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消える流れるすり替わる  作者: 森戸 麻子
3.辿れない糸口
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昼は堕落(1)

「信じられない」偵察から戻って来たヨアは青ざめていた。

「あの本でしたか?」規真きまが、ベンチからすらっと立ち上がった。

「そうだと思う。よく似ていた。だけど粉々だ。紙吹雪。しかも、本人がいるのに!」

「本人?」

「リン君だよ。リン君が第一発見者なんだ。気付いてるよ、あいつ。こっちのほう睨んでた」

「あいつからさっき電話があったんだ」ゆうが携帯電話を取り出して言った。「俺らがやったんだと思い込んでて、やめてくれって言うから、うちじゃないって言っといたけど」

「でも、初めにあれを持ち出したのは俺らなんだ」満次まんじがつぶやいた。

「この際関係ないよ」ヨアは激しく言い返した。「あんなに粉々にやっちゃったら、確実に悪いのはあっちだよ。チクっちゃえ」

「いやよ」規真はきっぱりと言い放った。「これは奈香からあたしに売られた喧嘩。買います」

「買ってどうすんだよ」

「こっちからも宣戦布告を出すの」

「本を破る気か?」

「そんな野蛮な事しない」

「じゃあ、いいけど」


 先頭に立った規真は図書館の入口に向かってすたすた歩いて行く。三人は困った顔で後に続いた。規真は、頭をフル回転させていた。絶対に、見せつけてやらねば。これが規真への当て付けだというのなら、三倍にして当て返してやる。自分達の犯罪がどれほど幼稚なものであるか、思い知らせてやる。度肝を抜いてやる。


「何か、やるつもりだね」ヨアが、規真を横から覗きこんで言った。少し心配そうだった。

「手伝わなくていいよ」規真は、ちょっと彼女から離れて言った。

「なんで?」

「ばれたら、怒られるよ」規真は、ヨアの潔癖をよく知っていたので、そう言った。

 ヨアは複雑な顔をして、一瞬考え込んでから、「じゃあ、なおのこと、規真一人に任せておけないよ」


 その言葉で、規真はもう後に引けないと思った。


「規真が何をやっても、うちは味方だからね」ヨアは重ねた。彼女は、何やら使命感に溢れていた。


 規真は少し迷惑そうな顔をしたが、内心ほっとしていた。一人でやりとげる自信がなかったのだ。


 女子二人がやる気のようなので、男子二人は顔を見あわせた。夕にも満次にも、規真が何をするつもりなのか見当が付かなかった。ただ、何か大きな事が行われる予感がした。それでとりあえず、なんとなく、付いて行く事にした。深い理由があったわけでもなく。


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