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平安貴族物語 ~時姫から藤原彰子まで~  作者: かあなび1
第二部 詮子(道長の姉)
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一条帝の世

 余は、今生帝一条帝の父である。一条帝は、いまだ幼く、余が様々な助言を与えるのは、当然だ。それなのに、兼家は、それは摂政の役目だという。臣下に過ぎない兼家より、上皇である余の発言のほうが強いのが当然だ。

 先日も、蔵人頭である藤原実資に命じて、政り事を行ったのに、兼家もすぐに別の事案を実資に命じている。実資は、学識が高く、有職故実に優れ、実直で、曲がったことは行わない。そろそろこのものの官位を上げてやりたいが、兼家の都合が悪くなるので反対してくる。まったく嫌な状態だ。

 永祚元年(989年)、実資に命じて、式部の丞と院分国についての命令文を、兼家のもとに送るようにした。彼らは、立派な働きをするはずだ。一条帝のため、余はよい人事を行う考えである。

 三月になり、兼家が、一条帝と皇后栓子を連れて春日神社に参詣した。一条帝の健康が思わしくなく、余があれだけ反対したにも関わらず。天皇や皇后より、兼家のほうが上であるようなふるまいではないか。



 わたくしが皇太后となってから、急に訪ねて来る者が増えた。 

 父兼家は、一条帝の祖父として摂政となっているのだから、国母であるわたくしを尊重し、よい関係を持つことが当然だ。以前と変わらぬ態度でいらっしゃる。

 長兄道隆は、以前は、ほとんど来ることのなかったが、今は度々あいさつにやってくる。さすがに口にはしていなかったが、中宮になりそこなった不出来な妹、という扱いが感じられ、軽く扱われているのが伝わっていた。兄は、たくさんいる帝の伯父の一人にすぎない。いまさら機嫌を取られても、心を許すわけにはいかない。

 次兄道兼は、もっとひどい。花山院の出家について、自分が院のために一緒に出家すると言って本望を遂げられるために活躍しただの、父のために共に出家することを思いとどまったのだの、人には聞かせられないようなことを暗に示す。そんな話は、しないでほしい。

 国母としてふさわしいふるまいをして、一条帝を見守っていかねば。


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