幕末おねぇ伝説 ~おにぎりブラック企業ドラゴンは頂きましたので返せと言われましてももう遅いで御座る~
世は幕末。ペリーかザビエル辺りが開国を迫り、幕府が揺れる昨今。町は眠りに就いているが、悪代官の屋敷では騒ぎが起きていた。
「お代官様! 賊で御座いまする!!」
「さてはワシの伝説のレアカード【おにぎりブラック企業ドラゴン】が狙いか!? 引っ捕らえい!!」
「ははっ!」
屋敷の一室では世間を賑わす義賊【おねぇ】が、貧しい人々を救う為、お宝を物色していた。
「さて、お宝頂戴……っと」
山吹色のお菓子が詰められたお重と伝説のレアカードを手に、おねぇが羽織を翻した……が、南蛮渡りの猫足テーブルに置かれた蜜柑をついでに手にすると、仕掛けが働き畳が抜けて、真っ逆さまに落ちてしまった。
「お代官様! 賊を捕獲致しました!」
「うむ」
「しかし、正門の瞳認証と電子ロック、そして赤外線センサーをくぐり抜けた賊が、まさか最後で蜜柑の底抜けに引っ掛かるとは……」
「うむ、仕掛けたワシも驚いておる。最後はやっぱりアナログじゃのぅワハハ!!」
「お代官様、女賊を部屋へとお連れしました!」
「ほほぅ、それは楽しみじゃ」
「しかも剛毛にて御座いまする」
「ほほぅ……それも乙な物じゃ。益々楽しみじゃのぅ……」
「しかもジョリジョリで御座いまする」
「剛毛を隠すためにジョリジョリとな? ぐへへ、それは良い。はよ案内せぇ」
──スッ……
襖を開けると、雁字搦めに縛られた青ヒゲのスネ毛MAXなおねぇが、恨めしそうにジッと悪代官を睨んでいた。
「離せよこの野郎!!」
──ピシャッ!
無言で襖を閉め、悪代官は手下の顔を強く叩いた。
「なんだあのオカマは!! 女じゃないじゃん!!」
「と、申されましても手前共もおねぇを捕らえるのは初めてですので……」
「ぐぬぬ……!!」
悪代官は、確かにと思いつつ再び襖を開けて問い掛けた。
「山吹色の菓子は返して貰ったが、レアカードを何処に隠した!?」
「フッ……」
おねぇはすかした顔で悪代官を見つめ、そして顔を少しだけ赤らめた。
「アンタ、いい男だから教えて あ げ る♡」
(凄く気持ち悪い!!)
「もう遅い、アタイの褌の中さ♡」
「おーい、誰か此奴の褌に手を入れろー」
しかし誰も悪代官の声に応える事無く、手下もいつの間にか消えていた。
「ねぇ~早くまさぐってよ~」
「腰をクネクネするでない!! ええい面倒だ! レアカードごと此奴を斬り捨てぃ!!」
「えっ!? 待ってお願い! サービスするからさ! ね!?」
──ピシャッ!
こうして、世間を賑わせた義賊おねぇは死刑となった。
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(*´д`*)