16話
「…!?ちょっと待ってください…。聖女様もいらっしゃるなんて聞いていませんが…。」
騎士さん達が集合している場所に行くと、騎士さん達の前に立って指揮をとっていた人がそう言った。団長さんか隊長さんかな?
その人は少し周りを見た後、神官が1人もいないことに気づいたみたい。
「なるほど、聖女様直々に浄化されるということですね。私は夏の騎士団団長のヘンリー・ティアードと申します。」
「よろしくね!モンスタースポットまでここから馬で4時間って聞いたんだけど結構近いんだね。」
「はい、はっきり言って異常事態ですね。早急に対処せねばと言うことで集められた次第です。」
やっぱり異常事態なんだ…。
団長さんと話していると、リヒが来た。リヒは私の装備に不安があるらしい。
騎士団から女性用の鎧借りればって思うでしょ?でも、騎士団って身長の制限があるの。男性は173センチ以上、女性は165センチ以上って言う。私は160センチないしそもそも子供体型だから、女性用の鎧がぶかぶかなんだよね。
「やっぱり不安があるな…。ミコト、自分を守る魔法とか持ってるか?」
「一応あるよ。でも結界だから展開する前に寄ってこられたらヤバい。」
「ローブに防御魔法は付与されていますので大抵の攻撃は防げると思います。」
「ならよかった。…そう言えばミコト、馬乗れるか?」
あ。どうだろ?
緑地公園とかで乗馬体験はやったことあるけど、アテにならないよね。
「ん〜…微妙。」
「!?できないってわけではないということですか?」
「ちょっとだけやったことあるってだけだから、微妙って言う…。」
どうやらこの国では一般の女性は馬には乗らないらしい。みんな馬車移動で、馬に乗るのは騎士さんくらいなんだって。
「…よし、ミコト。俺と一緒に乗れ。1番確実だし1番安全だろう。」
「えっ。リヒの馬に乗るの?」
「ああ。」
と言うわけで、リヒの馬に乗って出発!
いや〜、見栄張らなくてよかった。このスピードについて行ける気がしないもん。
「めっちゃ速っ!」
「舌噛む可能性があるからあまり喋らないでくれ…。」
リヒにそう言われて、私は喋るのをやめた。確かに、時々めっちゃ揺れるから危険かも。
馬で走ること4時間、ようやくモンスタースポットの発生した村に着いた。
村の反対側で発生しているらしい。
「村長!状況は!?」
「騎士様方!モンスタースポットの周囲にモンスターが大量に居まして、近づくのも一苦労かと…。怪我人は集会所に運ばれております。村の若者がモンスターが居住地に入ってこないよう食い止めてくれているのですが怪我人が後をたたなくて…。」
リヒはそれを聞いて素早く指示を出していく。
「とりあえず、ミコト…聖女がモンスタースポットに近づけるくらいまでモンスターの量を減らすのが先だな。居住地に入ってこられると被害が増えるから、できるだけ押し戻せ。」
そう言って、騎士さん達を連れてモンスタースポットの方に向かっていった。