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えぴそど78-勇21 赤橙の実

男が持つスキルは主に物理攻撃に特化したものが多かった。


魔力を放つスキルも多数あるが、単純に魔力で固めた手足で殴る蹴るなどするだけで、その破壊力は一級品である。


更に強みとして、関節や急所の知識を持ち合わせている。男は元々拳闘家として訓練しており、人体然り、魔物に置いてもそのほとんどの急所を把握していたのだった。


しかし、この魔物の外皮がとても硬かく、通常の魔物であれば皮膚を突き破り肉を裂く筈の技が、皮膚で止められてしまう。


その上、関節や痛みの強い部分を狙ってみるも効果を感じられなかったが、デミリッチと遭遇した事により解決している。牛と馬の巨大な魔物は既に死体だったと分かったのだ。


死霊術を使うネクロマンサーでもあるデミリッチであれば、死体にしている事は当然であり、更に操る死体を強化するスキルを持っていても不思議では無い。


デミリッチは普段、魔王が居る嘆きの山に居る為、実際に目にした者が少なく、名前こそ付けられていないが、現存確認されている中でネームドを除けば最強クラスの魔物である。


使用する魔法は上級ばかり。


ランク不明の発見されていない魔法までをも使用する。自身で戦うだけでも強いのだが、知力も非常に高く、今回の様に死体やゴースト系モンスターを操っての戦術も得意としていた。


男は半年前に腕試しとして嘆きの山に入り、デミリッチに挑み三日三晩間戦い続けるも、倒しきれず撤退していた。


(先にデミリッチに行くか…いや、あのでかぶつ二匹の攻撃を躱しながら相手できるほど弱い奴じゃねぇ。アレを使うにもここでは無理だ。クソっ!)


完全に霧は晴れ、男からも牛と馬の魔物からも、お互いの姿がはっきりと見えた。


男は、先に戦っていた牛の魔物をターゲットとし、脚に狙いを定め執拗に攻めだした。


〈上級格闘スキル コメット〉


縦回転からの反動を使い、魔力を脚に乗せ踵から叩きこむ技。男はそれを牛の膝部分に落とし込むも、えぐる事が出来ない。


着地した瞬間には馬の斧と牛の拳が同時に降りかかる。男は大きなバックステップで避けつつ距離を取り、次のスキルを準備した。


「なら、これでどうだ!」


〈上級格闘スキル キャノンスパイク〉


地面を強く蹴り上げ、その反動を使い、凄まじい速度と、魔力を込めた蹴りの体勢で特攻する技を放つ。


「くそっ!やっぱり貫けねぇ!」


貫通力では最大威力を誇る技を持ってしても傷を付ける事が叶わなかった。普通の魔物であれば、男が通れるだけの穴が空いてしまう技である。


(右腕が使えればな…)


〈中級格闘スキル ブルートブロー〉

〈中級格闘スキル アイロニーショット〉


片腕で使える技を含め、次々と牛の魔物に打ち込むもダメージを与えられている気配がしなかった。


更に2匹の攻撃は早く重い。

男はレベルが高く、反射神経にも自信があった為、現在まで避けてきてはいるものの、次第に疲れが見え始め、反応が鈍くなってきていた。


(まじでやばいな…)


牛の魔物が不意に両手を高く上げ、その足元に魔法陣が展開された。何かが来る事を察した男は、防御体勢をとりつつも、馬の魔物の攻撃を避けていた。


「ちっ!」


牛の角が突如大きくなり、一瞬で男に向かい伸びてきたのだ。


〈石渡 土蜘蛛〉


男は身体を硬質化させるとともに左腕でガードするが、そのまま角で突き上げられ宙に弾かれてしまった。


更に馬の魔物にも魔法陣が展開されており、手にした斧が赤く光りだしたのが見えたが、馬の攻撃が始まる前に男が構えると、男にも魔法陣が展開された。


「舐めるな。」


〈上級格闘スキル クロノスノヴァ〉


全身から高密度の魔力を、放射状に一気に放つ最高難易度の技。


大量の魔力を消費してしまい、尚且繊細な魔力操作が必要不可欠なこの技は、現存ではこの男にしか使えなかった。


歴代最強と言われた、四代目拳王トラ・ジャクシンが、神託を得る前に開発し、天舞と同等の強さと云われる所以となった大技である。


但し、書物に残っていたトラ・ジャクシンのクロノスノヴァは、まさしく”全身”から放たれたものだったが、この男が出せるのはせいぜい20本程だった。


それでも威力としては申し分無い、正に最強に相応しい技であると同時に、その特性から詠唱を必要としない魔法と比喩された。


牛の魔物はやや距離が離れていた為、かすった程度だったが、馬の魔物には直撃した。


が、馬の魔物は無傷のままこちらに向け斧を振り抜いた。発光したそれは目にも留まらぬ速さで男の目前に迫る。


「な!?嘘だろ!?」


硬質化を発動させるも、発動し終える前に馬の斧を受け、更にインパクトの瞬間に斧が纏った魔法陣から爆発が起こった。


男はその勢いのまま、反対側の壁にまで飛ばされてしまう。


粉塵の中から男は姿を見せるも、明らかにダメージが大きく、片目は開かず、肩で呼吸をしている様な状態だった。


その光景を見ていたベルが何かに気付いた。


「貴方!!あれを見て!!!」


男はその声に薄い反応をすると、ベルが指を指した方向を見る。


「…ははっ……そういう…事だったのかよ…。」



攻略の糸口が見えた矢先

馬の魔物はベルに向かい斧を投げつけた

私事ですが、現在の仕事の都合上、12月はとてもとてもとてもとてもとても忙しい状態に陥ります。特に年末年始も祝日も関係無い仕事な為、下手したら12月はまとな休みすらほとんど消え失せる可能性も…


今の内に謝っておきます。

もし12月に入り投稿が飛ぶ日が出たらごめんなさい!

なるべく無い様にしますが、もしもの時は復活の呪文を唱えて下さい!


1月になれば暇なので、余裕があれば文字数増やしてスピードアップしていきます。



青狗

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