぴくりと蚩尤の指が動き、手を伸ばした薙に触れた。
、
「────ばいばい、薙」
「!」
微笑み、蚩尤はそう言った。
「嶺!?」
まさか、と思って名を叫ぶが、彼は答えることなく、消える。
「────黄鳳よ」
自分のことを呼ぶ父親を薙は睨んだ。
「蚩尤が死んだ。最後の【証】を発動させ、俺を殺すのだ、我が息子」
「もう嫌だっ。俺にどれだけ同胞殺しをさせるんだよ!?」
涙を流しながら、薙は父親に向かって叫ぶ。
「俺を殺せば、それですべてが終了する。そうしなければ、終焉は永遠にこない」
薙を見据えて、盤古は言う。
「だいたい、何でこんなことになってンだよ!?」
「さて・・・何故だろうな? ────すべての輪はひとつになった。【証】を発動させよ」
「!?」
盤古の言葉にドクンと鼓動が高鳴った。その瞬間、紐が切れ────髪色が変化する。
「むら・・・さき・・・」
変化した己の髪に触れ、薙は呟く。
「最後の【証】は発動した。────太皇大帝」
薙の髪色が紫に変化したのを見届けてから、太皇大帝を呼ぶ。
「長い間、我が《眼》をしていた杖を返してもらおう」
「────はい」
返事をし、盤古に近付く太皇大帝。
「?」
怪訝な顔で薙は、盤古が太皇大帝の背中に手をあてている光景を見つめる。
「奴の背中には盤古様の『杖』が封じてあるんだ。お前の成長を見届ける《眼》の役目として」
承天郊の説明を聞きながら、薙は太皇大帝の背中から、自分の杖と似た形の、創造神の杖が出現した。




