夢で出会った死神
200X年の9月、私は20歳の誕生日を迎えた。
その夜は家族が盛大に祝ってくれた。
「おめでとう!」
「これからの人生楽しみだね!」
「早いところ結婚するんだぞ~」
家族からの祝いの言葉を肴に酒を飲む。
しばらくして、父から1本のワインをプレゼントされた。
「ほら、これ誕生日プレゼント。」
「そんなに高いもんじゃ無いけどな!」
『ありがとう!大切に飲むよ!』
初めて感じる、フワフワと幸せな気分。
(あぁ、これが酔うって感覚かぁ。気持ちいいな……。)
そう感じた直後には記憶が飛んでいた。
案の定、酔いつぶれて寝てしまったのである。
そしてこの後に、私は彼と出会う事になる。
[こんばんは。20歳の誕生日おめでとう。]
ずっしりと重く、けれども掠れがかっている声が私の脈拍の速度を上げた。
どこかで聞いた事があるような声に感じるが、分からない。
寝室の窓から覗く月明かりが照明となり、その姿が見えた。
モヤッとした人型の黒い霧状の姿に、無表情な白いマスクをしていた。
その姿は月光を吸収し、周囲の闇よりも深く淀んでいる。
禍々しさと神々しさが同居したような、明らかに異質な雰囲気が漂う。
……。(不気味な沈黙の後)
[君の人生も、今日でちょうど半分を迎えたね。]
『え??……夢か?半分って、どういう事?』
心臓がひときわ強く脈打つ。さっきまでの酔いが、一瞬で醒めた事を本能が理解した。
彼は嘲笑した口ぶりで、こう返した。
[そのままの意味だよ。また20年後に会いにくるさ。いや、お迎えと言った方が正しいかな。そうそう。君がプレゼントされたあのワイン。実は……]
そう言い残すと、彼はフッと消えた。
20年後の9月の誕生日、私はワインを片手に、幸せそうに寝ている彼の前に立っていた。




