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えぴそど95 ダン強-敵

俺はボス戦に備え、アルネロの携帯食を齧りながらブリーフィング中だ。


「このダンジョンのボスはキメラだ。ジャクシンさまとはなれ、すでに4じかんがたっている。ここにはワナはないから、ヤリでたたかっても、きさまのカマですぐたおしても、どちらでももんだいないがどうする。」


アルネロが俺に気を遣ってか、方針について始めて相談してきた。


キメラと聞いて最初に思いつくのは、ライオンの顔に蛇の尻尾、コウモリの翼的なあれだ。もしくはドラ○エのハゲタカだ。


「あ、ああ……時間に余裕があるならさっき教えてもらった技を試してみたいけど、アルネロはそれでいいのか?」


「あ?わたしのことはきにしなくていい。ここまではやくつけるとはおもっていなかった。すきなようにしてみろ。いいれんしゅうだ。」


「わかった。じゃぁ俺が先行して戦ってみるよ。」


俺が短槍を構えると、アルネロは扉の中央にある鉱石に魔力を注いだ。


鉱石から光が放たれ、螺旋状に伸びた溝に沿い徐々に発光し、扉がゆっくりと開かれていく。


「よし、ゴミクズ。いってこい。」


「う……ら、ラジャー!康介、いっきまーす!」


まだゴミのままだった俺は、負けるなんて事は微塵も考えていないが、短槍のスキルアップとダンジョンの初踏破を目指し、短槍を構えボス部屋に走って行った。


「ん……あの、アルネロさん、何も居ないんですけど。」


「……ん。」


アルネロは無言のまま顎で先の扉を指した。


恐らく外に出る為の扉の前に、大きな魔法陣が描かれており、見る見るうちに輝き出した。


魔力の粒子が集まり、魔物が転送されてくる。


「おおおおお!ボス戦ぽい!!」


ゲームなどの出現演出に似たワクワク感を感じていたのだが、徐々に形になっていく姿を見て俺の表情は濁っていった。


「ちょっ!!!おもてたんのと違う!!!」


今まで出会ってきたこの世界の魔物は、凶悪で狂暴そうな面構えだったが、どことなく漫画やゲームで見慣れた風貌だった。


が、今目の前に現れたこいつは違う!


一言で表すならグロテスク!!!


全体的にはホブゴブリンに近い二足歩行フォルムだが、皮というか皮膚が無く、真っ赤な筋肉が剥き出しのまるで人体模型の様な姿だった。


人の顔の左右には、見た事も無い動物の様な顔が二つ付いており、背中から様々種類の腕が四本生えている。


涎を垂らし、肩で呼吸をしているかの様な姿はまさにバイオ○ザード。


レベルも32とアルネロよりも高い。


「アルネロ!あれがキメラ!?」


「そうだ、むっつのうでは、それぞれちがうぞくせいのまりょくやまほうをつかう。そのうえ”しゅんびん”だからきをつけろ。わたしもさしでたたかうのはさすがにほねがおれる。こちらにこうげきをむけさせるなよ。」


「ラ、ラジャー。」


「まえをむけ。あちらさんのじゅんびができたようだ。」


アルネロの言葉にキメラの方向を見ると見事に俺をロックオンしている。


強肉弱食があるので攻撃は問題無いが、スキルに攻撃判定されない自然事象には充分気をつけなければならない。


「ォォォオオォオォオォオォオォォォ」


ハウリングする様な雄叫びを上げながらこちらに向かいキメラが走ってきた。


「アルネロ!」


「うるさい。わかっている。」


俺の後ろに居たアルネロはいち早く移動し、キメラの横を取るように走っていった。


俺はキメラのターゲットがこちらである事を確認すると、相手の初手、右の大爪の振り払いを体をねじりギリギリで避ける。


「そうだ、それでいい。ほんらいよけるひつようがないだろうが、きさまは”め”と”はんしゃしんけい”がいい。スキルにたよらずとも、そのままでもじゅうぶんたたかえる。」


最初の爪を避けたが、その勢いのままキメラは更に体を入れ込み、右の背中にある日本の腕が今度は俺を狙う。


「予測済みだ!!」


俺は二本の腕の軌道を読んでおり、キメラの体と腕の間を搔い潜る様に背面に出ると同時に、魔法陣を展開させスキルを発動させる。


〈中級槍スキル チャージスピアー〉


魔力操作の初歩である無属性の魔力を込めた単純な突きを背中に向け放つ。


魔法陣が展開された槍の穂先が魔力を帯び、一回り大きな光の刃を創り出した。


キメラの背中に刺さりかけた所で、反対の背中に生えた他の腕に槍を掴まれ、威力を帳消しにされた上、無理に引き抜こうとした結果、槍から気持ち悪い感覚が伝わってきた。


「くそっ!」


俺は一旦距離を置き、短槍を確認するが、L字クランクの様に見事に曲がってしまった。


「ぷくくくくく。てつだってやろうか?ぷぷぷっ。」


「いや!いい!アルネロはそこで見ていてくれ!」


「くくくくっ。わかった。」


情けない姿に変ってしまった武器を見ても、俺が落胆する事は無い。


正直、魔力操作を知ってからは、得物の形は重要では無い事を知った。媒体にする為に、スキルに対するイメージが着きやすくすれば何でもいいのだ。


それを知ったのは、遊び半分でユージリンが短槍を使って剣のスキルを発動できたのが大きい。形が似ていれば木の棒だって立派な武器になる。


俺は再度曲がった短槍に魔力を込めていく。


キメラはこちらにゆっくりと振り向き、左右の腕に魔法陣を展開させた。


「みぎは”ひ”ぞくせいのまほうだ。ひだりは”かぜ”のまりょくをこめたツメがくるぞ。」


「分かった!!」


俺は相手より先に前に出て距離を詰めた。


魔法陣の動き方から発動までに若干の時間がある、しかしその隙を補う残り四本の腕。


先に仕留めるのは単純な暴力で向かってくるその腕だ。


俺はキメラの前で横に跳び、キメラの腕がこちらに伸びた所で前回転で更に反対側に転がった。


「ここだ!!!」


俺はアルネロに教えてもらったばかりの技を使う。


短槍の折れ曲がった先端をキメラに向け、溜めた魔力を開放すると、穂先から魔力が放出された。


〈中級槍スキル? アドバンスショット?〉


「え?」


本来穂先から魔力の鏃を飛ばす魔力操作のショット技なのだが、思い描いていたものと違う形でスキルが発動し、その魔力の光は槍に留まったまま伸び、キメラの足と腕を貫いていた。


「鎌!?!?」



俺の折れ曲がった短槍は

魔力を込めると鎌に変化してしまった

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