えぴそど7 To be, or not to be.
たった今書き上げ即投稿!
もちろんチェックはしてませんぜ!
後で修正かます気満々なので宜しくです!
ごめんなさい!
私とユージリン、それに盾職の子の3人で、商人達を馬車まで移動させる。今居るメンバーで馬車を御せるのは、ユージリンだけ。逃げるには一台に絞るしか無かった。
商人は頻りに、他の馬車に積んだ荷も必要だから積み替えろと言っている。
ユージリンは馬車に馬を繋げないといけないし、私と盾職の子は可能な限り、荷を他の馬車から下ろす事にした。商人達は元々外に出していた荷物から、必要な物を選別している。
こんな事をしてる場合じゃないのに
だけどエブリンの役員がいるのだ。
万が一私が生き残り、彼が死んでしまったら、エブリン絡みの仕事を回して貰えなくなるかもしれない。
それに、魔物の素材の買取をしているのは商業ギルド加入の商会だけ。その最大手の会社に目を付けられるのは死活問題だ。黙って聞き入れるしか無かった。
「グラハム!!!!」
悲痛な叫び声が木霊した。
すぐに声の方向を振り向くと、冒険者Aランクのグラハムの頭部が半分無くなっていた。残されたドルガンが2頭のスケアリーベアーに挟まれている。
リナイ達がやられたの!?と思いそちらを見るとまだ4人とも戦っている。そう、3頭目が現れたのだ。
「ダメ!今すぐ馬車に乗って!」
私は商人達にすぐに馬車に乗る様に指示をする。
あのグラハムが殺され、3頭目まで現れた今、少しでも早くこの場を離れないといけない。奴等の脚で荷物と人を積んだ馬車に追いつく事は容易いのだ。
その時、ドルガンが2頭に挟まれた事で魔法を乱射してしまった。火球を辺り構わず放っており、色々な物へ引火している。2頭と対峙し、グラハムも殺され、混乱しているのかもしれない。
馬車にも次々と火が着いていく。
ユージリンが馬を繋げようとしている馬車が、一番街道沿いだったのが幸いし、今のところこの馬車は動かせる事が出来そうだ。
だけど問題も発生した。
これは雨で道が水没し易いドボーク平原用の馬車だ。車輪が通常よりも大きく、荷台や御者の乗り口も高く設計されていて、乗るには梯子が必要になる。
冒険者くらい鍛えている者なら、手を掛け自力で乗り込む事もできない事はない。だが一般人や、ましてこの太った体型の商人達では登りきれない。
ではその梯子はどこか。
元々2つしかなかった梯子は、荷下ろしに別の馬車に掛けたまま。今まさに火が着き燃え出していた。
火球攻撃が止んだ事により、煙の向こうにいるドルガンが、既にやられてしまった事を察した。その煙の中から2頭が出てきてリナイ達に向かうのが見える。
「みんな!逃げてぇ!!」
私の叫びも虚しくやられていく仲間達。
四肢と鮮血が飛び、身体は引き裂かれ、悲鳴を上げる間も無いまま蹂躙されるリナイ班。スケアリーベアーはそのまま切り裂いた肉片を喰い始める。
「ユージリン!まだなの!?」
「もう少しだ!火のせいで馬が大人しくしてくれないんだ!」
私は泣きながら様子を確認する。
そして商人を乗せる為、踏み台になりそうな物を重ね、下からお尻を持ち上げる。早く、早くこの場を…
ついに隣の馬車にまで火が燃え移ってしまった。
こちらはやっと1人目が馬車に乗れたところ、時間が足りない。2人目を目一杯持ち上げようとするが腕に中々力が入らない。
その時、突如頭上から大量の水が降ってきた。
隣の馬車に付いた火がみるみる消えていく。
魔法陣の輝きを追うとリナイだ。すでに下半身は無く、残った上半身もスケアリーベアーの前足に押さえつけられている。その口元は『にげろ』と動いていた。
私は様々な感情が入り乱れ
発狂しそうになっていた
「僕が時間を作ります!」
2人目を乗せ最後の一人というところで、盾職の子は、スケアリーベアーの1頭がこちらを見ている事に気付いた。スケアリーベアーに向かい盾を構え、警戒態勢に入る。名前も知らない同い年くらいの男の子だ。
そんな事しても無駄だし勝てる訳が無い。
今は2人で商人を早く乗せ、馬車を出す方が先決なのになぜ。そこで真意に気付く。
" 時間を作る "と言う意味は、万が一こちらに向かってきても自分を食べさせると言う事かもしれない。よく見ると足が震えている。彼の覚悟を受け入れ、再び商人の押上に力を込める。
「馬の準備はできた!そっちはどうだ!?」
その問いに答える余裕は無く、私は歯を食いしばっていた。あと少しで最後の商人が乗せられる。上から先に乗った商人も引っ張り上げ、なんとか全員乗車できた。
その時、鈍い音と生暖かい何かが私に当たる。
振り返ると盾職の子の首から上はすでに無く、吹き出した血が私に降りかかっている。スケアリーベアーはその頭を骨ごと喰っており、そのまま倒れた身体にも喰い付き始めた。
「早く出て!早く!」
今更馬車で逃げても無駄かもしれない。
それでも可能性があるとすればこれしか無い。私は馬車には掴まらず、足元に転がってきていた盾を拾った。
血が滴るフードを上げ、最後の力で盾を構える。ムチの音が聞こえ、馬車がゆっくりと進み始める。
今度は私が時間を作る番────
馬車に反応したのか、私の声に反応したのか、スケアリーベアーはゆっくりと私に近づき起き上がり、右手を振り上げた。もう何も考える必要はない。私は俯き目を瞑った。
『カキィィィィィ』
金属同士がぶつかる音が聞こえる。
痛みは無い。咄嗟に眼を開けると目の前に人のお尻がある。
え?
私とスケアリーベアーの間に誰かが立っている。
私はゆっくりと顔を上げると、透かさず二撃目が振り下ろされる。が、またしても金属音が聞こえ、スケアリーベアーは大きく仰け反っていた。
私は訳もわからないまま
気を失ってしまった
次回より主人公目線に戻ります
意外にメイエリオ視線に
話数かかって自分でもびっくり