1話
とりあえず、私は歴史書(?)を読むことにした。
1ページ目を捲ると、約300年前の出来事が書かれていた。
「いや、300年前って…。」
まあいっか。さっきアリスが夕食まで3時間ほどあるって言ってたし、読書は嫌いじゃないもん。
300年前からこの王国が始まって、今は8代目らしい。
読み進めていくと、妙に光っている字がいくつかあることに気づいた。
例えば、大地震のあった時とか、魔物の襲撃…“モンスターウェーブ”があった年とか…。
「え、聖女って私が3人目なんだ?」
2時間くらい読み進めていると、年号がだんだん今に近づいてきた。
あ、今は国際歴823年なんだって。雰囲気的に中世あたりかなって思ってたんだけど、この世界では年号の数え始めが圧倒的に地球の西暦より遅いみたい。
聖女についてわかったことは、大体100年間隔で現れること、聖女は召喚で呼ぶしかないと言うこと。
名前を見ると、2人とも日本人っぽかった。1人目が“キノシタトシエ”、2人目が“ウエノミヨコ”。そして、もう少し後のページに“カイドウミコト”と書いてあった。私の名前ね。てことはこのあたりが“現代”ってことかな?そこらへん気になっていると100年先、200年先のことが次のページに出てきた。100年先のところには、“ヨツバアンリ”、200年先のところには“ヤツヅカエリナ”と書いてある。いや、本当に便利だな!?
聖女は“聖女の術”を使って“奇跡”を起こす存在らしい。私がさっきもらった2冊目の本か。こっちは魔法がかかってないって言ってた。
こっちの本もページを開けると、“治癒魔法”と書いてあり、そこに魔法陣のようなものが書いてある。
うわっ、これ今読みたくないな…覚えなきゃいけないんでしょ?歴史書(?)はさらっと読み飛ばしができるから良かったけど、これは読み飛ばしできない。
とりあえず本を閉じ、ベットに寝転んだ。
にしても、私が聖女か…。何をすればいいんだろ?
て言うか、今私が着てるのってネグリジェ?流石にご飯食べる時は着替えなきゃだよね。
「アリス、いる?」
クローゼットらしきものを開けると、そこには綺麗なドレスが何着もかかっていた。でも、これ1人じゃ着れないよね。
「お呼びでしょうか。」
アリスを呼ぶと、アリスはすぐに部屋に入ってきた。
「着替えをしたいんだけど、手伝って欲しくて。」
「かしこまりました。お洋服は選ばれましたか?」
「このAラインワンピース?がいいわ。」
そう言うと、アリスはテキパキと私にワンピースを着せていく。私じゃ着るのにかなり時間がかかりそうな服だけど、アリスは私がびっくりするようなスピードで着付けて行った。私は袖を通したり前についてるリボンを結んだだけ。ものの3分ほどで着替えが完了してしまった。
「あと少しで夕食のお時間になります。時間になりましたらお迎えにあがりますね。」
そう言ってアリスは部屋を出て行った。