『成人式』
娘の成人式準備。
「父親なんだから半分払って当然でしょ。」
元嫁はそう言って、
分不相応な、高額な見積書を送りつけてきた。
父親は
「娘のためのお金を出すこと」自体を拒んだわけではない。
「本当に必要な金額なのか。娘本人とも話をさせてほしい。」
そう伝えた。
元嫁は反発した。
「私が決めたことだから。」
「親なんだから黙って払ってよ。」
しかし、父親も娘も、もう元嫁の思い通りに動くことはなかった。
二人は直接話し合い、
本当に必要なもの、
削れるもの、
お互いが納得できる負担を、二人で決めた。
その瞬間、元嫁を通さなくても問題なく、親子でちゃんと話し合いができることが証明された。
父は約束した金額を支払い、娘は感謝を伝えた。
それで終わった。
終わったのは成人式の話、ではない。
元夫婦の、ズルズルと続いた、なかなか切れなかった縁だ。
父親は、元嫁とは一切連絡を取らなくなり、父と娘は、直接連絡するようになった。
父と娘の親子の関係からは、母は完全に消えた。
母の思惑の影響を受けなくなった父娘の関係は、以前よりも自然で、穏やかなものになっていった。
一方で、
離婚してからも、
ずっと自分が持っていると、
元嫁が思っていた、
父親と娘を思い通りに動かせる手綱は、跡形もなく消えていた。




