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えぴそど82 ダン準-備

「あ!あれ美味しそう!シュナちゃん行こ!」


「う、うん。」


メイエリオはシュナの手を引っ張り、勝手に少し離れた屋台に串肉を買いに行ってしまった。


俺達は今、ブーメルムの繁華街に来ている。

ジャクシンさんからダンジョンに行く誘いを受け、明日潜る為の買い物だ。


俺、メイエリオ、ユージリン、ヤッパスタ、シュナと5人で日頃からお世話になっている、エブリン商会のチレダさんに会いに向かっている。


「おーい!メイエリオー!先に行くぞー!」


これまでも森に狩りに行く時には何度も商会運営の店舗に通っており、素材の買取や、武具のメンテナンスをお願いしていた。


店に着くと、レジ近くに居た小太りの男が駆け寄って来る。店舗責任者のチレダさんだ。


「これはこれはコースケ殿、今日はまだ時間がお早い様ですが、もう狩りから戻ってこられたのですか?」


「今日は違う要件で来たんですチレダさん。実はみんなでダンジョンに潜る事になりまして、その準備に。」


「そうですか!いやーそれはめでたい!ダンジョンから素材やアイテムを持ち帰れる様になれば、名実共に一人前の冒険者となりますな!」


「はは…そ、そうですね。」


まだ行って無いのだから分からないが、今まで…いや今も半人前として扱われていた事にちょっとショックだった。


それでも商会の金塊を護った恩義の分か、チレダさんは俺達を何かと気にかけてくれる優しい人だ。


「それで、具体的には何をお探しで?」


「あ、えーと、ヤッパスタお願いしていいか。」


「ああ任せてください旦那!必要な物は俺が打ち合わせしておくから、旦那らは武具でも見ててくれ。」


唯一ダンジョン経験者のヤッパスタに支度を任せ、俺達はそれぞれの装備を確認して行く事にした。


「これどうかなコースケ、ユージリン。」


メイエリオがボウガンを持ちユージリンに向け構えていた。


「いいんじゃないか。狭い通路でもこれなら問題なさそうだ。」


「うーん、ただやっぱ重いのかなー。」


「機械仕掛けが入る分の重量は仕方ないよな。俺も小ぶりな盾を探さないと。」


「それにしても夢みたい、私がダンジョンに挑むなんて。」


「ああ、メイエリオは本当にこの数週間で見違える様に強くなってるからな。今ならデリシャスマッシュにも勝てるだろうよ。」


「ユージリンのおかげだよ。あとは…ハピスさんのおかげ…かな…。」


「お、俺も彼女には感謝しているよ…。」


二人は特訓の日々を思い出すと表情が暗く沈んていた。傍から見ていても、二人に対するハピスさんの指導は、可哀想な程のスパルタ訓練だった。


ちなみに、ダンジョンには別々のパーティを組み、それぞれ違うダンジョンに潜る事になっている。


俺とジャクシンさん、それにウサ耳アルネロに、トモを加えたA班。ハピスさん、メイエリオ、ユージリン、ヤッパスタのB班。


全員で行くには効率が悪いと、ハピスさんの提案により恐らくバランスの取れた人選となった。


ダンジョンは周期的に内部が自動で変化し、潜ってみるまでどういう状態か分からないらしく、入念に準備をする様にも言ってくれた。


深層に潜るには数日以上潜りっぱなしの必要もあるらしいが、とりあえず今回は日帰り、もしくは一泊くらいまでで様子を見てみたい。


ハピスさん自身は、午前中は俺達の特訓に時間を割いてくれてているものの、午後からはどこかにふらっと居なくなり、夜になると戻ってくるという状態で、こういう時は別行動を取っている。


「旦那!終わったぜ。これで一通り揃ってる筈だ。」


「あぁ、ありがとうヤッパスタ。って!おわっ!?」


振り向いた俺はヤッパスタの持っている荷物の量に驚いた。でかい鞄が2つ、ヤッパスタの両肩にかけられている。コス○コの帰りかと錯覚してしまった。


「え!?まじでか!その量が必要なのか!?」


「ん?あぁ、4人で想定して潜るならこのくらいになるだろうな。ダンジョンを侮らない方がいい。しかも、これでも削った方だぜ?後は潜る予定日数により食料を増やしていく感じだな。」


この世界にはマジックバック的な物が無い。

あんなド○えもんの四次元ポ○ットみたいなのがあればなんとも楽だったのに…


「大丈夫だ旦那。3~4人で分けて持てばそれほどはかさばらない、そっちにはトモも居るんだし鞍をかけてやれば十分運べるぜ。こっちは俺がいるしな。食料に関しても俺達なら現地調達が可能だ。」


「そうか…経験者の意見を素直に聞いておくよ。ありがとうヤッパスタ。」


「ああ、いいって事よ。」


その後、メイエリオはボウガンを買い、ユージリンはバックラーを購入した。


二人共ヤッパスタが持っている荷物を見て、目が泳いでいたが、やっとダンジョンデビューする喜びか、ひきつった顔で『がんばろー!』と拳を突き上げていた。


その後、露店などを周りつつ寄り道しながら家に帰り、夜になると、ヤッパスタによる持ち込みアイテムの講習会が行われた。


それぞれが持つアイテムを振り分けたり、トモに乗せてみたり試行錯誤しながら準備を整えていく。



さあいよいよだ

見せてもらおうか異世界ダンジョンの難解さとやらを

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