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えぴそど87 ダン小-鬼

四階層では新たにやや大型の蛇型魔物や蜘蛛型の魔物が出てきた。


ジャクシンさんの指示で、トモを前に呼び一緒に連携を確認しながら戦う事にした。強肉弱食に甘える事無く、しっかりと攻撃を躱しつつ反撃し倒して行く。


アルネロ曰く、特に素材として価値のある魔物では無かった為、死体はそのまま放置し先を進んで行った。


そして降りる階段を見つけ、五階層へ。


「コースケ、だいたい五階から魔物の強さが跳ね上がる。とは言っても我々では問題無いが、急に襲ってくる場合も考えつつ、注意して進め。」


「は、はい!」


「アルネロ、コースケのサポートを強めてやって欲しい。」


「しょうちいたしました、じゃくしんさま。」


笑顔で答えていたアルネロだが、こちらに振り向いた時には不機嫌を具現化したかの如く渋い顔をしていた。


「おら!きさま。まえをみてしゃきしゃきあるけ。」


「う、うっす!」


「あーちなみに5メートルさきのあのゆかとあのかべ、ワナだからふむなさわるな。」


「え?あの、色が違う所?」


「それいがいにないだろが。」


「りょ、了解!」


「ん…まて。」


アルネロの態度や口は悪いが、魔物や罠に関してはしっかりと教えてくれる。


どんなに上から目線で来られようとも、俺は感謝しつつアルネロの指示にはしっかりと従っていた。(紅茶を吹きかけてしまった事への贖罪もあるのだが)


「はい?」


「ぜんぽう、まがりかどにまもののけはいだ……ん、じゃくしんさまこうほうからもむかってくるけはいがあります。」


「挟み撃ちか、コースケ。後ろは気にしなくていい。強くなると言ってもまだ五階だ、前方の敵にだけ集中しておけ。アルネロはコースケを見てやっていてくれ。」 


「はっ!」


「りょ、了解です!」


「おい、ゴミ。このかいそうでタイミングをはかれるとなると、おそらくゴブリンだ。かこまれそうになるならカマをつかえ。あぶなくなればたすけてやる。ぜったいにきをぬくな。」


「う、うっす!」


ついにウサ耳にゴミ呼ばわりされる様になってしまった。


それにしてもゴブリンか。

今まで出会ってきた強敵と比べると微笑ましい響きに思えてしまう。


この世界に来て最初に会敵したのもゴブリンだし、今思えば足を殴られた痛みは新鮮だったな。


ウサ耳には悪いが、危なくなる事は無いだろう。

レベルが低い奴が居ても難なく倒してみせる。


「お?」


そうこう考えている内に曲がり角から魔物が迫っている気配が俺にも分かった。


「ウゥゥゥ!」


トモが小さく唸っている。


さぁゴブリンとの再会だ。

前は熊に倒されたリベンジだ!さぁ…こ…いぃぃぃぃぃぃ!!!????


「な!?なにこれ!?」


「きをぬくなといったろうが。じゃくしんさま、ぜんぽうはドビー1、ボブ2、シャーマン1、ナチュラル4です。」


「ああ、それくらいなら問題ないだろう。こちらも似た様なものだ。」


淡々と話す二人を他所に、俺は正直ビビっていた。


思ってたゴブリンと違う。

様々な種類がいるが、色は全体敵に緑色ぽい。


何よりその大きさである。

一番背の低い杖と棍棒を持ったゴブリンですら、初日に初めて遭遇したゴブリンの倍以上あった。


次いで弓を持ったゴブリンは更に背が高く、ホブと呼ばれ、大剣を持った奴に関してはスケアリーベアーと大差無かった。


俺はそのままレベルを鑑定していったが、一番弱いナチュラルでレベルが7前後あったので、ひとまず攻撃を食らう心配は無さそうだ。


「トモ!無理はするな!距離を取って魔法で攻撃だ!」


「ウォッふ!!」


自分で指示しておいてなんだが、トモの頭の良さに毎回感心させられ、頬が緩んでしまう。


ゴブリン達との距離が詰まったので、余韻に浸るのを止め、俺は前に飛び出した。


まず、標的にするべきは杖を持ったゴブリンシャーマンだ(実際こいつがシャーマンか分からないが、アルネロが呼んでた上に、杖持ってるしこいつだろうという勘)


どんな効果がある魔法を使われるか分からない。

トモに万が一の事があっても困るので、不明確な要素は先に潰しておくべきだ。


俺はホブゴブリン(でかいし二匹だし絶対こいつだろ!)の大剣をスライディングで避けると、シャーマンとの距離を一気に詰め、そのまま短槍を握った手を伸ばした。


しかし、すんでのところでもう一匹のホブゴブリンの大剣が振り下ろされ、短槍を止められてしまった。


すぐに起き上がり、体制を整えるとトモの動向を確認しつつ、魔力操作を行い、ホブゴブリンに向け魔力を放出した。


ホブゴブリンは巨体に似合わずあっけなく避けると、今度はそのまま大剣を使いこなしこちらに振り抜いてくる。


俺はギリギリで避けながら、後方に下がったシャーマンに攻撃する機会を窺った。


トモはナチュラルとドビーを相手にしており、風魔法と牙、爪を使い順調に戦っている。


元々高ランクの魔物でレベル差もある。

放っておいても問題なさそうだ。


「いつまでじゃれている。じゃくしんさまがおまちだぞ。」


俺はその言葉にハっとし、ジャクシンさんの方向を見ると、ゴブリン達の死体を背に、にこやかにこちらを見ていた。


「うっ…い、急ぎます!」


まだ戦闘が始まってほんの2~3分の筈。


焦った俺は、シャーマンに拘るのを一先ず止め、ホブゴブリンに狙いを定め短槍を払いながら距離を詰めた。


そのままホブゴブリンの大剣を躱すと、膝に向け槍を突き立てる。


「グォォウッ!」


今度は槍を引き抜き、魔力を込めながらホブゴブリンの後方に素早く周り込むと、膝裏に突き立てる為、片手で短槍を大きく振り上げた。


ポチっ


「ん?」


『あっ!』


何かの感触に振り向くと色の違う壁が俺の目に映った。


そう、俺の短槍の柄は罠の壁を押してしまっていたのだ。


ガラガラガラガラガラッ!


即座に壁が左右に割れ、中から巨大な鉄球が俺に向かってとんでもない速さで飛んできた。


『ガキィ』

【経験値50を獲得しました】


「うぉ!?」


鉄球の勢いのまま反対側の壁まで飛ばされた俺の身体は、気が付くとアルネロに逆さで抱えられていた。


「くぬぉぉぉぉぉ!きさまぁほんとしねよぉ!」


この細身の身体で70kgプラス装備がある俺の身体を悠々と持ち上げるアルネロの筋力に感心した。


「アホ!バカ!ゴミ!クソ!カス!シネ!わなだっつただろ!」


「ご、ごめん!とりあえず怪我は無いからさ。」


「そういうはなしじゃない!うごくな!したをみるな!」


「ん?下?」


カチッ


『あっ…』


下を見ると罠の床がすぐそこにあり、頭で床を押してしまう。



避ける間も無く展開した魔法陣に

俺とアルネロは飲み込まれた

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