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 おタカが目を覚ましたのは真夜中だった。空には満天の星が輝いていた。


―こんなにキレイだった?


 その晩の星は、今まで見たことも無いくらい輝きながらまたたいていた。きらめく星を見ていると、時間の感覚が無くなっていった。


 星々は大きく見えたり小さく見えたり、そしてそれぞれが動いているようにも見えた。そして幻聴なのか、星たちから音楽が聞こえてきた。


 その音楽は、耳の後ろ側から体の中をグイ~っと持ち上げて、おタカは信じられないような浮遊感を感じた。


―気持ちいい 


 音楽に全てを預けて共に揺れる。音はさらに大きくなり、体中を巡る。大音響の中で、何故かおタカは静寂せいじゃくの中にいた。その静寂の先に、ひときわ煌めく存在に気付いた。



 あぁ 私の求めていたのは これだったんだ



 おタカは十日のちに子供を産んだ。ありえない出産に周りの驚きはとてつもなかったが、一番驚いたのはおタカ本人だった。


「いったいどういうことなんだ!?」


「相手は誰なの? 太郎さんなの?」

父と母は慌てふためいた。


「…太郎さんじゃないわ…。それに相手なんかいない。」

おタカは呟いた。


「相手もいないのに子供が生まれる訳ないだろ!」

父は激怒した。


「…それにしてもその子は…。」


 母は怯えてタカの抱く赤子を見た。赤子はこの世の者とは思えぬほどに美しかった。しかしその子は生まれたばかりだというのに、光り輝くような真っ白な肌に煌めく明るい髪を薄っすらとはやしていた。


 時々薄っすらと開ける目からは美しい灰色の瞳が見えた。


―バケモノの子だ…

ソヨを見た者は皆そう思った。


―こんな姿で生まれてきたんだもの…この子が待ち受ける未来はきっと過酷な物だろう。私だけは大切に育ててたくさんの愛情を注いであげよう…


 おタカは赤子をギュっと抱きしめた。





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