10話
「ミッコトー!街に行かないか?」
朝、ご飯を食べ終わってから少しして、ディートリッヒが私の部屋に来てそう言った。
「街!?行きたい!」
「よし、じゃあ着替えて玄関に来てくれ!」
そう言ってディートリッヒは部屋を出て行った。
「着替え?この服じゃダメなの?」
「はい、この国の貴族、王族は2種類の服を持っております。1つは室内着、もう1つは外出着です。外出着に近い、兼用の室内着もありますが…。ミコト様が現在着られているワンピースは装飾が控えめの室内着ですので外出着にお着替えされる必要がございます。」
ふ〜ん、室内着と外出着かぁ。って、今“装飾が控えめ”って言ったよね。十分フリフリで可愛いと思ったんだけどこの服は装飾が控えめな部類に入るんだ…。
ってことは、この前街に行くって言っても着替えるって言われなかったのは外出着に近い室内着を着てたってことか。
「こちらの方にかかっているのが外出用ドレスです。」
アリスがそう言って指したところを見ると、確かに今来ている服とは違って宝石がついていたり、派手目だった。
「じゃあこれにする。」
宝石が胸元のみについている1番宝石がない水色のドレスを着ていくことにした。
アリスとライラックがテキパキと着付けていく。
そうそう、ライラックって13歳なんだよ。この世界では何歳からでも働けるらしい。でも、幼いうちから働いている人は大抵貧しい家庭で育った子なんだって。
ちなみにアリスは15歳、もう1人の専属侍女、ジェシーは17歳。アリスは没落貴族の令嬢で14歳の時に王妃様の侍女としていきなり侍女を始めたらしい。普通はメイドからなんだって。ライラックも私の専属になるまでメイドだったし、ジェシーも13歳で働き始めて去年までメイドをしていたらしい。
王宮勤めは給与も高く、家族で1人そこで働けば家族全員十分普通の暮らしができるようになるらしい。なんだか複雑だよね。
「完成しました!」
ドレスを着て、ボンネットをつけて、髪をセットしたら“喋らなければ”お姫様の完成!喋らなければ、ね。こんな口調だからさ。
「ありがとう!」
玄関に向かうと、すでにディートリッヒがいて護衛の騎士さんも3人控えていた
「お待たせー。ごめん、待った?」
「いや、俺もさっき来たところだ。じゃ、行こう。街までさほど遠くないから馬車は使わない予定だが大丈夫か?」
「うん、大丈夫ー。ヒールの靴ばっかクローゼットに入ってたけどローヒールなやつ選んだから。」