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プロローグ
今日も、仕事をバリバリとこなし、大学出たての部下をしっかり叱咤激励し、鬼のようだと言われながらキャリアアップを目指して頑張った。これから、ちょっと行きつけのお店に行って、お一人様ディナーを楽しもうか、なんて思いながら歩いていた。
趣味は、仕事!!それと、ネットで異世界転生小説を読むこと。毎日の現実から、ちょっと息抜きに、チートで身分の高いお姫様気分を味わう。学生時代は、文学科で源氏物語の研究なんてやってたけれど、もうちょっと仕事に役立つ専攻にすればよかったかな。
あれ、なんだか、騒がしいな。悲鳴!?何!?
私の前に、急に目つきの完全におかしくなった男が現れ、隣を歩いていた若い女性が血を流して、倒れた。そして、まっすぐ私に向かってきた。私は、心臓のあたりに痛みを感じ、その場に倒れた。
ゆっくりと目を開くと、そこは平安時代の美しい調度品に囲まれた部屋だった。
「詮子様、起きていらっしゃいますか?」
えっ、詮子!?えーっと、だれだっけ。聞いたこと、あるような、ないような。源氏物語には、そんなお姫様、いなかった。




