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光芒へのリフレイン  作者: 羽元樹
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エルフォーリム城

 何度かの戦闘を『強いられた』後、一行は目的の廃城の前にたどり着いた。

 西洋中世風で遠くからも大きいとは思っていたが、実物を前にすると中々の大きさだ。

 修学旅行で行った大阪城より高さは無さそうだが、城を囲う壁は高く堅牢。

 その壁の前に深く掘られているであろうお堀は20メートルほどあるだろうか。長く放置されているはずだが、張られた水は澄んでおり流れもある。裏手の方に川が流れているのかもしれない。

 全体的に苔むしており、廃城という呼称がしっくりくる。

「……にひっ」

 僕の顔見ながら宗也さんが変な笑顔を浮かべる。

「すっごい目がキラキラしているよ、子供みたい。表情が乏しい印象だったけど、ちゃんとそういう顔もするんだね」

「…そんなことありません」

 僕は努めて無表情を保とうとした。

「じゃあ、いっしょに参りましょうか」

 急にルーネシアさんが僕の手を取って、門扉の方へ走り出した。

「…中に入るには、認証が必要なんです。認証をしているところを見られると私が王だと偽装しにくくなります」

 そういうことか。

 お堀の前に大きな扉が見える。3メートルはあろうかという鉄扉の右に七色に光る宝玉が見える。

「そこに触れてください」

 言われるがまま宝玉に触れると淡い光を放ち、重厚な扉は音もなく開き、お堀の向こう側にあった跳ね橋が下りてくる。さらにその向こうにあった扉も大きく開き、まるで内部へ誘導するかのようだ。

『王の素質を認証しました。お入りくださいマスター』

 事務的な女の子の声が響く。

「あの、諸事情があって、となりの女性をマスターとしてほしい」

 どこから声がするかわからないが、とりあえず先に要望を伝えた。

 聞こえていなかったら、さぞかし滑稽にみえるだろうが。

『……了解しました。では、マスターのことはどうお呼びすればよろしいでしょうか?』

「蓮華でいいです」

『承知いたしました。では、マスター、蓮華さま、お仲間がいらっしゃったら中の方へお入りください』

「わかりました」

 緊張を察したのか、微笑ましい顔を浮かべるルーネシアさんに気づく。

「…なんですか?」

「第一印象はクールで感情が乏しいと思っていたのですけど…背伸びしている男の子って感じですね」

「…そうですね」

 背伸びした気はないが、大人ぶってるのは確かかもしれない。

「ん。認証が終わったんだな」

 ミオさんを筆頭に一行が到着した。

「結構、堅牢だな」

 お城の防御力が気になるのか東雲さんの目が輝いている。

「中に入りましょうか」

 ルーネシアさんが徐に城に向かって歩き出し、それを一行が付いていく。

 門扉を入ると中庭だろうか、広い空間が広がっていた。

 だが、手入れが行き届いておらず、中央の石畳の回廊の両サイドは僕の背丈以上ある草が群生している。

 だが。

 その石畳の回廊の両サイドは淡くLEDライトのような光が灯っており、中世のお城のイメージを破壊している。

「草はともかく、石畳は手入れをしているようね」

 三浦さんの指摘の通り、石畳は比較的綺麗だった。

 そこそこ長い回廊の先に白亜の石でできた城が僕たちを迎える。

 開け放たれた扉の向こうには、赤いカーペットが見える。

 僕はその雰囲気に飲まれ、足が竦むような感覚があったがルーネシアさんに腕を絡み取られ、強引に中へと誘われる。

「お待ちいたしておりました、マスター」

 中に入ると唐突に横から女の子の声がした。

 ふと横を見ると淡いピンクの髪のメイド服を纏った女の子が立っていた。

「ようこそ、エルフォーリム城へ。わたくしは、エルフォーリムの管理システムを担っております、ファルナと申します」

 深くお辞儀して挨拶をする姿が見た目は洋風なのに日本っぽいところが少し笑いを誘う。

「…何か?」

「いえ」

 僕は再び表情筋に力をいれた。

 ファルナさんは荷車にエオルナの姿を見て取ると、荷車を引く東雲さんに声をかける。

「地下牢は向かって右側の黒い扉の先にございます。できれば、荷車は入口の横に止めておいていただけると清掃的に助かります」

「ありがとう」

 東雲さんは無造作にエオルナを肩に担ぐ。エオルナ、下着とか丸見えだが…周囲は誰も気にしていないようだ。

「皆様がた、好きに見て回ってもよろしいですよ。マスターは申し訳ありませんが、わたくしと一緒についてきていただけますでしょうか?」

 僕とルーネシアさんはこくんと頷く。


 ファルナさんに付いてきているのはルーネシアさん、僕、宗也さん、ミオさん、四之宮さんの5人。

 赤い絨毯が敷かれている上を歩き、正面の大きな階段を上る。

「二階が謁見の間となります」

 ふと、四之宮さんの表情に違和感を感じた。

「…どうかされましたか?」

「わたくし、変な顔をしてました?」

「…なんというか、昔を懐かしむような」

 僕の言葉に、ふふっと口元に手を当てて笑う。

「こうみえて、生前は王女だったんですよ?」

 なんとなく納得できる。所作に品があるというか。

「こういった城に住んでおりましたので、懐かしくって。色々と過去を思い出しまいました」

「いい思い出ですか?」

「どうなんでしょうね。色々大変でした。でも、わたくしが謁見している絵画が描かれていたりしているそうなので、名もなき王女、という評価ではなさそうですね」

 そうなると有名な方だったのだろうか?

「あまり詮索はなさらないでくださいね」

「…僕は日本の歴史しか知らないので。正体にたどり着けないかと」

「ふふっ、それはそれで残念だと思ってしまうあたり、わたくしの精神年齢は身体に引っ張られているのかもしれませんね」

 そんな四之宮さんの笑顔は、赤い絨毯に良く映えると僕は思った。


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