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平安貴族物語 ~時姫から藤原彰子まで~  作者: かあなび1
第一部 時姫(道長の母)
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道隆・超子の誕生

私のおなかに新しい生命が宿ったことを知った時、兼家様は、歓喜の声を上げた。

「ほ、本当に!!私におこがうまれるのか!?」

 大喜びで、読経の準備を始めた。私の両親もだ。そんな・・・坊様に祈ってもらっても、何の役にも立たんわ!!と思ったが、この時代にそんなことを言ったら気がふれたのかと思われてしまう。仕方なく、あまり派手にするなと告げる程度にしておく。さて、高校一年生だった私に出産の知識などない。

 出雲いずもに聞いてみた。

「ひたすら、仏様のご加護をお願いし、力を込めてお産みください。いにしえより、案ずるより産むがやすし、と申します。そのときになれば、仏さまがきっとご加護くださいますよ。」という。

 うん・・・分からない。お母様にも聞いてみたが、

「ええ、ずいぶん苦しかったのですが、あなたたちの産声を聞いてとてもうれしかったことしか覚えておりませんわ。出産のときは、周りを白い調度品で囲みますから、準備を整えなくてはね。」

とおっしゃった。白い調度品ね。。。やはり具体的なお話は聞けなかった。

 兼家様は、わたくしの顔を見、優しく言葉を掛けると父母に、いかに楽しみかを伝えて帰って行かれるというまめまめしさであった。

確かにずいぶん苦しかったが、私は無事に母になった。高校生で終わった前世とは違う。満足感と、我が子の可愛さに転生してよかったと心の底から思うことができた。乳母めのとが手配され、子育ては任せきり。毎日、きげんのいいときに抱っこしてあやしてあげるだけの、いいとこどりの母だけど。太郎君は、元気でやんちゃな男の子で、兼家様もわたしも、おじじ様も、おばば様も、みんなでかわいがって育てた。

 すぐに、二人目の赤子を身ごもった。今度は、一度目と全く違った。兼家様は、全く来ない。たまに文を送ってくるだけ。

 噂だけがやってきた。

『兼家様は、藤原 倫寧《ふじわら の ともやす》のむすめを妻にしたらしい。』

『倫寧どのといえば、陸奥守や常陸守をされた、金持ちの受領ではないか。』

『ものすごい美人だと評判の方ではないか。』

『歌人としての評判も、素晴らしい。』

 そういえば、子ができると男は浮気をすると、何かの物語で詠んだ気がする。私だけを一生大切にするなんて、大ウソだったのね。

 この女が、『道綱の母』か。


 さすがに、二人目の一の姫のお祝いには顔を見せ、

「この娘は、なんておかわいらしい。きっと国母になられるよ。」

なんて言っていたが、そんなわけがあるものか。


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