表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平安貴族物語 ~時姫から藤原彰子まで~  作者: かあなび1
第三部 彰子(道長の娘)
37/46

藤の式部(その2)

 式部は和歌の名手であるだけでなく、漢学や漢詩の対する知識も並みの学者では太刀打ちできぬほどであった。それもそのはず、一条帝の前の天皇の花山院の春宮時代に読書役を務められた藤原為時の娘だそうだ。為時が式部の弟に教授するのを横で聞いて漢文を覚えてしまったという。5年前に夫と死別し、源氏物語を書き記していたところ、父の目にとまり出仕することになったそうだ。娘が一人いるという。(百人一首にも歌を残す、後の大弐三位だいにのさんみ

式部から歴史、漢学や漢詩、和歌を学ぶ。学問をしなくては、とても中宮としての地位が保てない。せっかく転生王妃となったのに、飾り物になっては、前世で読んだ〇〇妃や△△女王のような活躍ができない。定子様にも並べない。うん、がんばるぞ!!


 実は、式部はほかの女房に漢学に詳しいことを知られるのを嫌がるので、ひそひそ声で話す。


 これは、唐の詩人、白居易はくきょいの漢詩です。

  ひたかくねむりたりて なおおくるにものうし 

  しょうかくにしとねをかさねて かんをおそれず

  いあいじのかねは まくらをそばだててきき

  こうろほうのゆきは すだれをかかげてみる

  ~太陽は高くのぼり十分にねむったというのに、起きるのはいやです。

   小さな家の中で布団を敷き、あたたかくしているので、寒さなど心配いりません。

   遺愛寺の鐘は寝たままに枕を高くし耳をすませば聞こえてきます。

   香炉の峰に降る雪は、寝たまますだれを跳ね上げてみることができるのです。~

 このように、詩人は左遷されてもそこで悠々自適に暮らしを楽しみ、美しい漢詩を作られたのです。この漢詩を知っていた清少納言は、雪の日に「香炉峰の雪いかならむ」とおっしゃった定子様のお言葉を理解して、お部屋のすだれを上げて見せたそうですよ。


 ふーん。やっぱり、定子お姉さまはすごい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