虚偽情報拡散防止法案(案)20260308改定
前書き
本案は、いわゆる「表現の自由」を否定することを目的とするものではない。
虚偽であること自体は、直ちに違法でも犯罪でもない。小説、映画、演劇、風刺、パロディ、誇張表現など、社会は虚構を前提とした表現によって成り立っている。虚偽情報を含む表現が存在することそのものは、民主社会において当然に許容されるべきである。
本案が対象とするのは、虚偽の内容そのものではない。虚偽であることを認識しながら、国民又は社会に誤認を生じさせ、公共の判断、秩序又は安全を害する目的で、情報を生成又は拡散する行為である。
従来、受け手は情報の真偽を一定程度見分けることができるという前提があった。しかし、生成AI等の技術の進展により、その前提は大きく揺らいでいる。音声、映像、文書が高度に生成され、一般の受け手が真偽を判断できない形で流通する状況が現実のものとなった。
このような情報が、政治的判断、外交関係、安全保障、社会秩序に影響を与える態様で拡散された場合、その影響は単なる言論の範囲を超え、社会システムそのものへの干渉となり得る。これは意見の表明ではなく、行為の問題である。
本案は、表現内容の思想、主張、価値観を問うものではない。また、公益目的の報道、調査、創作活動を制限する意図もない。虚構であることが明示され、受け手が誤認しない態様で行われる表現行為は、本案の対象外である。
本案が規制しようとするのは、故意に虚偽を用い、社会を誤作動させる行為である。表現の自由が前提としてきた「受け手が判断できる環境」が失われつつある現状において、行為としての情報操作を区別する必要があるという問題意識に基づくものである。
虚偽情報拡散防止法(案)
第一章 総則
(目的)
第1条
この法律は、インターネットその他の情報通信技術を利用して、故意に虚偽の情報、映像、音声、画像等を生成し、又は拡散する行為により、個人又は法人の名誉、信用、業務、生活その他の社会的利益が著しく害されることを防止し、国民の安全かつ健全な情報環境の確保を図ることを目的とする。
(定義)
第2条
この法律において使用する用語の定義は、次のとおりとする。
一 虚偽情報
事実に反する情報であって、真実であるかのように表示、編集、生成されたものをいう。
二 生成情報
人工知能その他の自動処理手段により生成された文章、画像、音声、映像等をいう。
三 拡散
インターネットを通じて、不特定又は多数の者が閲覧し得る状態に置くことをいう。
四 重大な損害のおそれ
名誉、信用、業務、生活、社会的評価に対し、通常人が看過し得ない程度の不利益を生じさせる蓋然性が高い状態をいう。
第二章 禁止行為
(虚偽情報の故意の拡散等の禁止)
第3条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 虚偽情報を、虚偽であることを知り、又は通常知り得たにもかかわらず生成し、これを拡散する行為
二 虚偽情報であると知りながら、これを拡散する行為
三 虚偽情報を利用して、個人又は法人を攻撃、非難、告発その他の名目で社会的評価を低下させる目的をもって拡散する行為
(生成AIによる虚偽情報の特定利用の禁止)
第4条
生成情報を、実在する個人又は法人に関する事実であるかのように装い、その名誉、信用又は業務に重大な損害を与え、又はそのおそれのある態様で利用してはならない。
第三章 刑事罰
(罰則)
第5条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第3条第1号から第3号までの規定に違反した者
二 第4条の規定に違反した者
(未遂罪)
第6条
前条の罪の未遂は、これを罰する。
(両罰規定)
第7条
法人の業務に関して、法人の代表者、代理人、従業者その他の使用人が第5条に定める罪を犯したときは、行為者を罰するほか、当該法人に対しても五千万円以下の罰金を科する。
第四章 迅速な救済措置
(削除命令)
第8条
虚偽情報の拡散により重大な損害を受け、又は受けるおそれがある者は、裁判所に対し、当該情報の削除その他必要な措置を命ずる仮処分を申し立てることができる。
裁判所は、必要と認めるときは、情報通信事業者に対し、当該情報の削除、表示停止その他必要な措置を命ずることができる。
(発信者情報の迅速開示)
第9条
裁判所は、被害者からの請求に基づき、当該虚偽情報の発信者に関する情報について、迅速な開示を命ずることができる。
裁判所は、緊急性が高いと認める場合には、通常の発信者情報開示手続に優先して審理を行うものとする。
第五章 附則
(施行期日)
第10条
この法律は、公布の日から六箇月を経過した日から施行する。
第一章 総則
(目的)第1条
この法律は、インターネットその他の情報通信技術を利用して、
故意に虚偽の情報、映像、音声、画像等を生成し、または拡散する行為により、
個人または法人の名誉、信用、業務、生活その他の社会的利益が著しく害されることを防止し、
国民の安全かつ健全な情報環境の確保を図ることを目的とする。
(定義)第2条
この法律において使用する用語の定義は、次のとおりとする。
1.虚偽情報
事実に反する情報であって、真実であるかのように表示、編集、生成されたものをいう。
2.生成情報
人工知能その他の自動処理手段により生成された文章、画像、音声、映像等をいう。
3.拡散
インターネットを通じて不特定または多数の者が閲覧し得る状態に置くこと。
4.重大な損害のおそれ
名誉、信用、業務、生活、社会的評価に対し、通常人が看過し得ない程度の不利益を生じさせる蓋然性が高い状態をいう。
第二章 禁止行為
(虚偽情報の故意の拡散等の禁止)第3条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
1.虚偽情報を、故意に生成し、これを拡散する行為
2.虚偽情報であると知りながら、これを拡散する行為
3.虚偽情報を利用して、個人または法人を攻撃、非難、告発その他の名目で社会的評価を低下させる目的をもって拡散する行為
(生成AIによる虚偽情報の特定利用の禁止)第4条
生成情報を、実在する個人または法人に関する事実であるかのように装い、
その名誉、信用または業務に重大な損害を与え、またはそのおそれのある態様で利用してはならない。
第三章 刑事罰
(罰則)第5条
次の各号のいずれかに該当する者は、
三年以下の懲役または五百万円以下の罰金、またはこれを併科 する。
1.第3条第1号から第3号までの規定に違反した者
2.第4条の規定に違反した者
(未遂罪)第6条
前条の罪の未遂は、罰する。
※ 虚偽生成や投稿準備段階で摘発可能にするため重要。
(両罰規定)第7条
法人の業務に関して、法人の代表者、代理人、従業者が第5条に定める罪を犯したときは、
行為者を罰するほか、当該法人に対しても 五千万円以下の罰金 を科する。
※ 企業荒らし・炎上商法対策として有効。
第四章 迅速な救済措置
(削除命令)第8条
被害者は、虚偽情報の拡散により重大な損害を受け、または受けるおそれがあるとき、
総務大臣に対し、当該情報の削除を命ずることを請求できる。
総務大臣は、必要と認めるときは、情報通信事業者に対し削除を命ずることができる。
(発信者情報の迅速開示)第9条
裁判所は、被害者からの請求に基づき、
当該虚偽情報の発信者に関する情報を、通常の発信者情報開示より迅速に開示することができる。
※ 従来の「数ヶ月〜年単位」を短縮し、最短で即日も可能な制度設計。
第五章 附則
(施行期日)第10条
この法律は、公布の日から六箇月を経過した日から施行する。




