13話
一気に“浄化”“祝福”をマスターした次の日。あいにく雨が降っていたから、私は聖女の術の本を全部読んでしまうことにした。
実は、昨日分かったことがあるんだよね。一度マスターすれば関係なくなるんだけど、最初は“対象”がいないと成功しないって言うこと。だから、魔法陣だけ展開してみようって言うのはできない。
でも、一度この本で魔法陣を覚えてしまえば使えるようになるって言うね。
「“エリアヒール”これは治癒魔法の範囲広いバージョンみたいな感じ?“破邪の陣”これは魔物が近寄れなくするんだ。それを祝福として武器に付与することもできる…。」
あまり量は多くなかったから、40分ほどで読み終わってしまった。
「ミコト様、お茶をお持ちしました。」
「あ、もうそんな時間ね。ありがとう!」
本を閉じてお茶を飲んでいると、アリスがこんなことを言い出した。
「ミコト様、ステータスってご覧になりました?」
「ステータス?」
「はい、自分の情報が載っているんです。ご覧になった方が早いですよね。『ステータスオープン!開示!』」
アリスがそう言うと、アリスの前に半透明の画面みたいなものが出てきた。
『名前:アリス 年齢:15 職業:侍女
没落貴族令嬢
ナイフ:Level57 空気読み:Level24
掃除:Level22 料理:Level14
子守歌:Level13 』
と書いてある。
「『ステータスオープン』と言うと、自分のステータスが確認できます。その後に『開示』と付けると、他の人も見ることができるようになりますが基本は使いませんね。ミコト様もやってみてください。」
『ステータスオープン!』
言われるままにそう言うと、目の前に画面が現れた。
「これがステータスです。今、ミコト様のステータス画面は私からは見えていません。」
めっちゃ長いから書くのはやめるけど、名前、年齢、職業、今まで習得した聖女の術などがずらっと並んでいた。聖女の術達は当たり前かのように全てLevel∞だ。スキル?欄でLevel∞じゃないのはピアノ(Level11)、料理(Level8)だけだ。
「便利ですよね。身分証にもなるんですよ。『部分開示』にすれば目の前の相手だけに見せたりもできますし、偽造はできませんから。」
説明を終えたアリスが部屋を出ていったあと、もう一回ステータスを開いてみた。
それを見ると、今は発動できない聖女の術も反映されている。さっきは気づかなかったけど、端っこに“実績”の欄があって、昨日のことが書かれていた。
…街中のあの異変って結局何だったんだろう。
その日の夜、私は不思議な夢を見た。