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えぴそど67 天舞theロマンス

「よーし、よーく聞くのだよー康介くん!分かりやすく説明してやろー!」


「あ、はい。お願いします。」


なんだか馬鹿にされているようだが、話の内容が分からなかったんだじゃなくて、興味が無かっただけなんだけどな。


つか、ハピスさんもさっきまであんまり分かって無かったんじゃないのか?


それに、俺が知りたいのはどうして婚約という言葉が出てきたか。それだけだ。


「まず、純粋な貴族だけの統治を進めたいミュラーって人が、ジャクシン家を毛嫌いして排除したいと思っているー。ここはいいかいー?」


「ええ、それはなんとなく分かりましたよ。」


俺だけではなく、メイエリオとユージリンもハピスさんの話に耳を傾けている。


「ジャクシンって人はそんなミュラーを黙らせる為に、現拳王の威光を使いたいー。アンダスタン?」


「もう!分かってますからどんどん先を進めてください!」


「ははーツレないなー。フルブライトの言葉を借りるなら、拳王は拳王で帝国へ攻め入る為の軍が欲しい。まず、ここで拳王とジャクシンの利害が一致してしまうよねー。」


「そうっすね…。」


なんだろうな。

俺もその辺は分かってるつもりなのに、分かっていない感じで喋られるのは結構苦痛だぞ。


「ここで問題になってくるのが、今まで歴代の拳王はなぜ帝国に攻めなかったのかー。」


「お?それは知りたいです。」


「簡単だよー現魔王の所為さー。」


すっかり存在を忘れてた。


そう言えば魔族側には魔王が居たのだ。

どうせ攻めるなら魔王も連れて一緒にいけば、すんなり勝てそうなものだが。


「その、魔王ってのはどこで何をしているんですか?」


「本当に康介は何も知らなくて無知無知だねー清々しいよー。」


「煽ってます…?」


「はいはい、そんなに睨まない睨まないー怖いなーまったくー(笑)。魔王については私より魔族の人達方に聞いておこうか。」


「でしたら、魔王の事は私が説明しましょう。」


『拳王様』に対し『魔王』

様を付けていない辺りよろしく思われて居ないのかもしれない。


「魔王は王都とブーメルムの中心より数百キロ北側に広がる『嘆きの山』に居る筈です。しかし、周辺には非常に強い魔物が配置されており、誰もその姿を確認する事ができません。」


「要するに引きこもりだねーそのうえ、500年も生き続けてるし人間じゃないのかもねー。」


「初代と二代目とされる魔王も同じく、嘆きの山に籠もっておりました。ですが勇者と賢者によって倒され、アスタリアにも束の間の平和が訪れた次期はあったんです。詳しい資料が帝国側にしかありません。」


「その言い方だと、魔王は共通の敵って事なんですか?」


「それはそうだよコースケ。あんな迷惑な存在居なくなってくれた方が良いに決まってるじゃん。」


メイエリオが口を尖らせながら不満を全面に出してきた。少し酔っているのか顔が赤い。


「それで、魔王が居ると帝国に侵攻できないっていうのは?」


「だからー、拳王も勇者も賢者もほとんど同じくらいの力を持っている筈なんだよー。単純に1対2になっちゃうから勝てる見込みが少ないって事。」


「ああーなるほど。実は凄い単純な事だったんですね。でも勇者が居ない時期もあったんでしょ?」


「そんなの公表する訳ないじゃんー(笑)。相手を牽制する為に勇者が出たぞーって言うことはあっても、今は天舞が誰もいませんーって言うことはないでしょ?」


「ああ、それは確かにそうですね。でも、それなら今は勇者も賢者も居る事がはっきり分かってるんですよね。なぜキラハは帝国に攻めたいんですか?」


「ふふーそこだよ康介!何でたと思う?もしかして己の力を過信し、誇示する為に向かうのか。ノンノンー違うんだなー。そもそも攻めるのが本当の目的とは限らないよね-。」


「ハピスさんは何を知ってるの?コースケじゃないけど、今までの話でそんな所分かる感じじゃなかったけど。」


「それは秘密だけど、なぜ帝国に行きたいのか…いや、なぜ帝国を滅ぼしたいのかは知ってる。それはねー。」


溜めるハピスさんに、全員が硬唾を飲んで熱視線を送った。


「9ヶ月前に神託を受けた賢者、ベル・ホロントを手に入れたいからだー!!!ひゅー!パフパフー!」


「「「え!?!?!?」」」


フルブライトさん以外の3人で思いっきりの「え?!」が出た。


フルブライトさんは小さいため息を付き、一度目を伏せるとハピスさんを見ながら口を開いた。


「ハピスさんの話は本当です。しかし驚きましたね。公開されていない筈の内容なのですが、勘という訳ではないのでしょう?」


「そりゃそうだよー(笑)、ちょっとだけ情報収集が得意なところもあったりなかったりー。あ、軍の人の前でこんな事言ってるとスパイと思われて捕まっちゃうー?」


「いえ、ハピスさんがアスタリアに提供されたポーション等のレシピは、数多くの人を助ける結果になっています。今更貴女を疑い程度で捕らえる勇気はありませんよ。」


「そかそかー良かったよ役にたってー。」


「あの、ハピスさん。拳王様はパーフラ教の賢者が好きって事よね?」


「そりゃもうメロメロさー。好きを通り越して殺したいと思ってるくらいじゃないかなー(笑)それに、賢者の方もまんざらでは無いと見たねー。」


俺は話に聞き入っていた。


敵同士であるはずのラブストーリー。中々興味をひくではないか。異世界版のロミジュリと言ったところだろうか。


だが、何故だ腑に落ちない。

何かを忘れている気がする。その時、酒場のドアが勢いよく開かれた。


「旦那ぁ!俺が到着したぜ!」



ヤッパスタも合流し

まだまだ宴が続きそうだ

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