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3話

異世界に召喚されてから3日経った。

「よし、試してみるか…。」

聖女の術の本を読み始めた私はとある違和感に気づいた。それは、召喚された日に見た1ページ目の魔法陣の形を覚えていたの。だから、一回本を閉じてその魔法…“治癒魔法”を試してみることにした。

でも、怪我してないと発動されないんじゃ…。

実は召喚された時に着ていた服のポケットに雲型のミニカッターが入っていたんだよね。ちょっと痛いけどカッターで指を切って、それに治癒魔法をかけてみるか…。

「聖女様、お茶とお茶菓子をお持ちしました…って、何をされているんですか…!」


雲型カッターの刃を出して指を切る寸前で、おやつを持ってきたアリスに見つかった。

「何って、“治癒魔法”試してみようと思ったんだよ?」

私がカッターから指を離してそう言うと、アリスは怒った顔で言った。

「どう考えても今の状況は自傷行為にしか見えませんよ!」

「でも、怪我してないと治癒魔法が成功したかどうかわからないじゃない。ちょっと痛いけどさ、別にこれくらいされ慣れてるから大丈夫よ。」

私がムーっと顔を膨らませて抗議すると、アリスは困った顔をした。

「あ、じゃあこうしましょう!私、昨日洗い物で手を切ってしまいまして。その傷に治癒魔法を試されると言うのはどうでしょうか。」

「わかった。さっきからその切り傷見てて痛そうだったし、治癒魔法の練習させて!」

アリスの右手には3センチくらいの長さの切り傷があった。それに治癒魔法を試してみることになり、私が雲型カッターを仕舞おうとするとアリスがそれを止めてきた。

「聖女様、申し訳ありませんが、そのナイフのようなものは預からせていただいても構いませんか?刃を抜いたあとにケースの方はお返ししますので…。」

え?ああ、また何か私が試す時に使うかもって思ったのかな?数少ない現代のものだけどまあ服はあるしケース返してくれるって言ってたからいいか…。

「ん、いいよ。はい、そこの出っ張ってるところをスライドしたら刃が出てくるから気をつけて。」


「ありがとうございます。お茶はこのテーブルに置きますね。」

お茶が乗ったトレーをテーブルに置いたあと私からカッターを受け取ってエプロンのポケットにしまったアリスに早速手を出してもらって、治癒魔法を使ってみることにした。

本には、どうしたいかを願ったら魔法陣が展開されて聖女の術が使えると書いてあった。

『アリスの切り傷、治れ!』

心の中でそう唱えると体の中心が一瞬熱くなり、アリスにかざした手から光が出てきて瞬く間に魔法陣が現れた。その魔法陣はさらにピカッと一瞬光って消える。

「聖女様!傷がなくなっております!」

「!やった、成功したのね!」

無事最初の聖女の術が成功して、私は運ばれてきたお茶とマカロンを楽しんだのでした。

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