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始まりは記憶から・弌



 いわゆる梅雨と呼ばれる季節、小雨の中、傘をささずに歩いている二人の人物。ちなみに閑散とした住宅地を歩いているからか、外を歩いているのは傘をさしていない二人だけだ。



「……なんっで、雨を降らすんだっ」



 少年は後ろを歩いている青年にボヤき、言葉を続けた。



「今すぐとめろ──青龍っ」

「無理を言うな。自然の雨をとめられるか」



 呆れたように青年は少年に答える。



「じゃあ、俺が家に着くまで降らせるな!」

「無理だって言ってるだろうが、馬鹿か!!」



 我が儘を言う少年に青龍という名の彼は怒鳴る。そして、少年に「おい」と声をかけ、少年の背後を指差す。



(子供……)



 青龍が指差した方を見た少年は、ひとりの子供が立っていることに気付く。

 黄金の髪をした子供で、こちらを見ていないので瞳の色まではわからないが、日本人でないことは確かだ。──いや、髪の色が黒であっても、その子供が日本人でないことがわかる。服装がどこかの国の民族衣装なのだ。近いものがあるなら、中国の民族衣装に近いだろう。



「────誰?」



 少年と青年に気付いた子供が振り向いて聞いてくる。黄金の髪と、振り向いたことで瞳の色が紫であることが判明した子供に少年は近付く。



「そりゃ、こっちが言う台詞だ。迷子か? 日本語はなせるんだな」

「十二神将の主を捜してるんだけど……アンタがそう? 後ろに立ってるのが〝そう〟だもんな?」



 子供が紡いだことばに少年は表情を厳しくする。



「こいつが十二神将ってわかるのか…………何者だ?」



 青龍の方に顔は向けていても、視線は子供に向けたまま彼は訊く。

 十二神将とはかつて、陰陽師であった安倍晴明あべのせいめいが使役していた式神で──青龍せいりゅう勾陳こうちん六合りくごう朱雀すざく騰蛇とうだ貴人きじん天后てんごう大陰たいいん玄武げんぶ大裳たいもう白虎びゃっこ天空てんくうの十二の神が十二神将と呼ばれている。




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