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平安貴族物語 ~時姫から藤原彰子まで~  作者: かあなび1
第一部 時姫(道長の母)
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兼家の求婚

「時姫様、兼家様よりお文が届いておりますよ。」

侍女と思しき女性が声をかけてきた。

 おっ、来たな。この時代、恋の駆け引きは、デートでなく文を交わして行われる。作文は、得意だ。一応、古今和歌集も読んでるし、ま、何とかなるだろう。

一応、なんだかわからない木に(植物は詳しくない)、白い紙が結んであって、紙を解いて広げてみた。絶句!教科書に載っていた図版のようなミミズ字が。慣れれば読めるかもしれないが、分からない。

「ちょっと、読んで。」

『時姫様のことを思うと夜も寝られません。どうか私の妻になってください。』

うん、読んでもらうと、翻訳されるからわかるな。えーと、こうゆう場合は、No!と言ってじらすんだよな。

「テキトーに、どうせ私のことなんてすぐ飽きるんでしょ。いやよ!!って書いて返しておいて。」

「はい、わかりました。」

有能な侍女で、助かった。


 しばらくこんな風に暮らしていたら、だんだん状況が理解できてきた。このころの貴族のお姫様は、あまりしゃべらないので侍女に任せておけば、何とかなる。この侍女は、出雲いずもと呼ばれていて、現代の山陰地方から都にやってきた人で、もと出雲の守から紹介された人らしい。田舎人にしては文字も美しく和歌の才能もあり、貴重な人材で、時姫の教育係も兼ねているらしい。

兼家様は、摂関家の三男で、現在兵部省(兵隊関係の省、今の防衛庁みたいなものかな)の大輔たいふつまり次官をやっている、まあまあ有望な貴族だ。

 父は、摂津の守を務めた金持ち受領で三男、母は、橘家の五男澄清の娘。どっちを向いても兄弟が多い。しかも、妻も多い。いとこはくさるほどいる。

とすると、兼家様は、結構いい結婚相手か。道綱の母の存在は、気になるけど。

 でも、この時代は通い婚。姑にいじめられる心配なく、実家で暮らせるし。女は度胸だ。こんなに、私のことを好きだ好きだと文を送ってくる貴公子。結婚してやろうじゃないの。

 何度かの文の往復の末、私は出雲に、

「結婚してもいいわよ。」って返事して。」

っと伝えた。父母は、喜び、部屋の調度品をすべて新しいものに変え、婿殿を3日間もてなした。摂関家と縁続きになるのだ。我が家の繁栄、間違いなし!露顕ところあらわしはたいそう華やかにたくさんの客人を呼んで行われた。


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