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黒剣騎士団の主婦盗剣士 外伝

徹夜はほどほどに レザリック Side

作者: 緒方 征羅

ログホラ副官祭に合わせてレザリック視点で書いてみました

「計算が合いませんね。どこが違ったんでしょうか?」

書類と計算した紙を見比べ悩んでいると、外から今晩の警邏当番達が戻ってきたようだ。それぞれの部屋に戻ったり、食堂に飲み物や夜食を貰いに行っているようだ。

「確か、今日の夜警当番には・・・。疲れているだろうから聞けませんね」

現在、まともに書類整理の出来るメンバーは片手で足りるほどしかいない。そのメンバーも警邏や妖精の輪の調査、円卓からの依頼など多岐にわたって仕事をしてるので、書類仕事が溜まる一方なのだ。ため息をつきながら計算をし直そうとすると、ドアをノックする音がして、お茶とクッキーを持った女性が入ってきた。

「遅くまで大変ですね。少し手を休めて、お茶でもどうですか?」

書類と計算した紙とを見比べていた私は顔を上げ苦笑いした。

「ありがとうございます。明日提出の書類なのですが、ちょっと計算が合わなくて・・・」

お茶とクッキーを受け取りながら言うと、何故か私の顔を見て彼女は苦笑していた。

彼女はお茶を飲みながら、私の書きかけの書類を見ていた。

「レザリックさん、ここの数字が違ってます。後、これは記入する場所を間違ってますね」

「ん!あぁ、そこが間違っていたんですね。助かりました」

お茶を飲んで、ひと息ついていた私は彼女が指摘したところを見て納得する。

彼女は飲んでいたお茶を一気に飲み干すと、

「さてと、手伝います。期限が短いものは・・・」

言いながら、机の上の書類のタワー郡の一つを別の机に置きなおして簡単に仕分けしだした。彼女は独身の時に事務員をしていたらしいので、まともに書類整理できるメンバーなのだが、円卓からの依頼と先ほど警邏当番を終えたばかりなのだ。

「貴女は警邏から戻ってきたばかりで休んでないですよね?無理に手伝う必要ないんですよ」

慌てた私を見て、彼女はあきれた様子で

「そんな事言ったって、レザリックさん何徹目ですか?私の記憶だと3徹目に突入していたと思うんですけど、もう少し私たちを頼ったっていいんですよ」

と怒ったように言われ、黙ってしまった私を見て、書類の仕分けの続きをしている。反論できなくなった私は仕方なく、先ほど言われた所を訂正する。

「さてと、帳簿類から片付けていきますか・・・」

彼女は呟いた後、机の引き出しから算盤を出し計算をしだした。深夜の執務室に算盤のリズムかるな音が響き眠気を誘う。いけない寝てしまいそうになった。

仕事しなくては・・・寝て・・しま・・・ったら・・・・書類が・・・・・・。不意に算盤の音が止まる。音がした方を見ると苦笑とも慈愛の微笑とも見れる笑顔で彼女は私を見た後、作業を再開するが見えた後、意識は深いところに落ちていくのを感じた。




夜が明け、空が白く明るくなり始める頃、私は仮眠用の長いすに横になっていた。掛けてあったマントを持って、その持ち主である人物を見る。

「やられました、一服盛りましたね?」

私の言葉に苦笑した彼女は悪びれず答える。

「ほっといたら、そのまま徹夜する気だったのでしょう?一応、私も同じもの飲んだんですけどね」

彼女のサブ職業は毒使いなので、毒に対する抵抗力は私よりもはるかに高い。

「一緒にしないでもらえますか…そこまで抵抗力は高くないので」

「そんなに強い睡眠薬つかってないですよ。平常時には問題なく抵抗できるくらいのものですよ」

お茶の中に入れたであろう毒を私に示し、彼女は肩をすくめる。それは毒使いの低レベルで作れる睡眠薬だった。なんだか、すごく悔しい思いをしていると。

「眠気が襲ってきたところに、算盤の音はいい子守歌だったでしょう?」

彼女は笑いながら言うので、ますます悔しいやら情けないやらで手に持ったマントを頭からかぶり長いすに倒れこんだ。

「そこまで言うのですから、後はお願いします。会議の2時間前に起こして下さい」

「分かりました。おやすみなさい」

彼女はクスクス笑いながら言うと、書類仕事を再開したようだった。

子持ちの女性には敵いませんね。どうして、こうも男前なんでしょうか?巷で黒剣騎士団一のイケメンと言われるのがなんとなく解りますね。そう言えば、彼女は渋い顔をするでしょうけど。内心で意趣返しをして、そのまま眠ってしまいました。


レザリックにまで黒剣一のイケメン認定されてしまうキリー

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