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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
☆ I Can Fly ☆
9/258

えぴそど9 初めての会話

_人人人人人人人_

> 失 禁 少 女 <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄


進めど進めど町らしきものは見えてこない。

完全に夜が明けきってはいないが、疲れはもぅピークに達していた。少し先に小川があったので、街道を横道に逸れ休憩も兼ね身体を洗う事にした。


だが、傷だらけの足で生水に入るには抵抗がある。

菌が入り破傷風になると聞いた事があるし、もしこの世界でなった場合、医療体制がどうなっているか判らないからだ。


それでも汗と返り血、あと青臭い匂いにもう限界だ。


意を決して川に入り、頭から水に潜りながら身体を流していく。ふと、失禁少女の事が気になった。ついでに彼女も洗っておくべきだろう。


川から上がり、彼女に被せた布を取る。

尿が乾いてきたのか厳しい匂いを発していた。残念だが俺にその気の趣味は無く、全くもってご褒美にはならない。彼女の頬を叩き、起こそうとするも、反応しない。


彼女の容姿はどこか欧米人に近い造形だった。

金髪のミディアムヘアーで、顔はそばかすがたくさんあるものの整っており、好意を寄せられる事も多そうだ。身長は160cm台だろうか、スタイルも良く、何せ足が長い。


息をしている事を確認し、仕方ないので脱がせそうなものは脱がし、そのまま抱えて川に浸かってみた。下心は全く無い、正直それどころじゃないくらい疲れている。


裸で歩けていたくらいなので、気温としては低くはなかったが、明け方という事もあり水温は冷たく感じる。


俺の金玉は防御体制のシーケンスに移行していた。彼女はこれでも起きる気配が無い。いや、金玉の収縮活動じゃなくて、冷たい水に入ってもって意味ね。


俺はそのまま川の中で彼女の身体を左右に揺らし、流れを利用して水洗いをしていった。


川から上がれば、次は火を起こして乾かすのが王道パターンだろう。いやむしろ火を起こした後に川に入るのが普通か。


だが木を擦るやり方は素人には難しいと聞くし、虫眼鏡の様な物ももちろん無い。無駄な体力を使わずそのまま彼女を荷台に乗せ直し、俺はまた荷車を引き歩き始めた。


それから幾分か進み朝日が差し込んで来た頃、不意に荷台でガタガタッと音がする。荷車を止め振り向くと、彼女が強張った表情でこちらを見ていた。よほど混乱しているのか、パンをナイフ代わりにこちらに向けている。


「ここは!?みんなは!?」


おぉ、日本語だこれ。

やった、最初から言葉が通じるパターンだ。急に喋った所為か彼女はゴホっゴホっと咳付いている。水を渡しながら、彼女を落ちつかせる為にゆっくりと会話を試みた。


「あー、どこから話したらいいかな…落ち着いて聞いて欲しい。あの場で生き残っているのは君だけだよ。馬車で逃げた人達は分からないけど、ここまでに襲われた形跡はなかったし大丈夫なんじゃ無いかな。」


我ながらやや直球すぎたか。

素直な性格だと誰かにフォローして欲しい。彼女は周りを見渡し、少し間を置いた後口を開いた。


「スケアリーベアーは…?」


おぉ、英語も通じるのか。

益々親切設計だわこれ。ベアーって言ってるし、あの熊の事だろう。


「俺が倒したよ。」


「────!?」


彼女は目を見開き、俺の体をまじまじと見つめる。

大丈夫、今は布の腰巻のお陰で股間は露出していな…い……はうあっ!!ち、乳首から毛が生えているじゃ無いか!!やってしまった!ちゃんと上も隠すべきだった!ハズすぎる!


「スケアリーベアーを倒すなんて何者なの!?」


無論、彼女は乳首の毛なんか気にしている訳でもなかった。まぁ、あれだけの惨事を引き起こしたあの熊は、やはりそれなりに強いのだろう。それを俺みたいな得体の知れない奴が倒したと言って、本当に通るものなのか。


少し考えた後、俺は彼女に大まかな経緯を説明していった。


気付いたらあの草原にいて、どうやって来たのか分からない事。飲物を分けて貰おうと馬車を追っていた事。相手に鎌を刺す技で、間違いなくあの熊は俺が倒したと言う事。狼などが集まってきた為、彼女を守るべく荷車にいくつか荷物を乗せ、その場を離れた事。


彼女は神妙な顔つきで俺の話を聞き

何かを思い出したのか涙目になっていた


「ともかく、助けてくれてありがとう。私は冒険者ギルドCランクのメイエリオ。商業都市ヤーを拠点にしているわ。貴方の名前は?」


「あ、あぁ…俺の名前は康介。記憶があやふやな28歳の独身だよ。」


「コースケね…うん、記憶喪失だと大変だよね。命の恩人には変わりないし、気になる事もあるけど…私が当面サポートしてあげるよ。」


なんだか話が飛躍した気もするけど、訂正するのも難しいのでそのままにしておいた。


彼女はまだ聞きたい事がありそうだったが、俺はともかく疲れているので先を急ぎたいと伝え、荷車を引き始めた。


彼女も荷台を降り、後ろから押してくれている。何か吹っ切れたように、凛とした表情で周りの地形を確認していた。


「あそこに見えるのはカジンの丘ね。この道であの丘が見え始めたら、もう少しで村があるからそこで休めるよ。」


なんともありがたい情報だ。

やっとゆっくり眠りにつけるかもしれない。仕事をしている時は三徹などもあったが、今回の徹夜が人生で一番堪えている。


「そう言えば、なんで私達こんなにびしょびしょなの?」


「あぁ、君がおしっこ漏らしてたから川で洗ったんだ。」



先ほどまでの凛とした表情は崩れ

耳まで真っ赤になりながら俯い(うつむい)てしまった

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