第3話:爆裂魔法志望者③
「……金!!」
「金が必要だ!!!」
「金が必要なんだよ!!!」
「こんなの無理だろ!!!」
「異世界に来てやってることが――」
「ホームレスと肉体労働ってなんだよ!!!」
「現実でもやったことねぇぞ!!!」
「ルナ……なんか方法ないのか?」
「頼むから何か言え……」
「うん!あるよ!」
「何だよ?」
「私はこの世界の通貨単位、つまり国教なの!」
「一番大きいのが“月の教団”だし!」
「……いや待て」
「それでなんで信仰低いんだよお前」
「しかも通貨がお前の名前なのかよ……」
「まぁ……そういうこともあるんじゃない?」
(こいつ終わってるだろ……)
「じゃあ金は?」
「んー、私が自分を名乗って稼げばよくない?」
「!!!」
「初めてまともなこと言ったな、ありがとう」
「さっさと自称しろ、このクソ女神」
「はぁ!?」
「嫌よ!!信者にそんなことできない!!」
「さっき言ってただろ!!!」
「“自称すればいい”って!!!」
「それは冗談でしょ!!!」
「どこが冗談だよ!!!」
「区別しろ!!!」
「……」
「おい、またその顔するな」
「……分かった」
「募集から始めるから、ちょっと待ってて」
「いい?」
「……うん」
「よし、いい子ね」
募集広告。
「家族のような雰囲気のパーティです!」
「このパーティに入ってから体調が良くなり――」
「女神のような人に粉々にされました!!!」
(上級職募集)
「……募集文は問題ないな」
「お前はアークプリーストで……」
「俺は……職業あるのか?」
「ヒキニート」
「おい、それパクリだからやめろ」
その時、足音が聞こえた。
誰かが近づいてくる。
「……!」
「まさか……」
「え?」
「え?」
「前にホームレスだった……」
「前に金あげた……」
「いや待て」
「なんだこのクソみたいな展開!!!」
「クソとは失礼ですね!!」
「初対面ですよ!?」
「フフフ……ですが!」
「それもまた異世界の厳しさでしょう!!」
「は?」
「私の名はミンゴニング!!」
「アークウィザードにして、人類最強の魔法――」
「激烈魔法を扱う最高級の人材です!!」
「ですので私をパーティに――」
バタッ。
「おい、大丈夫か?」
「お腹すきました……」
「ご飯ください……」
「あなたにお金をあげたせいで、私もお金ないんです……」
「……そうか」
「カズキ、その子誰?」
「また子供いじめてるの?」
「違ぇよクソ女神!!」
「勝手に人を最低野郎にするな!!!」
「子供じゃないです!!」
「立派な大人です!!」
「何歳?」
「14……」
「……俺より年下じゃねぇか」
「子供だろ」
「違うって言ってください……」
「待て、その子普通じゃない」
「!!」
「ついに私の真価に気づきましたね!!」
「フフフ……」
「普通じゃないのは確かだな」
「名前どうなってんだよ」
「ミンゴニングって」
「話遮らないでください!!!」
「この子、激魔族だよ」
「黒髪と赤い目……」
「は?」
「魔族か?」
「違うわよ」
「魔法特化の種族」
「ほとんどがアークウィザード」
「数が少ないだけ」
「……名前が変なだけね」
「待て、それ普通に大物じゃねぇか!!!」
「フフフ……その通り」
「私は激魔族でも最高の才能を持つ――」
ぐぅぅぅ……
「お腹すいた……」
「……飯奢るわ」
「うん!!」
「これでいいか?」
「はい!!」
「……」
「じゃあまずはモンスター狩りだ」
「お前ならいけるだろ?」
「当然です!!」
「激魔族ですから!!」
町の外。
「いけるって言ったよな!!!」
「できるって言ったよな!!!」
「無理!!!無理!!!」
「なんで私に来るの!!!」
「うわああああ!!!あっち行け!!!」
「お前昼だから弱いんだろ!!!」
「無理!!!トカゲ怖い!!!」
その瞬間。
周囲の魔力が一点に集まる。
「……!?」
「ミンゴニング……いや名前なんなんだよ!!!」
「それより何してんだ!!!」
「集まれ……集まれ!!」
「万物の根源、全ての力の始まり――」
「人類最強の魔法!!」
「撃て!!ディフォメーション!!!」
ドォォォン!!!
「うわあああああ!!!」
巨大トカゲが一瞬で5体消し飛んだ。
「へへ……」
「ナイス爆裂でした……」
バタッ。
「おい、それパクリだろ」
「いやなんで倒れるんだよ!!!」
「私の魔法は一発限定なんです……」
「魔力消費が激しくて……一日一回が限界……」
「おい待て!!!」
「じゃあアレどうすんだ!!!」
「助けて……うえぇ……」
「うわああああ!!!」
「食われた!!!」
「助ける!!!」
ガンッ!!
「ひぇっ……」
「ありがとう……」
「うわああああ!!!助けて!!!」
「カズキ!!!私を先に助けて!!!」
「またお前かよ!!!」
ガンッ!!
「……うぅ……」
「汚れた……」
「女神なのに……」
「女神なのに!!!」
「……」
「とりあえず一件解決!」
「どこがだよ!!!」
アクセルの町。
「……トカゲってこんな臭いのかよ」
「それよりお前、ほんとに動けないのか?」
「おぶって移動とかキツいぞ」
「はい……無理です……」
「……そうか」
「それより、なんであんな魔法使えるんだ?」
「ついに爆裂魔法に興味を持ちましたね!!」
「おい、激烈だろ!!!」
「いつ爆裂になったんだよ!!!」
「気になりますか!?」
「私は爆裂魔法(激烈)を使うために――」
「アークウィザードになったんです!!!」
「……マジかよ」
「カッケェ……」
「効率全部捨ててるけど、信念はすげぇな」
「^^b」
「^^b」
(やべぇ、こいつルナと同類だ……)
(断るしかない……)
「いやでも俺らまだ初心者だし――」
「お前みたいな大物は他行った方が――」
「私は爆裂魔法を使うために――」
「やめろって言ってんだろ!!!」
「食費だけでいいです!!」
「全然よくねぇ!!!」
「……」
「おい、あそこ同じ激魔族いるぞ」
「どこです!?」
「え!!」
「ちょっと待って!!!」
「カズキ!!!」
「시발 逃げろ!!!」
「この少年一家に最後の金を!!!」




