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えぴそど69 本格的特訓

拳王キラハとの試合の翌日。

日常に戻していこうと、午前は各々の特訓の時間とした。


それを聞いたハピスさんが何故かやる気になっており、みんなのコーチングを名乗り出てくれた。


まず、ハピスさんの提案で、ユージリンとハピスさんが剣の稽古を行い、ヤッパスタはトールハンマ-で型を反復練習する。


メイエリオもハピスさんに簡単に指導され、放つ矢に属性魔法を乗せる練習をしていた。


俺はと言うと、シュナと共に魔力操作の基礎練習。

今度は皿ではなく、実際に短槍を握り、そこに魔力を流している。


どうやって魔力が流れているか分かるかと言うと、穂先に小さなりんごの様な果実を付け、破裂させるというもの。


昨日のエールの噴き出しを見たハピスさんが、練習の段階を繰り上げ、実践的な訓練にシフトしてくれた。


だが、まだ加減が難しく、たまに亀裂は入るものの、破裂までは行ってはいない。


シュナもハピスさんの提案で魔法の練習をする事になった。魔術の基礎が身に付いて無くとも、獣人であれば魔法は使えるかもしれないとの事。


手で三角を作り、その中心に魔力を集中させ光らせる。これが魔法の基本練習らしい。


要するに、武器や素手で魔力によるダメージを与える場合は、魔力を流し放つイメージ。


魔法を使うには、魔力を一箇所に留めた後、魔術により性質を変化させたり増大させるイメージだ。


メイエリオやユージリン達が風の属性魔法で髪の毛を乾かしていたのも、初歩の魔術を理解できれば簡単にできるらしい。


「あ、光ったよお兄ちゃん。」


「おー!!!シュナ凄いよ!才能の塊だよ!ハピスさーん!!」


俺が呼ぶと、ユージリンの木剣を軽々足の裏で止めたハピスさんがこちらを向く。


「もしかしてもー出来たのー?やっぱり獣人の血は凄いねー。ちょっと待っててねー。」


そう言うとハピスさんは手に持った木剣をユージリンに向けた。一瞬怯んで身を退いたユージリンだが、木剣をくるくると巻き上げられ、ユージリンの木剣は空中に飛ばされた。


「どれどれー?おー!ちゃんと光ってるねー。小さいのに凄い安定感だー。」


ユージリンは膝を突き呆気に取られていた。


「ここから先は魔術を知らないと出来ないからなー。シュナは文字は読めるのかい?」


「ううん、分からない。」


「そかそかー。じゃあ魔術書は無理かー。……よし!じゃー。」


ハピスさんは腰につけたポーチから、紙とペンを取り出し何かを書き始めた。素早い手の動きから想像も出来ない程の精巧で細かな絵柄が描かれていく。


「いいかいーシュナ。よーく聞いて見てね。これが魔法陣。この魔方陣を隅から隅まで覚えるんだ。何も見なくても書けるようになるまでしっかり覚える。いいかいー?」


「うん!分かった!覚える!」


シュナはハピスさんに渡された5枚の紙に書かれた魔法陣を睨みつける様に見ていた。


「ハピス。終わったなら俺とも手合わせしてくれよ。さっきの見る限り相当強えぇだろ?」


ヤッパスタがハピスさんに挑もうとしている。

ちなみにユージリンは剣を見つめたまま動かない。


「んー(笑)いいけど、そのでかぶつでやるの?(笑)。絶対当たらないよー。」


「それは分かってら。どんなもんか試したくなったんだ。」


「そかそかー。んじゃ、ちょっと待ってて。」


ハピスさんは屋敷に方に置いてあった道具箱(というか丸い鉄球)を持ってきた。


「いいよー、いつでもおいでー。」


「しゃ!いくぜー!」



15分後……



「ゔぁ、ゔぁいりゔぁじだ……。」


「うんうんー。よく頑張ったねー。またやろー。」


途中から俺とメイエリオは手を止め、ユージリンも食い入るように二人の組手を見ていた。


結果から言うとハピスさんの圧勝。

ヤッパスタも弱い訳では無い、それでも攻撃が当たらない。


最初は鉄球で攻撃を受けるつもりかと思ったが、ハピスさんは攻撃を避けると同時にヤッパスタに鉄球を打ち込んだ。


むしろよく耐えた方である。

顔含め体中が腫れており、今は大の字に倒れている。


「ほらほらー。みんなもっと強くなりたいんでしょー?手を止めて無いでみんな頑張ろー。」


ハピスさんが振り向いた瞬間、メイエリオとユージリンがビクついたのが分かった。


そのままハピスさんはユージリンの方に歩いて行き、『もう一回やろう!』と意気込んでいた。


「ねえコースケ。この人強すぎない?レベルはいくつなの?」


メイエリオが小声で聞いてきた。


「32だ。」


俺も小声で返す。


「まじで!?すっご……でも、そんな人に教えてもらえるならチャンスなのかも…。」


「メイエリオー!サボってないで練習練習ー!」


「あ!はいっ!」


ハピスさんに言われるとメイエリオは射撃場に走って行った。


俺も自分のできる事をやっていく。

魔法陣とにらめっこしているシュナの隣で、短槍に魔力を送りりんごに集中させていく。


「んぎぎぎぎぎぎぎー!」



短槍の穂先の更に先

門の奥に馬に乗ったジャクシンが見えた

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