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えぴそど62 殴る蹴るの暴行 

俺と拳王の間に不穏な空気が流れ始めた頃、ジャクシンパパがまた近づいて来た。


「いいか!あくまで試合の形を取る!決して相手を殺めぬ様、細心の注意を払え!…特にキラハ、貴様に言っているのだぞ。ジャクシンの名を受け継ぐに相応しい振る舞いを覚えろ。」


「はっ!カカ様、お任せ下さい。今代拳王としての力をしかとお見せ致します。」


「うむ、では互いに背中合わせとなり10歩進め。それが開始の合図だ。」


「はっ!」


「…了解です。」


いやいや、拳王さんのキャラが見えてこないよ。

普段からそんな感じだったらもっと好かれてた筈だ。おじさんはそう思うなぁ。


1…2…3…4…5…6…


俺は数えながら背にした拳王と距離を取っていく。


7…8…


まずは最初の攻撃を強肉弱食で受け、この鉄棒で新必殺技 牙○零式を放つ。悪、即…止めとこうかな。


9…10!


振り返った俺が見たのはすぐ目の前に迫る拳王の鉄甲だった。


『カキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


ズズズズ…


まじか!強肉弱食でも威力が殺しきれていない!

俺の足は地面を擦り、僅か50cm程だが後ろに押し出された。


これはきっと〈雷音 舞夢〉だ。

対象までの距離を一瞬で詰めて来るやつに違いない。


「おらぁ!」


考えている所に二撃目が入る。

そのまま流れる様に技らしきものを連発し始めた。


蹴りに関しては強肉弱食で弾けるものの、鉄甲を使った攻撃は踏ん張らないと倒れてしまいそうだ。


「びびって何もできねぇのか!?そのスキルが使えなくなるまで何度でも殴ってやるぞ!」


煽ってはきているものの、突破口は見つけられていない筈だ。それに、〈雷音 舞夢〉で無い攻撃は辛うじて目で追うことが出来る。


服も破れ始めたし、これはそろそろ反撃に出るしか無い。俺は鉄棒を構え拳王に向かい突きを繰り出した。


「ちっ!」


しかし、拳王はすぐにそれを鉄甲で払い、不意に後ろに跳び距離を取った。


着地と同時に拳王が両手を横に払うと、金色だった鉄甲が真っ赤に変わっていく。


〈炎帝 強羅〉が来る。

手に炎を纏い放つ技で間違い無い。


拳王は両手を振り、火球を放った。


『カキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


「ふん、これもか。ならこっちはどうだ。」


両方の鉄甲を身体の前に突き出すと、先端部分に魔法陣が展開され輝き始めた。なんだかとってもやばい匂いがする。


そこから放たれたのは火球では無く、最早レーザーだった。強肉弱食が防ぐも、かなり眩しい。その上、身体が後方に少しづつ押し出されていく。


そう、もちろん服は全部無くなった。


俺は踏ん張り切れず倒れかけると、レーザーの勢いでそのまま身体が一気に飛ばされてしまう。


ゴロゴロと転がりながら、レーザーに押されるがままにされていた。


「わりぃな。死んじまったか?はははっ!」


悪趣味な笑い声が聞こえるが、俺は何事も無かった様にむくっと起きた。


正確には地面にぶつけられた反動で身体のあちこちが痛い。だが、それを悟られる事はウィークポイントを曝け出す愚行だ。


「これも防ぐのか、おもしれぇ!!!」


「それは良かったが!お前の攻撃は効かないぞ!諦めたらどうだ!」


「ははっ!何言ってんだ。これからだろ!!」


拳王が左手で円を描く様に動かすと、周りの地面がみるみる凍り出した。


これだ、俺が恐れていた技の一つがこの〈氷姫 六花〉だ。地面を凍らせる技だが、強肉弱食が攻撃と判断しない可能性があるのだ。


かといって俺にはどうする事も出来ない。

足元は完全に凍り、スケートリンクの様になった。


「ふんっ。」


更に拳王が左手を上げると、今度は足元付近で一斉に無数の氷柱が浮き上がってくる。


俺のすぐ足元から伸びようとした氷柱は、強肉弱食がしっかりとガードしてくれていたが、どうしても足元が滑ってしまう。


やはりただ凍る事に対しては攻撃判定されなかった様だ。


それを見てかは分からなかったが、拳王は再び距離を一瞬で詰め、パンチを繰り出した。


俺は反動で足元が滑りこけてしまう。


だが、ただこけた訳では無い。

そのまま鉄棒を拳王の顔めがけて突き出す。もちろんすぐに鉄甲で弾かれるが、転げた反動を使い後転し、足元に向け横薙ぎを行った。


拳王は小さく跳び避けた。

それが狙いだ。俺はすかさず拳王に向けタックルをかました。


両足を腕で抱き後頭部を氷柱にぶつけてやる。


「舐めてるのか?」


ぽつりと呟いた拳王はすぐに片手を地面につき、身体を捻るとそのまま俺の側頭部に向け蹴りを出した。もちろんこれは強肉弱食が弾く。


そのままバランスを崩した俺は地面に倒れると、膝や肘を擦りむき血が出てしまった。


「いっ!っつぅ…」


「おーおー痛そうだな。でも分かったぜ。そのスキルは『攻撃』じゃなけりゃぁ反応しねぇんだな。」


やばい、あっけなくバレた。

拳王は余裕の笑みを見せる。俺は俺で裸ですっごい寒い。怪我じゃなくて風邪ひいて死にそうだ。


「さて、どうやっていたぶってやろうか。」


「……仕方無いな。頼むから死んでくれるなよ拳王。」



俺は鎌の準備を始めた

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