第11話:この哀れな者たちに住処を!!!⑪
数日後――
「……!!」
「寒い!!!」
「いつまで野宿する気だよ!!!」
「ひぇっ……カズキ……!!」
「寒いです……!!」
「何か方法はないんですか……?」
「……!!」
「カンッ!!」
「方法がある!!」
「何ですか!?」
「抱きしめろ」
「嫌です」
「なんでだよ!!!」
「こういう時は自然に抱きついて、恋愛フラグが立つのがテンプレだろ!!!」
「カズキ……ここは現実です」
「ラブコメじゃありません」
「くそがあああああ!!!」
「ルナ!!」
「嫌」
「……分かりました」
「だからその手の魔力を下ろしてください……」
「デリニスは?」
「どこ行った?」
「デリニス?」
「言ったでしょ。体力訓練で実家に帰ったって」
「시발!!!」
「俺らは野宿してんのに!!!」
「ありえねぇだろ……」
「ギルド……!!」
「ギルド行くぞ!!!」
「そこが一番暖かい!!!」
ギルド内。
「受付のお姉さん……」
「依頼を……いや」
「生存をください!!!」
「え……?」
「依頼なら一つありますけど……」
「何ですか!!!」
「雑用でも何でもやります!!!」
「魔道具店に荷物を届ける依頼です」
「場所がアクセルの外れなので……」
「!!!」
(まさか……このテンプレ……!!)
「その店員って……もしかして」
「はい、美人女性です」
「しかもスタイルも良くて――」
「!!!!!」
ガシャァァン!!!
「今すぐ行く……」
「止める奴は――」
「透明魔法」
「スティール」
「クリエイトウォーター」
「フリーズ」
「全部ぶち込むぞ……」
「……最低ですね」
アクセル郊外。
魔道具店。
「店の名前が……」
「……え?」
「なんだこれ」
「ドSエンターテインメント……?」
「시발!!どんな企業だよ!!!」
ドン!!!
「ぐああああ!!!」
「カズキ!!!」
「大丈夫ですか!?」
「カズキ〜?」
「大丈夫だよな?」
「すみません!!!」
「……!!」
「お客様ですか?」
「それとも依頼ですか?」
「ここまで来る方は珍しくて……」
「……依頼です……」
「ぐっ……」
しばらく後――
「目が覚めましたか!」
「私はセリル!」
「セリルです!」
「確認なんですが……サトウ・カズキさんですよね?」
「……え?」
「はい、そうです」
「魔王軍幹部を倒したと聞いて……」
「あ、はい」
「俺が先頭で――」
「第1幹部を――」
「9幹部ですよね」
「シッ!!!」
「とにかく倒しました!!!」
「そうですか……」
「ベルニスさんは剣術に優れていたはずですが……」
「すごいですね」
「……え?」
「ちょっと待て」
「なんでそれ知ってんだ?」
「私はセリル」
「セリドリア・リル」
「魔王軍第2幹部です!」
「……」
「捕まえろ!!!」
「うわああああ!!!」
「何してるんですか!!?」
「カズキ!!!」
「ついに5億の借金返せるぞ!!!」
「嫌です!!!」
「私は賞金もないし民間被害も出してません!!!」
「しかもよく見たらリッチじゃねぇか!!!」
「リッチは陰気な場所が好きなんだよ!!!」
「女神として許せねぇ!!!」
「だからこんな場所で店やってんだろ!!!」
「ひどいです!!!」
「私にも夢があるんです!!!」
「ギルドに売り飛ばすか……」
「おい……人の心あるのか?」
「それより」
「一旦離せ」
「冗談だろ?」
「ルナ、よく考えろ」
「俺たちは9幹部相手でもギリだった」
「でもこいつは会話できる」
「民間被害も……今は信じるしかない」
「刺激するメリットがない」
「話を聞こう」
「……何かあれば浄化する」
「いい?」
「……ああ」
「ありがとうございます……」
「でも……女神って……本当に?」
「そうよ!!」
「私はルナ!!」
「月の教団の女神よ!!!」
「ひぇええええ!!!」
「助けてください!!!」
「夢もあるし!!」
「やりたいこともあるんです!!!」
「よく見ろリッチ!!」
「変なことしたら即浄化だ!!!」
「……昼だから無理でしょ」
「カズキ黙って!!!」
「その秘密言うな!!!」
「ひぃぃ……」
「今日は……何の用ですか……?」
「私を消しに来たんですか……?」
「違う」
「依頼だ」
「今金がない」
「どんな依頼か教えてくれ」
「あ!」
「屋敷に呪いがあるっていう依頼です!」
「……屋敷?」
「条件は?」
「成功すれば屋敷の所有権を譲渡――」
ガシャァァン!!!
「どけえええええ!!!」
「今すぐ行くぞ!!!」
「落ち着いてください!!!」
「カズキ!!!」
「冷静に判断を――」
「その屋敷、かなり大きいですよ!」
「魔道具も残ってるはずで――」
「!!!」
「カズキ!!!」
「今すぐ走るぞ!!!」
「魔道具は我慢できない!!!」
「行くぞ!!!」
「おう!!!」
「……あの、ルナ様?」
「これ……離してくれませんか……」
「私も資金が厳しくて……」
「ダメ」
「ひぇええええ!!!」
「この哀れなリッチに祝福を!!!」




