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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
☆ I Can Fly ☆
8/258

えぴそど8 男気

【経験値50を獲得しました】

【男気100を獲得しました】


なんとか間に合った


熊と女の子の間に滑り込み攻撃を弾く。

それにしても気合の入った子だな。そのまま俺の勇姿を特とご覧あれ!そしてお礼を特とください!できればお風呂になんかも浸かりたいです!


『カキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


お決まりのフレーズにミュート機能を付けたくなってきた。さて、突っ込んだはいいがどうするべきか。先にこの1頭を倒し、残りの2頭をまとめて倒すべきか。それでも5ポイントは節約でき…る……ん!?


ちょっと待て!男気って言ってなかったかさっき!?スキルを確認するとやはり加算されている。聞き間違いじゃなかった!やっぱりあれか!その名の通り男気溢れる行動で得られるやつなのかこれ!


「ガァァァァァァァァ!」


熊が怒りの咆哮をぶつけてきた。

幸運な事に、鳴き声に反応した奥の2頭もこちらに走ってくる。好都合だ、これで一度に倒せる。それにしても走るの速いなこいつ等。


身を挺して女の子を救う。

確かに物語の王道だが、それを男気と置き換えるのは納得できる。さらに100ポイントはでかい。大カマすら使う事ができる様になったのだ。


〈小かま 145/5〉

〈大かま 145/100〉


3頭が揃うと、両サイドの熊が爪を振り下ろす。


『カキィィィィィ』

『カキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】

【経験値50を獲得しました】



そして最初に対峙していた真ん中の熊が噛み付いて来る。


『カキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


そこからも3頭の連撃が続く。

俺は冷静にスキルを開き〈小かま〉を選択していく。距離が近すぎて3頭同時に刃筋をなぞるのが難しく、また、やたら動くのでタイミングを慎重に見計らっていた。


その間も執拗に攻撃してくる熊達。

正直ワンパターンな物理攻撃ばかりで飽きてくる。


攻撃が効かないと分かってからは、動物に戯れ(じゃれ)られているム○ゴロウさんの気分だ。そんな事を思いつつも3頭の動きが揃った時を見逃さない。


ここだ!


〈けってい♡〉を勢いよく押す。

空間が一瞬揺れたと感じた時には、鎌が3頭を貫いていた。若干思っていた形にはならなかったが、間違い無く致命傷を与える場所なので結果オーライ。


【経験値5400を獲得しました】


アナウンスも流れ、俺は彼女を救う事ができたのだ。

ドヤ顔で後ろを振り向くと、肝心な彼女は気を失って倒れており、どうやら失禁もしてるようだ。状況から仕方ないが、ここからどうすればいいのか考える事が多くて困る。


脱出した馬車はもぅ走行音も聞こえない程に遠くまで離れた様子。改めて周りを見回すと、そこら中に肉片や血がぶちまけられた地獄絵図。平和な日本で過ごしてきた俺には中々のハードモードだ。


死体を見るだけでも胸がざわつくのに、スプラッターでぐっちゃぐちゃだ。


なるべく見ないようにするのが精一杯。本来なら穴を掘って土に埋めてやるべきなのだろうが、アレらを運ぶ勇気も無ければ、そこまでしてやる義理もない。


そもそも火葬か土葬かも不明な異文化世界。

可哀想だがそのままにさせてもらう。落ちていた布の袋を拾い上げ、吐き気を抑えながら、何かないか物色してこの場を離れる事にした。


まずサンダルが目に入る。

血が付いていたので明らかに誰かが履いていた物だが、ありがたく使わせて頂く。


ちゃんと履く前に手は合わせておいた。散らばっている荷物の中から布を拾い、腰に巻きつける。これでひとまず最低限の文化的な見た目になっただろうか。


パンの様な物と、近くには革袋に入った水を見つけた。流石にここで食べる気にはならなかったので、布の袋に詰め込め、水だけをゴクゴクと飲ませてもらう。無論、味わう余裕など無い。


辺りから漂う鼻をつく匂いが中々に厳しい。

今、状況を分からない人がこの光景を見たら、間違いなく山賊案件だな。


不意に気配を感じ周りを見ると、狼やカラスぽい鳥が集まって来ている。鑑定眼を使うとレベル8前後。狼達は明らかにこちらを警戒している様だが、死体を引きずっており襲って来る気配はなかった。


小さい荷車を見つけ乗っていた武器などを下ろした。食料や飲物を積んでいき、失禁した彼女も一緒に乗せる。いきなり襲われない様に、彼女の上に布を被せておいた。


焦げまくった馬車に、一際装飾が派手な宝箱が2個見える。それも所々焦げてはいるが、無事な様なので一緒に荷車に積んでおく。鍵がついており中身は判らなかったが、今後の生活に役に立つかもしれない。


そのまま荷車を引きながら真っ暗な夜道を進む。

元々疲れていた身体に、ボロボロの足。だが飲み水を摂取できた事と、履き物が手に入ったのはありがたい。


これ程に追い込まれた状況であっても、社畜であれば笑顔で乗り切らなければならないのだ。


月明かりを頼りにどれくらい進んだであろうか、辺りが若干明るくなってきている。



異世界に飛ばされ

最初の長い夜が明けようとしていた

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