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平安貴族物語 ~時姫から藤原彰子まで~  作者: かあなび1
第三部 彰子(道長の娘)
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彰子、幼い中宮の日々

 「帝、ようこそいらっしゃいませ。今日は、何をして遊びましょうか。」

 一条帝は、父道長の姉の詮子様のお子だから、私のいとこだ。年上の、優しいお兄様。貝合わせに、ひいなあそび(お人形ごっこ)、お絵かき、すごろく、いろいろなことをして遊んでくださる。そのあと、女房達とちょっと難しいお話をなさって帰って行かれる。源氏物語(漫画版だけど)の光の君とおんなじだ。

 お母様も、出雲も、なぜかため息をつきながら私たちを見ている。なんでだろう。

 

 一条帝の奥方は、何人かいらっしゃるが、一番は定子様だ。定子様は、父道長の兄の道隆殿のお子だから、こちらも私のいとこだ。直札お会いしたことはないが、明るく華やかで、女房達も清少納言を始め、優れた方が多く、文芸サロンのようだと出雲が言っていた。


 定子様は、3人目のお子を宿され、日々はゆるゆると過ぎていくように思えた。定子様は、出家の身であるから、お部屋は仮殿、出産のための退出もわびしいもので、いかがお思いであったかは、わたくしにはわからない。

 その年の暮れ、女皇子がお生まれになったという知らせとともに、定子様が身罷られたという知らせが届いた。この時代、出産のとき亡くなられる方は多いが、あまりのことに絶句した。わたくしが子供のころあこがれていた時めく美しい中宮様の、あまりにもおいたわしい最後に涙があふれて止まらなかった。

 最後に詠まれた辞世の句は、

夜もすがら契りし事を忘れずは こひむ涙の色ぞゆかしき

というお歌であったそうだ。一条帝をお慕いしながらこの世を去って行かれた。

 東三条院様(詮子)が媄子内親王を、定子様の末妹御匣が脩子内親王と敦康親王をお育てすることになったが、女院も御匣も相次いでお亡くなりになる。そこで、一条帝は、敦康親王をわたくしに預けられた。一条帝の一宮様、中宮であるわたくしが大切にお育てすると一条帝と亡き定子様に誓う。お二人の内親王は定子様のご実家に引き取られた。

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