武器の重さ
午後の陽射しが石畳の上に長い影を落とす中、メイは慎重で落ち着いた足取りで波止場へ向かっていた。彼女は目立つ大通りではなく、布商人の区画を通る曲がりくねった道を選んだ。そこは、用事を済ませる女性たちが頻繁に行き交う場所だった。彼女の擦り切れた木綿の服と簡素なスカーフは、数多くの女中や料理人たちの中に溶け込み、目立たぬ存在にしてくれた。
市場の端にある茶屋で彼女は足を止め、小さな茶葉の包みを買った。年配の女性店主は親しげな目をしており、茶葉を茶色い紙で包みながら微笑んだ。
「奥様のためかい?」
「はい」とメイは嘘をついたまま答えた。「ジャスミン茶がお好きなんです。」
女性は満足げにうなずいた。「上品な方だね。お前さん、よく仕えてるよ。」
――もしあなたが知っていたら、とメイは心の中で思い、茶の包みを袖にしまい込んだ。
「この屋敷にいつか“奥様”は現れるのだろうか」そう思わずにはいられなかった。
彼女は狭い路地を抜け、市場の喧騒に紛れ込んだ。銀色のコイをかごに入れた魚売り、米俵を背負った荷運び、足元をすり抜ける子供たち――その騒音と動きが、彼女を目立たなくしてくれた。
波止場が近づくと、空気は魚とタールの匂いで重くなり、商人たちが値段を叫び合う鋭い声が響いていた。揚子江は泥色の水をたたえ、午後の淡い光を反射していた。ジャンク船やサンパンが錨を下ろし、風に擦れた帆をたたんで揺れていた。そこに一隻の西洋式蒸気船が見えた。あれは彼の船だった。つまり、彼は今この波止場にいるのだ。
メイは頭を下げ、茶箱やロープの束の間をすり抜けるように歩いた。腐った魚と阿片の煙の匂いが空気に立ちこめていた。彼女は林主人の輸入商で働く中で倉庫の配置を把握していた――川辺から三軒目、扉に色あせた英国旗が描かれた倉庫。
チャールズ・トンプソンの倉庫に近づくと、彼女の手はわずかに震えていた。開いた扉の向こうで、彼は一人の中国人苦力を怒鳴りつけていた。どうやらガラス製品の入った箱を落としてしまったようだった。男の顔には汗と羞恥の跡がにじみ、トンプソンの怒声が響いていた。
「間抜けな黄色い猿め! 賃金から差し引くぞ――どうせ大した額でもあるまいがな。」
トンプソンは割れたガラスを足で蹴り、破片が床を滑って散った。「目障りだ。さっさと失せろ、もう一日分の給料を減らされたくなけりゃな。」
苦力は何度も頭を下げながら謝罪を口にし、うなだれて立ち去った。メイはその背中を見送った。彼の屈辱は痛々しく、同胞に対するトンプソンの侮蔑的な態度に、彼女の胃はねじれた。だが次の瞬間、彼女の脳裏には、痩せこけて目に力のなかった最期の梁の顔が、そして、ホウの手下によって打ちのめされたジンの体が浮かんだ。
チャールズ・トンプソンは、背が高く日焼けした顔の中年男で、顎を剃っていたがもみあげは濃かった。メイが近づくと、彼は箱を検分しており、太い指で木の縁をなぞりながら何か計算をつぶやいていた。彼女を見上げたとき、彼の顔に驚き、そして警戒の色が浮かんだ。
「お嬢さん……」と彼は言いかけて止まり、自分が以前の取引で彼女の名を聞いたことがなかったことに気づいた。
「メイです」と彼女は静かに名乗った。「林主人との商いの時にお会いしました。」
トンプソンはうなずき、彼女を値踏みするような目で見た。「覚えてるよ。通訳だったな。」
彼はあたりを見回し、彼女が一人で来たことに気づいた。「林主人の使いか? 何か伝える書簡でも?」
「いいえ」とメイは言った。「今回は私個人の用件です。」
彼の眉がわずかに上がった。女中が個人で来たというのは意外だった。「個人の用件? それは……珍しいな。」
