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平安貴族物語 ~時姫から藤原彰子まで~  作者: かあなび1
第一部 時姫(道長の母)
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兼家様の父君亡くなる

 兼家様のお子は、ただいま男のお子が三人、女のお子が二人。そのうちの二人は、私のお子で、お二人ともかわいらしく、たいそう賢い。おじいさまは右大臣でいらっしゃるから、先が楽しみに思われる。二人目の男のお子は、例ののちの道綱様。(まだ幼名だけど、名前知らないし。)三人目の男のお子は、町の小路の女のところにおられる。二人目の女のお子は、源のなにがしの娘のところだ。まあ、お元気なこと。


 ところが、兼家様の悪い癖が出て、男のお子が生まれて間もなく、町の小路の女のところには、通われなくなってしまわれたと聞く。しかも、このお子様は、はかなくなってしまわれた。同じ女の身として、気の毒なことこの上ない。


 兼家様は、まずは道綱の母とよりを戻され、そののち、私のところにも通っていらっしゃるようになった。

 彼の君は、とげとげしいお言葉や、態度ばかりでね。まったく癒されないのだよ。など、私に聞かせるべきでないことをこぼされる。

 まあ、それは大変ですわね。と、微笑んで差し上げるのだけれど。相変わらず、お美しくて才知にとんだお歌をお詠みになるので、大切になさるようだ。兼家様の上の兄君の伊尹(これまさ)殿は、有名な歌人でいらっしゃる。伊尹これまさ殿が何かにつけて兼家様をひいきしてくださるのは、彼の方のおかげかもしれない。

 私の正妻としての地位が揺らがないのは、なんといっても太郎君(たろうぎみ)と一の姫の母であることだ。この世で、貴族として大事なのは美しい姫君を姉妹や娘として持つこと。


 この姫も、身分の高い方に求婚されるかもしれないし。



 兼家様の父上、右大臣藤原師輔(もろすけ)殿がお亡くなりになった。ご病気で、出家されようとなさったのに、(みかど)がお止めなさったと聞く。(みかど)女御(にょうご)安子様は、師輔(もろすけ)殿の娘。兼家様の異腹(ことはら)の姉君。皇子様も、皇女様もお生まれだ。帝にとっては、頼りとする義父(ちち)上。

 その師輔殿がなくなったのだから、右大臣家はおおさわぎだ。兼家様も、忙しく我が家に戻られては、大急ぎで衣を変えてまた出ていかれ、戻られては出ていかれ、ゆっくり他家(よそ)女君(おんなぎみ)のところにお泊りになることすらできない。

 自然、私との仲が深くなる。

 

 次郎君と二の姫が相次いで生まれた。



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