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俺の姉は猫を被っている

小説を書くのが初めてです。

関西住みで思いついたお話なので面白かったら嬉しいです。

おかしな点があってもお手柔らかにお願いしますm(__)m

天崎駅から少し歩いた住宅街。

俺、橘悠真は一つ年上の姉と並んで帰路についていた。

周りからは最初はカップルと間違われたりしていた。

「悠真、今日の学校はどうでしたか?」

隣を歩く姉——橘美桜は、私立の名門女子高に通う美桜は、長い黒髪を優雅に揺らして微笑んでいる。

学校では「美桜さん」と呼ばれ、誰からも憧れの的だ。


「まあ、普通かな。美桜ねぇは?」

「ふふ、私もいつも通りですわ」


……いつも通り…ね。

俺は内心で苦笑した。

この完璧な笑顔の裏側を、俺だけが知っている。

天崎川に架かる橋を渡り、河川敷沿いの道を歩いていると、美桜がふと足を止めた。


「あら、懐かしいね。ここ」


橋の下のコンクリートの壁。

昔、小学校低学年の頃、俺と美桜ねぇは某忍者アニメの影響でよくここで忍者ごっこで遊んだ。


「忍者ごっこやってたな。あの壁に沿って何秒走れるかって競いあってたっけな」

「ええ、そうやったね……」


美桜の目が少し細くなる。

表の顔では絶対に見せない、いたずらっぽい光が宿っていた。


「悠真。当時、私はどれくらい長く走れたんやったっけ?」

「え? 急にどうしたんだよ」


美桜はくるりと俺の方を向くと、いつもの優雅な笑顔を一瞬で脱ぎ捨てた。


「ほら、勝負や! どっちが長く壁走れるか、やってみい!」

「……は?」


声のトーンが完全に切り替わっていた。関西弁全開の、男前モード。

父が関西出身で家では、関西弁をよく使っていた影響で、美桜は父に似て完全にそのノリと性格を継いでいる。

一方、関東出身の母に似て俺は、関西の血は薄かったみたいだ。


「小学校の頃、ナ○トの影響受けて、毎日ここで練習してたやろ?あの頃のウチ、意外と頑張ってたと思うんやけどな〜。今ならチャクラ練れるんちゃう?」 


美桜は制服のスカートを軽く押さえながら、コンクリートの壁に足をかけようとする。


「待て待て!今更何やってんだよ!しかも制服のままで!」

「ええやん、誰も見てへんし体操服のズボン履いとるわ。ほら、お前も来い!」


俺は慌てて周りを見回した。幸い、夕暮れの河川敷に人影はない。

美桜は助走をつけ壁に横向きに足を乗せ、壁走りをしている。

その姿は、完璧お嬢様とはほど遠い、子供の頃のままの姉だった。

凄い…壁の半分ぐらいまで走ってる…


「どや!まだまだいけるで!次はお前や!」

「美桜ねぇ、危ないって……」

「ほぉ…負けを認めんねんな…」


これを言われ少しカチンときた。勝負事になるとやっぱり少しでも関西の血が入ってるんだろうなと思った。

俺は鞄を置き、軽く準備運動をする


「……負けたらアイス奢りな…」 


姉は親指を前に出し、ええで!と

俺は壁に向かって勢いよく右足から、壁を蹴った。

最初は良かったが、姉のように走れなかった。3、4歩ぐらいで重力に負け両足が地面に着く。

どうやってあの距離走れたんだ?…

昔と同じように、お互い何回か壁を走った。

風が吹いて、美桜の長い髪がふわりと舞い、

楽しそうな姉の横顔を見ながら、俺は思う。


——この素の姉を知ってるのは、俺だけなんだ。


美桜が勢いよく最後の部分を駆け抜け、地面に着地した。


「よっしゃあ!ウチの方が長かったな!勝利だってばよ!」

「ぜぇ……ぜぇ……負けた……この体力お化けめ……」


俺が苦笑しながら着地すると、美桜は満面の笑みで俺に言った。


「誰がお化けやねん。」

そして、両手をぐっと握りしめて、子供の頃そのままのポーズで叫んだ。 


「ウィーアーファイティングドリーマーズ!!」


……無茶なことばっかり言ってくるけど、やっぱりこの姉と一緒だと楽しい。

姉というより兄っぽいけども


「はぁ〜あっつ…早よアイス買いに行こ」

「わかったよ。セフンでいいか?」

「スイカボーでよろ」


会話しながら鞄を持ち雑談をする。

姉はこう見えて?ゲームも好きだ。コンビニまで発売が近いゲームの話をしていた。


「続編ってほんまに大丈夫なんか?大体無印を超えることってムズイやろ?」

「でも買うんでしょ?」

「そらな。ファンとしては……あっ」


コンビニに入ると姉のクラスメイトがいた。

手を振って近づいてきた。


「美桜さーん。さっき振り〜弟くんと一緒なんだ!いつも仲良いね」


滅多に同じ学校の人とは遭遇しないコンビニ、何故いるのか聞くと最近始めたバイトの近くにあったから来たとのこと。


「あら、ミカさん。奇遇ですね」

この切り替えの速さよ…

本人は無意識で切り替えれるらしい、ちなみに別に無理はしていないが、あのノリをやると幻滅されるのが怖いらしい。


「美桜さんは何か買いに来たんですか?」

「アイスをね。スイカボーを」

「へー意外。てっきり1番高いアイスを買うのかと思った。私も同じの買おうと!」


ミカさんはスイカボーを手に取りレジへ、そのまま挨拶をして帰って行った。


「嵐のような人だね」

「元気いっぱいでええ子やで」

「返答が近所のおばちゃん」

「誰がおばちゃんや。お姉ちゃんや」


思いっきり胸にバシっと手でツッコまれた。

スイカボーを買い帰路に着く。

「「ただいまー」」

今日も長いようで短い一日だった。


翌日、学校付近のコンビニからスイカボーがなくなる珍事件が起きたのはまた別のお話。

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