「あなたにとっては、私のすべてが珍しいことでしょうね、トンプソンさん。」彼女は一歩近づき、声を落とした。「あなたの倉庫にあるものが必要です。あまり公には語られないものです。」
「それは……何かな?」
「火器です。小さくて信頼できるもの。女でも隠し持てて、必要な時に使えるもの。」
その言葉は、やわらかな霧の中に突然降る雹のように、彼の耳に響いた。トンプソンの表情は驚きから、信じられないといったものへ、そして次第に侮蔑的な笑みに変わった。
「中国人の女が火器だって?」彼は失笑し、首を振った。「戦争でも始めるつもりか? 子供に剃刀を持たせるようなもんだ。奥様が知ったらどう思うかね、女中が武器商人と付き合ってるなんてさ。」
その嘲り、無力と決めつける偏見――それが彼女の決意を一層強固にした。メイは背筋を伸ばし、自然と声に鋼のような響きが宿った。
「兄はあの男に殴り殺されました。奴は罰も受けずに生きています。私は、彼の下で苦しんだ者たち、これから苦しむかもしれない者たちのために正義を求めます。私の人種や性別で判断する資格が、あなたにありますか?」
トンプソンの笑みが消えた。彼女の態度――肩の据わり方、揺るぎない目の光――に、彼は戦地で“必要な暴力”と向き合ってきた兵士の視線を思い出した。
「本気なんだな」と彼はつぶやいた。
「心から。」
しばらく彼は黙って彼女の顔を見つめた。波止場は依然として賑わっていたが、彼らの間だけが静まり返り、緊迫した空気が流れていた。
「お前が求めているものは……遊びじゃない。引き金を引いたら、もう戻れない。」
「覚悟はできています。」
「本当に分かってるのか?」彼の声は硬くなった。「お前のような人間が手を染めると、たいていは思った通りにはいかない。」
メイはその視線を真正面から受け止めた。「正義が来るのを、いつまでも待っていられません。」
トンプソンは再び黙り、木箱の上で指を打ち鳴らした。やがて、ため息をついて言った。
「私の私物に小さなリボルバーがある。アメリカ製で信頼できる。突進してくる牛は止められないが、人間一人なら十分だ。」
彼は間を置いた。「本当にその道を行くつもりか?」
「今までで一番確かな決意です。」
彼は値段を告げた――予想よりは高かったが、メイの貯めた給金で払える範囲だった。
「一つだけ条件があります。」彼女は銀貨を数えながら言った。「この取引は、あなたと私だけの秘密にしてください。」
トンプソンはうなり声を上げて金を懐に入れた。「私は口が堅いから生き延びてこれた。でも忠告しておく――お前が何を企んでいるか知らんが、誰を信用するかには気をつけろ。」
「自分以外、誰も信用していません。」
「賢い娘だ。」
彼は倉庫に戻り、数分後、小さな木箱を手に戻ってきた。
「スミス&ウェッソン製。五発装填だ。弾薬と手入れ用具も入っている。構えたら、引き金を引くときは手首を震わせず、滑らかに絞るように。」
メイはその箱を受け取り、その重みに驚いた。小さな箱が、これほど大きな決意を意味するとは。
「もう一つだけ。」トンプソンの声が低くなった。「誰かに聞かれたら、お前はご主人のために茶を買いに来たと言え。」
メイはうなずき、その箱を市場のかごに収め、上からジャスミン茶の包みで隠した。「ありがとう。」
「まだ礼を言うな。中国の法なんざ俺には効かん。罰を受けるのは、お前だけだ。」
メイが波止場を後にした時、隠された拳銃の重みはまるで五行山のようにのしかかっていた。体制に背を向けた罰をすでに予期していたが、彼女は自らを奮い立たせて歩き続けた。