えぴそど99 Equalizer
「よっし!じゃーみんな準備はいいかなー!」
ハピスさんの言葉に、私はユージリンとヤッパスタの顔を見る。
「大丈夫です!」
「おぅ!いつでもいいぜ!」
二人はやる気満々だ。
ヤッパスタは元々ダンジョンにも入ってた経験者だし、ユージリンは実力だけで言えば三人の中で一番強い。
それに比べて私は…
「ん~どしたし~メイメイちゃん。うつむいちゃって。」
「え!?いえ!大丈夫です!いけます!」
「そかそかーじゃ、まぁ張り切って行こー!」
ついに始めてダンジョンに足を踏み入れる。
父と母が命を落としたダンジョンへと。
◇
「よーし!二階からは打ち合わせ通り、ヤーパッパが先頭で盾。次いでメイメイちゃんがレンジャー。ユージリンは…まぁ適当にメイメイちゃんを守ってあげてて…。」
「なんで私の時だけそんなにテンションが低いんですか!」
「じょ、冗談じゃんー冗談。今日はあくまでダンジョンが初めての二人が慣れる為の探索だからさ、気構えず行こうよ。つーわけでヤーパッパ出ちゃってー。」
「うーっす!行くぜぇみんな!」
私はレンジャーの資格を取った訳じゃない。
勉強をしているとハピスさんに言うと『レンジャーって経験とセンスがものを言うからさ、今回はメイメイちゃんの思うようにやってみよー』と無理やりさせられている。
私が壁や床をくまなく見ながら歩いていると、石につまづきバランスを崩してしまった。
「危ない!」
転けそうな所をユージリンが抱きかかえ支えてくれる。
「あ、ありがとうユージリン。」
「ああ、気にするな。焦らず進んで行こう。」
「そうだぜ!嬢ちゃん!なあに、ちょっとくれぇの罠だったらこの俺のトールハンマーでぶっ叩いてやるぜ!」
「ありがとうヤッパスタ……うん!もう大丈夫!行くわ!」
二人の心強い言葉で私にも決心がついた。
「あー最初だから教えてあげるけど、魔物が近いよーまぁ二階だし雑魚でしょうけど、ヤーパッパ、かるーくやっちゃってー」
「おうさっ!任せろ!」
ハピスさんがそう言うと、直ぐに通路の曲がり角の奥から魔物が三体姿を現した。
現れたのはスケルトン種。
武器などは手にしていないただの骨の魔物だ。
「嬢ちゃん!仕掛けるが前進してもいいか!?」
「え!?あ、うん!だ、大丈夫!……だと思う…。」
ヤッパスタもある程度は罠のある壁や床を見抜けているはず。私の練習の為に確認の時間をつくってくれているのだ。
「オーケィ!このまま前進する。」
ヤッパスタは金槌を肩の上に振り上げた状態で前に進み、スケルトン三体をあっという間に倒した。
スケルトンは特に素材になる様な部分が無いので、そのまま更に奥へと進むと、更に二体のスケルトンが立っていた。
「ユージリン。見ての通りただの雑魚だ。慣れる為にもお前がやるか?」
「ああ!任せてくれ!」
「だとよ嬢ちゃん。前後衛を入れ替える、床ばっかり見るんじゃなくて弓もちゃんと構えておけよ。」
「う、うん!分かった!ごめん!」
「勝手にやっちまてるが、いいよなハピス嬢!」
「あー全然好きにしたらいいよー。むしろいい判断だと思うよー。」
ハピスさんは本を読みながら後ろを付いて来てくれている。
ユージリンはスケルトンを危な気無く倒すと、私に一度目配せをし、私が頷くとそのまま先頭を歩き出した。
私は言われた様に、矢をいつでも放てる準備をし、壁や床を入念にチェックしている。
本やダンジョン経験がある冒険者の話しはしっかり聞いていたつもりだけど、実際に同時に複数の事をここまで行うと頭がパンクしちゃいそう。
それでも、本当に私がレンジャーとしてやっていくなら、パーティの安全は私が守らないといけない。
そう思うと、自然と集中できた。
「階段だ、降りていいかいメイエリオ。」
「うん、行こう。そのまま前進で。」
私はメモに経路を書きながら、罠が無いはずの階段ですら入念にチェックしていく。
「お?得物持ちか。ユージリン先頭を代わるか?」
「なんの!大丈夫だヤッパスタ。これくらい余裕さ!」
地下三階に降りると、武器を持ったスケルトンが四体出てきた。
ヤッパスタは私の前で武器を構え警戒をしてくれている。
ユージリンは相手の攻撃を躱しつつ剣で切りつける。
数は多く見えるが、このレベルの魔物でユージリンが苦戦する事は無い。
私は構えた弓を下げ、ユージリンの足元に罠の気配が無いかを注視する。
「あんまり気を張りすぎるなよ嬢ちゃん。まだまだ低層だ。そんな調子じゃ倒れちまうぜ。」
「うん…ありがとう。」
ユージリンがスケルトンを全て倒すと、持っていた武器を調べていた。
「駄目だ、売れそうなものは特に無いな。先に進んでいいか?」
「おー、もっと潜っちまおうぜ。五階まではこの調子で行っても問題ねぇ。」
「分かった。メイエリオもそれでいいかい?」
「うん!大丈夫!行っちゃおう!……ん?あれって…」
私達が進んでいた方向に木箱が置かれていた。
「宝箱だな、こんな低層に珍しい。」
私は咄嗟にハピスさんの方向を見ると、ハピスさんの視線は宝箱にあったものの、すぐ興味を無くしたのか読書に戻っていった。
「メイエリオ、これは開けてもいいのか?」
「え!?あ、うーんと…ちょ、ちょっと待って。」
私は初めてのダンジョン産宝箱と
にらめっこした




