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えぴそど97 ダン踏-破

「ジャクシンさま!もうしわけございませんでした。わたしがいながら、"かりとり(刈取)"をうけてしまうとは!!」


地上に戻ってきた俺とアルネロは、外でトモに寄りかかり本を読んでいたジャクシンさんと合流した。


「ああ、大丈夫だアルネロ。むしろ、お前が一緒であればこそ安心をしていた。ご苦労だったな。コースケも。」


「そんな。もったいないおことばです!」


「お陰様で貴重な経験が出来ましたよ!」


ジャクシンさんはゆっくりと立ち上がると、微笑み、トモを撫でながらゆっくりと後ずさりした。


「え?ん?あのジャクシンさん?」


「お前達、臭いぞ。」


その一言で全てを理解した。


横からアルネロの怒りの熱視線が突き刺さっているのが分かった。


「すみません。色々ありまして…。」


「はははっ!冗談だ。私はこれでも軍に籍を置いているのだぞ。これくらいの臭気でどうこうならない。」


大きく笑いながら、ジャクシンさんは俺とアルネロの肩を軽く叩く。


「すぐ近くに小川がある。迎えの時間まではまだかなりかかるであろう。そこで身体を流し、食事でも取りながら待つとしようではないか。」


「はっ!ありがとうございます!!……おいゴミ、そっちだ、まえをあるいていけ。」


「う、うっす!」


俺がアルネロに指示された方向に歩いて行くと、林を抜けた場所に小川が流れていた。


ジャクシンさんは川辺に降りると、木を集め火を起こそうとしていた。


アルネロが自分がやると言い焦って静止していたが、ジャクシンさんは微笑みながら気にするなと言っていた。


アルネロは仕方なく装備を一通り外すと、水に濡らした布で身体や装備品を丁寧に拭きつつ、ジャクシンさんと別れた後の行動について報告していた。


俺は金属以外の物は身につけたまま、川に浸かっていく。正直、全身で内蔵にダイブしたのでアルネロより深刻だ。





「確かに、見た事の無い魔鉱石だな。」


川に入ってきたトモをついでに洗っていると、ダンジョンクリアの報酬である魔鉱石を手に、ジャクシンさんは何かを考えていた。


「コースケ、クリア報酬としてはお前にも受け取る権利はあるが。」


「あ、ああいいですよ別に。今回はジャクシンさんとアルネロの指導料代わりに受け取ってください。」


「そうか。ならばどういった効果があるものかこちらで調べて行くとしよう。……ふふっ。」


「どうしました?」


「本当はお前とダンジョンを巡り、会話をし、親睦を深めるつもりだったのだがな。」


「なんかすみません。俺がワナにハマっちゃった所為で。」


「いや、そこは気にするな………だが、ふむ……どうだろうかコースケ。明日からもしばらく私達とダンジョン攻略をしてみないか?」


「ええ!?それはもちろん是非!正直男心をくすぐると言うか、やはりこういう冒険はワクワクしますし、お二人が居れば心強いだけじゃなく、勉強になる事ばかりで新鮮です。」


「そうか!そうかそうか、ふふふっ。アルネロの話を聞くにやはりと言うか、コースケの戦闘能力での心配は全く無い。ならばいっそAクラスダンジョンを攻めると言うのもいいと思うしな。」


「良いですね。あ、でも……あっちのメンバーをどうするか…。」


「合流後話し合って決めていけばいい。正直あの帝国の者次第だがな……いい機会だからはっきり言っておくが、あのハピスとか言う女には充分気をつけろ。」


「………帝国の人だからですか?」


「それもそうだが、一番は彼女の意図が分かっていない。」


「意図?」


「そもそもコースケは彼女…ハピスが帝国で何をしていた者か知っているのか?」


「……いえ…薬草の研究者かと…。」


俺はトモと共に川から上がり、若干生臭い身体を布で拭きながら、ジャクシンさんが用意してくれた焚き火に近付いた。


「ハピスが元々所属していたのは『神格達久遠級真理回路錬金機関』、通称 "神真機関" と呼ばれる帝国公認の錬金術師の集団だ。」


「し、しんかく、なんですって?………まぁアルケミストと言うのは聞いていましたけど、なんだか仰々しいですね。」


「おそらくきさまのかんじたとおりだ。しらべればしらべるほど ”しんしんきかん” はあぶないはなしばかりで、ていこくの ”やみ” そのものだったぞ。」


「闇……?」


「表向きは治療薬やワクチン等の研究機関であるのだが、人体投薬実験や洗脳実験など、非人道的な行為の噂は耐えない。魔物を創り出そうとしているとも聞く。」


「そしてそれはウワサではなく、おそらくすべて "じじつ" だ。さぐっていたわれわれのなかまも "なんにんか" ゆくえがわからなくなっている。」


俺はアルネロが入れてくれたコーヒーを呑みながら話を聞いていた。


「でも元々と言うことは、今はもう関係無いんですか?」


「そこだ。どちらかと言えばそこば問題なのだ。」


「なぜです?」


「神真機関はとにかく機密事項の塊の様な存在だ。そのメンバーだった者が自由に外を歩いていて、尚かつ、敵国の領土に来ているのだぞ。」


「普通は帝国が何かを仕掛けてきたと思うって事ですか。」


「ああ、だが、彼女が取っている行動は真逆だ。」



ジャクシンさんが取り出したのは

透明感のある赤いポーションだった

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