6話
翌日、寝坊をした私は10時半くらいに朝ごはんを食べていた。
ブランチってやつ?もう昼ごはんも一緒にしちゃおうと思って。
「ごちそうさま〜。」
「聖女様、いつも気になっていたのですが…、その“イタダキマス”と“ゴチソウサマ”とは一体何なのでしょうか。」
あ、そこ気になるってことはこの国にはないのかな?
何気なくやってたけど、お城の人たちには“手を合わせていただきます/ごちそうさまでした”って言う日本の文化は不思議なものらしい。
「これは…あれですね、食材と食材の作り手、料理する人に対して感謝をするって言う私の故郷の文化ですね。」
「…!そうですか、感謝ですか…。何事にも感謝を忘れない、さすが聖女様だ!」
料理人らしき人は“私の故郷の文化”って言ったのを全く聞いてないのか…?
午後からはまた会議だ。会議に行くと、みんな真剣な顔で座っていた。
「今日の議題は流行病についてだ。北部のアデランス侯から話し合ったほうがいいとの知らせが来た。」
「報告します、北部で流行病にかかった人は1日で数百人まで増えました。まだ調査の途中ですが、貧民中心に患者が増えております。また、子供や高齢者を中心に死者も出ていると…。」
貧民…貧民か…。貧しい人は、多分スラム街に住んでるよね?スラム街なら人が密集しているからかかりやすいのかな?
「生ゴミやその臭さが原因だと思われるので、スラム街を清掃させ、消臭剤をまきましたが…。」
生ゴミが原因?あれ、この国では流行病の意味がかなり広いってこと?わぁ、わからん。
「あの〜、その流行病の症状ってどんな感じですか?」
みんなが黙り込んだタイミングで私がそう言うと、さっき説明してた人はびっくりしながらも教えてくれた。
「せ、聖女様…!たしか、下痢や嘔吐といった症状が出るとのことです。」
下痢と嘔吐か…。まだ断定できないな。
翌日もまた会議が開かれた。議題はもちろん流行病だ。だんだん範囲が大きくなってきているらしい。
「昨日清掃させましたが、これといって多いな変化はございません。それどころか患者は増え続ける一方でして…。なんとかして王都に入らないように対策を取らねばなりません。」
ん〜、昨日考えたんだけど、やっぱり似てる、流れが。
「…もしかして、コレラ…?」
「聖女様、今なんと!?」
あ、やば。口に出しちゃってた?
「北部の大部分のスラム街がある場所って川の下流域だったりします?」
「はい、患者がそこに住んでいるかは不明ですが、スラム街は下流地域と上流地域で分かれており、貧民の7割ほどが下流域に住んでおります。」
わぁ、当たりじゃん。これ、多分コレラだわ。そして、原因はゴミじゃなくて生活飲料水ね。
「たぶん、この病気はコレラですね。生活飲料水が…つまり、川が病原菌で汚染されています。今すぐ、下流域の人たちにその川の水を飲むなとお伝えください。そしたら、徐々に患者が減ってくると思います。」
私がこの会議で言ったことは、すぐに北部の人たちに伝えられた。